新ジャンル“クラシック・オルタナ”でニルヴァーナやパール・ジャムが復活

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広い国土のほとんどの地域で完全な車社会であるアメリカでは、音楽業界にとってラジオというメディアが、日本で想像する以上に重要であることが多い。実際、主要都市の主要ラジオ局の人気DJがどれだけその曲をオンエアしたかが、ヒットしている/いないの目安になることもあるのだ。

米『ローリング.ストーン』誌によれば、現在、そんなアメリカ国内の大都市エリアでは、チャートインしているロックに代わり、「クラシック・オルタナティヴ」が主要FM局で人気となる現象が起きているとのこと。具体的にいうと、リンプ・ビズキットではなく、ニルヴァーナパール・ジャムがラジオで頻繁にかかっているわけだ。「この現象は、ジェネレーションX(一般的に20代後半~30代前半の世代)に関係しているんだろうね」と、サンディエゴのFM局KBZTの編成ディレクターは指摘する。このFM局は'02年秋に、既存の'80年代サウンド・シフトから、クラシック・オルタナにいち早く乗り換えた先駆的存在でもある。この動きに触発された他エリアの人気FM局も、次々とクラシック・オルタナへシフトしている。しかし、この現象は、単にリスナーの要望に応えてというだけではないとの意見もある。というのも、ラジオCMに年間1830万ドル(日本円にして約19億4000万円)かけているビール業界が、昨年9月「リスナーの70%が21歳以上であるラジオの時間帯にのみ広告を出す」と明言したのだ。つまり、クラシック・オルタナへのシフトは、ラジオ局の大スポンサーの意向に応えたものでもあるわけだ。

はたして、この現象がどこまで広がりを見せるのか、また回復しつつあるもののまだ本調子ではなく音楽業界全体を巻き込むムーブメントになるかどうかについては、もう少し様子を見る必要がありそうだ。

Aki Kayamoto, NY

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