「M-SPOT」Vol.054「言語化されない感情をも伝える音楽の力」

2026.02.17 20:00

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音楽が簡単に作れるようになった今、音楽を通して思想や主義主張を伝えることも容易になったようだ。今回は、そのような意味合いを持たせたと思しき音楽を紹介してみたい。

とはいえ、音楽というのは、そもそもそういった言語化できない思いや共有したい感情を伝える手段として発展してきたものだ。音楽に決まりはないけれど、そこに思いを馳せるのであれば、それがどういうものであっても、音楽という表現手段をまとった主張となる。

そんな話を繰り広げるコメンテーターはTuneCore Japanの堀巧馬と野邊拓実、そして進行役は烏丸哲也(BARKS)である。

   ◆   ◆   ◆

野邊拓実(TuneCore Japan):今回は、Peace_2_the_Gods_8 ∞ 8 ∞ 8というアーティストを紹介したいんですけど、なぜ紹介するかというと、まずプロフィールを見ていただきたいんです。

──ええっと…「音楽という普遍的な言語を通じて、リスナーの心を目覚めさせ、魂を高めるスピリチュアルなメッセンジャーです」ですって。

野邊拓実(TuneCore Japan):そう。めちゃくちゃスピってるんですよ。

Peace_2_the_Gods_8 ∞ 8 ∞ 8

──続いて、「魅惑的なビート、瞑想的な歌詞、超越的なテーマで、古代の知恵と現代の音風景を融合させたサウンドジャーニーを提供」とあります。

野邊拓実(TuneCore Japan):めちゃくちゃスピリチュアルなことを言ってて、「うわあ、どんなヤバい音楽なんだ?」って思って曲を聴いたら、「オシャレなんかいっ」みたいな感じで(笑)、結構グッと来たんですよね。

堀巧馬(TuneCore Japan):この方のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@Peace_2_the_Gods888)に行ってみたら「地政学・AI・経済・お金・仕事のニュースを「あなたの明日の判断」に翻訳します」と書かれてあって、音楽とは関係なくてちょっと今戸惑ってます(笑)。

野邊拓実(TuneCore Japan):そうですよね。音楽はすごくしっかりしているし分かりやすいんだけど、プロフィールを見ると凄く分かりにくくて、そこがコンフリクトしているような印象を受ける。

堀巧馬(TuneCore Japan):音楽活動をしているのは間違いないことなんですけど、それ以前に活動家であって、思想家なんだろうなって感じますね。

野邊拓実(TuneCore Japan):そうですね。ドバイに住んでいるみたい。気になるなあ。

──音楽を演る理由・意味を明確に持っているという方ですね。そういう意味では、こういう方もいます。Be Happy Together capitan de la emocionというミュージシャンなんですが、「みんなが幸せなら、私も幸せ」と語っていまして、ラテン系のハッピーな作品なんですよ。

──楽しげな楽曲でしょう?でも、この方のオフィシャルサイト(https://www.be-happy-together.com/)に行ってみると、非常にスピリチュアルなメッセージが飛び込んできて、ミュージシャンの匂いはないのでちょっとうろたえるんです。

野邊拓実(TuneCore Japan):ほんとだ。

──考えてみると「何かを主張したい人にとって音楽というのは、何よりも人を引き付ける事のできるツールなんだな」ということに気付くわけです。

Be Happy Together capitan de la emocion

野邊拓実(TuneCore Japan):そもそもグレゴリオ聖歌にしても、プリミティブな儀式などとも密接に繋がっているものが音楽だったわけなので、本来宗教的なものや儀式的なものと音楽は密接なものだったんですよね。音楽って「音を楽しむ」ものと言われますけれど、音楽の「楽」は儀式的なものを指している言葉(編集部註:楽は、神事用の楽器を象った象形文字から派生)が本来の文脈なので、そういう意味では、主張のための音楽というのは原点回帰的なものなのかなとも思います。

──誰でも音楽が簡単に作れて発表できる時代になったということは、ミュージシャンがたくさん生まれるという現象のみならず、思想や主義主張を伝えるツールとして音楽を使う思想家もたくさん登場するというのが真理かもしれないですね。

野邊拓実(TuneCore Japan):そうですね。カルチャーの流れとして面白い。

堀巧馬(TuneCore Japan):歴史を見れば、世の中の出来事は生活にすごく密接していて、メッセージ性の強い音楽が自然発生的に生まれてきたと思うんです。奴隷制度があった時代のゴスペルにしても、音楽に救いを求めて、想いの共有と感動を分かち合ってきた。そんな音楽に影響されて「自分もそういう感動を伝えたい」という思いは、時代が違っても変わらないはずなんです。今は思いや主張も分散化していて、平和が続いた日本で育った僕らは「めちゃスピっている」みたいに捉えてしまいがちだけど、場所によっては本当にそれを求めている人がいて、それに共感して輪を広げたいという純粋な思いもありますよね。今の日本の最新音楽は、平和が前提にあって作られているけれど、本質は一緒だとも思います。

──言論統制や激しい弾圧の中で、弱者にとって思いを共有するツールは音楽しかなかったかもしれない。

野邊拓実(TuneCore Japan):ジャズとかブルースとかのルーツもそこにあるという話ですよね。支配階級である白人には分からない言語で歌い合ったり掛け回してコミュニケーションを取ったことが、ソロを回していく音楽性に繋がったりもした。外部因子によってそれが音や形として表れるようになっていったわけで、音楽というのは、本質的にはそういうものかもしれない。思想を持つ人がそれを音にしてみようという発想はありますよね。

堀巧馬(TuneCore Japan):音楽って、ものすごくスピリチュアルなことをテーマにしても「スピッてる」と揶揄されないクリエイティブな気がします。

野邊拓実(TuneCore Japan):確かに。

──どんだけポエムな歌詞でもOKですからね。

堀巧馬(TuneCore Japan):日記とかにすると一気にキモくなるのに、音楽にするとむしろイケてるみたいな感じになる唯一のクリエイティブだから、音楽は思想家が集まりやすいという側面がある。

野邊拓実(TuneCore Japan):そもそも「音楽全部、スピッてる説」(笑)。

堀巧馬(TuneCore Japan):そうそう(笑)、てか本質的にはそうですよね。

──音楽の誕生自体が、そういうものであると。

野邊拓実(TuneCore Japan):音楽って相性がいいんでしょうね。絵画とか文学のような他の芸術体系と比べて、音楽って抽象度が高いなって思うんです。想像する余白がすごく多いというか、解釈の自由度が受け手側に結構残されている。特に歌詞がなかったりとかするとよりいっそう。抽象度が高いからこそ想像の中で完結するような性質があるので、そういう意味でも、宇宙とか世界のような壮大なタイトルとも音楽っていう表現手法は相性がいいと思う。

──結論。「どんだけスピってても、音楽になったらエンタメになる」。音楽は最強なツールですよ。

野邊拓実(TuneCore Japan):壮大なテーマでも、Xのポストのような日常風景でも、あり方として幅がすごくあるというのが音楽の特性のひとつなのかもしれないですね。

堀巧馬(TuneCore Japan):逆に、無意識に感じていたことを敢えて言語化するならば、「これって音楽である必要あるんだっけ」ってやつもあるのかも。「そもそも音楽という表現方法が最適解なのか?」みたいな(笑)。リスナーって、実はそのあたりを無意識に感じ取っている説はあるかもしれない。

野邊拓実(TuneCore Japan):そこはかなりあると思います。さらに好き嫌いとか「音楽ってこういうものだよね」という捉え方が個人個人で違ったりするわけだから、意見の対立や違いが生まれる。

堀巧馬(TuneCore Japan):だから、今生き残っている音楽って、やっぱり音楽でしか表現できないものだったんでしょうね。

──音楽だからこそ表現できたものですね。余白の大きさを含めて。

野邊拓実(TuneCore Japan):メッセージを伝えるとか、自分の世界観とか雰囲気をそのまま伝えるのに、音楽はものすごく適した媒体なのかもな。

堀巧馬(TuneCore Japan):海外のリアクターが、Ado「逆光(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」を聴いて、サビに入った瞬間に「めっちゃ怒られてる感じがする」と言っていたんですよ。日本語なので何を言っているか分からないんだけど、でもそう感じたというのはすごい事と思うんです。歌い方や曲調、音色などで、言語化できない感情を理解できる領域まで消化できている音楽ってすごい。言語の壁を超えるとはまさにこのことで、音楽の余白部分がちゃんと感情に作用できるような形になっている。

野邊拓実(TuneCore Japan):パンクが生まれたのも必然でね、もう怒ってるもん。

──まさに、それが音楽の力ですね。

Peace_2_the_Gods_8 ∞ 8 ∞ 8

Peace_2_the_Gods_8 ∞ 8 ∞ 8は単なるミュージシャンではなく、音楽という普遍的な言語を通じて、リスナーの心を目覚めさせ、魂を高めるスピリチュアルなメッセンジャーです。 彼らは魅惑的なビート、瞑想的な歌詞、そして超越的なテーマで知られており、アイコニックな「8 ∞ 8 ∞ 8」モチーフを通じて、古代の知恵と現代の音風景を融合させたサウンドジャーニーを提供しています。
https://www.tunecore.co.jp/artists/Peace_2_the_Gods_888

Be Happy Together capitan de la emocion

2016年、ある日、ボイストレーニングを始めました。 そして2022年、作曲を始めました。 私の目標は、音楽を通して世界にメッセージを届けることです。 それは「一緒に幸せになろう」。 誰もが「幸せを願っている」 だから、一人でも不幸な人がいたら、混乱が起きてしまいます。 私が幸せになるためには、みんなが幸せでなければなりません。 みんなが幸せなら、私も幸せです。 だから私は歌う。 だから私は曲を作る。 音楽は国や文化、宗教を超えて、人々を繋ぐ。 みんなで音楽を通して、地球を宇宙で一番幸せな星にしていきましょう!(^^♪
https://www.tunecore.co.jp/artists/be-happy-together

協力◎TuneCore Japan
取材・文◎烏丸哲也(BARKS)
Special thanks to all independent artists using TuneCore Japan.

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