【速レポ】<CROSS ROAD Fest>LM.C、多彩サウンドで幕張をアジテート「青春だけど、過去のことじゃない」

<CROSS ROAD Fest>DAY2の3番手は、来年デビュー20周年を迎えるLM.C。前バンドからの転換タイム、幕を下ろしてのサウンドチェック中にmaya(Vo)が声だけで登場。ビートトラックの音源が流れると、そのリズムに合わせて“今日はここ、幕張イベントホールで”、“みんなもこうして集まってくれて”など、即興のラップで今の気持ちを観客と共有。そして、「早くやりたいな。早く、ひとつになっちゃいましょう。…人生で2回目くらいに言いましたけど(笑)」と若干照れ気味にライブへの期待感をのぞかせた。

2014年リリースのアルバム『PERFECT FANTASY』収録曲「Chameleon Dance」でライブはスタート。華やかなレインボーカラーのレーザーが空間に走り、ユーロビート/トランシーなシンセのリフが流れだすと、mayaはパリピ的な「ハイハイハイハイ!」という掛け声でオーディエンスの高揚感を上げていく。バブル期のクラブ/ディスコを彷彿させる強烈なサウンドがこの大会場の空間を突き抜けていく様は、もはや痛快ですらある。歌詞にある《踊り明かすのさAll Night Long》や《羽目外した者勝ち》といったワードも、目の前の観客たちへ呼びかけにはぴったり。ガツンと低音の効いたダンスビートにのせてこんなメッセージを演奏されたら、観客も否応なく盛り上がらずにはいられない。中盤の歌詞はほぼアドリブだったのではないか、「楽しいな!」「一緒に踊ろう!」「クロスロードフェス!クロスロードフェス!」など、シンプルなワードを散りばめながら、その場その場を盛り上げていくスキルはお見事。打ち込みならではのダンスビートと生のロックバンドの迫力、そして超ポップな楽曲とハッピーな世界観。初めて彼らの音楽に触れる人も十二分にLM.Cの魅力を体感できるナイスなオープニングだ。
「多くの人にとって、フェスって“青春”だと思うんですよ。でも、昨日このフェスを観たら、全然今とつながってる。青春だけど、過去のことじゃないんですよね」とmayaは、<CROSS ROAD Fest>が決して単なる同窓会ではないことを伝える。

2曲目は彼らの代表曲「OH MY JULIET.」。Aiji(G)はヘドバンしながらロック魂炸裂のリフを刻む。ヘヴィでパンキッシュなギターと、ちょっとダークなボーカルが印象的なこの曲。AメロとBメロは同じ歌メロをオクターブ上で歌い、さらに攻撃的なブリッジを挟んでから、サビでキャッチーかつメロウに展開してみせるというなかなか凝った構成のナンバーだ。サビの《ねぇ神様.. 教えてよ》と歌うサビでは、オーディエンスに手扇子の波が広がった。

間髪入れず、エレクトリックビートが響き渡る。「@FUNNY PHANTOM@」だ。サウンドチェック中にも観客と「フー、フー、フッフー!」という掛け合いを練習していた、LM.Cライブの真骨頂とも言うべきキラーチューン。地を這うような低音ベースとドラムのビートだけをバックに、弾丸のような高速ラップを矢継ぎ早に繰り出すmaya。Aijiもギターのヘッドを高く掲げたり大きくのけぞって弾いたり、アグレッシブなプレイで観客を沸かせる。サビが超ハッピーでポップなのでうっかり騙されがちだが、サビ以外の部分は相当ダークでハード。洋楽ミクスチャーロック好きなリスナーなら、この曲でLM.Cの隠れた攻撃性や毒をしっかり感じ取れるはずだ。
シタールとウッドパーカッションのような音が流れ、mayaがインド音階風のメロディーを軽くハミングしつつ始まったのは、アルバム『VEDA』収録の「The BUDDHA」。mayaによる“ブンシャカ”というライムが演奏全体に絡み、グルーブやリズムのうねりを生み出す。高速ラップとハードなロックサウンド、マニピュレートで仕込まれたトランシーかつカラフルな音のフックが効いていて、この曲もまたLM.Cならではの音世界を味わわせてくれる。


「次の曲は、もうこの世では会うことができなくなってしまった人と夢で再会するという曲です」と紹介されたのは、 『PERFECT FANTASY』収録の「DREAMscape」。Aijiが刻む抑えたギターのカッティングからも、スタンドマイクでほぼ動かずに(でも両手でマイクを強く握りしめて)歌うmayaの声からも、哀しみを封じ込めた感情の振り幅が伝わってくるような気がする。《行かないで ここに居てよ》という歌詞の言葉が胸に刺さる。
ラストは、mayaの「ずっと少年少女のままでいようぜ!」という呼びかけでスタートした「BOYS & GIRLS」。カラフルでウルトラポップでキッチュで…、LM.C的センスをギュッと詰め込んだおもちゃ箱のような、ライブでの王道ナンバーだ。間奏ではパッヘルベルの「カノン」を取り入れてみせたり、音楽的な遊び心も楽しい。mayaは元々のボーカルパート以外でも、たえずファンを煽ったり呼びかけたり、渾身のパフォーマンスを見せる。歌の合間で「男の子いるかい! 男!」と叫べば男性ファンが大きく腕をあげて応え、さらに「女の子!」や「上手!」と指名して、次々に参加させていく。ボーカリストというパートには、シンガーやフロントマンなど色々な呼称があるけれど、mayaのことはアジテーターと呼びたい。そんなことを思ったライブだった。

取材・文◎舟見佳子
撮影◎緒車寿一
■セットリスト
1. Chameleon Dance
2. OH MY JULIET.
3. @FUNNY PHANTOM@
4. The BUDDHA
5. DREAMscape
6. BOYS & GIRLS
■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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