| メジャーとマイナーの境目がなくなり始めた、近年のJ-POPシーン。
そんな中で、アーティストやクリエイターたちの、音楽に対する姿勢や哲学が反映されたレーベルという存在が、再び大きく見直され始めている。
そういったレーベルが生まれたのは、強烈な独自の言葉を用いて表現をするフォークの時代、つまり’60年代。
大手のメーカーからの規制を受けずに、自由に音楽活動を行ないたい(…というよりもレコ倫等の関係でメジャーから発表できないという事実が重なった)ということで、’69年にURCレコードがスタート。
URCは設立以前から、会員制配布というスタイルをとり、レーベル設立後には独自の流通と販売アイテム(楽譜や音楽雑誌の先駆けとなるライヴ・レポート集)を確立。ここから、岡林信康、はっぴいえんど、友部正人、加川良ら、現在活躍しているミュージシャンたちにも多大な影響を与えているアーティストたちの作品が発表されていった。
’70年代にはいると、フォーク、ニューミュージックの台頭により、メジャー・メーカーの中にベルウッド(キング)、エキスプレス(東芝)、ショウ・ボート(トリオ)、PANAM(クラウン)等、ニューミュージック・アーティストたちのレーベルが次々と生まれていった。’70年代末から’80年初頭にかけては、ロック色を持ったシーソー(キャニオン)、インビテーション(ビクター)、エアー、ディアハート(RVC/現BMG)といったレーベルも生まれた。
その一方で、よりアーティストの個性を主張したパーソナル・レーベルも誕生する。サザンオールスターズのタイシタ、RCサクセションのBACAなどのパーソナル・レーベル。YMOは、YEN RECORDSなるレーベルを発足させ、戸川純、サンディー&サンセッツ、ゲルニカといったアーティストの作品を世に送り出した。大瀧詠一も’75年に、エレックの中でナイアガラ・レーベルを発足させ、後にコロムビア、ソニー、ビクターとメジャー・メーカーのサポートを受けて活動するに至る。
メジャー・シーンのレーベルが活発化すると同時に、パンク、ニューウェーヴの台頭により、ストリートを中心としたインディーズ・レーベルも次々と生まれていった。
スターリンの遠藤ミチロウによるポリティカル・レコード、ケラによるナゴム・レコード、ミラーズのヒゴヒロシによるゴジラ・レコードなど、アーティストによるレーベル。
その他に、レコード店やライヴハウスによるレーベル、カメラマン、雑誌のエディターなどのクリエイターによるレーベルと、さまざまなレーベルが個性豊かに活動(この時代の動きが、後のインディーズ・ブームへとつながっていったのではないかと思われる)。
【註】
トリオ:’70年代に隆盛をきわめた、今はなきトリオ・レコード。
シーソー:陣内孝則が在籍していたROCKERS、CHAR、子供ばんどなどが所属。
インビテーション:アナーキー、ARB、BOφWYなどが所属。
エアー:山下達郎、角松敏生らが所属。
ディアハート:EPO、大貫妙子、越美晴が所属。
エレック:FOR LIFEレコードのHPに詳しい記述アリ。
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時代と共に変化、発展していったレーベル。情報技術の発達により、ジャンルやスタイル、ムーブメントだけに留まらないと思われる21世紀のJ-POPシーン。
そんな中で音楽に対する姿勢やセンスが、作品と濃密な関係を持つアーティスト・レーベルが、重要になってくることを、YOSHIKIはいち早く感じていたことは言うまでもない。
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