『ビッグ・ルーム』 2002年04月10日発売 AMCY-10022 2,520(tax in) ワーナーミュージック・ジャパン 1 エヴリシング 2 ジェニファー 3 ドント 4 ペイフォン 5 ホワット・ユー・ドゥ・アバウト・ミー 6 ラヴ・レフト・フォー・ミー 7 ミス・ポピュラー 8 ワナ・ビー・ホエア・ユー・アー 9 リーヴ・ミー・アローン 10 サムタイムズ 11イヴェンチュアリー 12 ウェイト・フォー・ミー(アンプラグド・ヴァージョン)★日本盤ボーナス・トラック
『シェイズ・オブ・パープル』 2000年02月23日発売 AMCY-7125 2,100(tax in) ワーナーミュージック・ジャパン
1 ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー 2 ザ・デイ・ユー・ウェント・アウェイ 3 ガール・イン・ユア・ドリームス 4 ミラー・ミラー 5 プリティー・ボーイ 6 ギヴ・ア・リトル・ラヴ 7 エヴリシング・ユー・ドゥ 8 ドント・メス・ウィズ・マイ・ラヴ 9 ディア・ダイアリー 10 ドゥ・ユー・ノウ・ホワット・ユー・ウォント 11 スマイリング・フェイス 12 アワ・ソング 13 ホワイ 14 ザ・フィーリング・イズ・ゴーン
|
| アーティストやバンドが将来、どう成長していくかは誰にも分からない。ノルウェー出身のティーン・ポップの2人組、M2Mは2000年にアトランティック・レコ―ズからアルバム『シェイズ・オブ・パープル』とシングル「ミラー・ミラー」のスタイリッシュなビデオ・クリップでデビューするや否や、ビルボードのトップ200チャートに即座に躍り出た。またハンソンの全米ツアーのサポートを務めるようになるなど、全米で好調な出だしを切った。
だが、M2Mの人気は全米だけに留まらない。東南アジアではさらに爆発的な人気を集め、『シェイズ・オブ・パープル』のセールスはミリオンの壁を打ち破ることに成功したのだった。
M2Mが全世界のリスナーの注目を集めたのは、何ら不思議なことではない。その魅力的なメロディと甘美なハーモニーで、自身を“オーガニック・ポップ”と呼ぶ彼女たちは、2枚のアルバムを通じて、最近の流行りのティーン・ポップ・ブームに、その甘い吐息で新鮮な空気を送り込んだ。
『シェイズ・オブ・パープル』では、誠実なパフォーマンスと純粋な意味でのロマンチシズムにより、艶のあるサウンドの幅を広げ、ニューアルバムの『ビッグ・ルーム』では、ライヴ的なアプローチで音楽的価値を上げている。このニューアルバムには、ドラマーのケニー・アロノフ(ジョン・メレンキャンプ)、ベーシストのTボーン・ウォルク (サタデー・ナイト・ライヴ)、ギタリストのジミー・ボーンズと、3人のベテラン・ロック・アーティストが参加している。
M2Mのマリオン・レヴン(ヴォーカル/キーボード)とマリー・ラーセン(ヴォーカル/ギター)は、このニューアルバムのほとんどすべての曲作りを共同で担当している。
この2年で彼女たちは少し大人になったのかもしれないが、彼女たちの詞は同世代や若い世代のファンに普遍的に共感されている。
「私たちがやりたかったことは、まさにそういうことなのよ!」とマリーは言う。
「みんなに共感してもらいたいの。今私たちが直面していることに関係する歌しか書かないのよ。だってそういうことじゃないと分からないから書けないでしょ? 私たちより若い子たちも共感できるみたい。だって同じようなことを彼女たちも経験しているから。学校で人気があるんだけど、みんなに意地悪な子のケースと結びつけたりして。“ミス・ポピュラー”を聴いて“そうよ、この子ホントにムカツク”って思うみたい」
彼女たちの人気の秘密を一言で言うと、それはきっと“純粋さ”だろう。M2Mの存在は、膨大な費用をかけてチャートを独占する既成のグループとは全く異なる。ましてやセックス・アピールやぶりっ子風の歌詞で売り出そうとしているわけでもない。マリオンとマリーは単に、自分たちが思うことを表現し、それを音楽でもやり通しているのだ。
『シェイズ・オブ・パープル』のオープニング・トラック「ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー」を10代後半の子たちが聴くと、きっとセックスに対するプレッシャーについて歌っているように思えるのかもしれないが、10代前半の子たちが聴くと、心の準備ができる前のデートに対するプレッシャーと結びつけるかもしれない。そこには性的な意味を暗示する言葉や言い回しがある訳ではないのだ。 若いディーヴァによくありがちな、セルフ・リスペクトや独立を提唱しながらも、男の目を惹こうという、矛盾した詞もない。M2Mがそういった皮肉や言行不一致の迷路に迷うことはないようだ。
「ほとんど裸みたいな格好して、(セックスは)結婚まで待ちたい、なんて言ってるのって変だと思う。ディーヴァたちはほとんど、セックスのことばかり話してる」
「そういうのってちょっとイラつくの。私たちは自分たちの歌について語ることができるし、これは私たちが経験したことで、私たち自身で書いたことだって堂々と言えるもの」 とマリオンはいう。マリオンとマリーが受けた音楽的影響は幅広い。彼女たちはトラヴィス(マリオンは“世界最高のバンド”と言う)やアラニス・モリセット 、シェリル・クロウ 、カウンティング・クロウズ、レディオヘッドといったモダン・ロックのファンでありながら、ビートルズやキャット・スティーブンスといった過去の世代のアーティストの音楽も愛聴する。
「昔の音楽を聴くのはとっても大事なことよ」とマリーは主張する。
「ジョニー・ミッチェルの“Blue”なんて、今発売されてもおかしくないし、今でもヒットしそうなサウンドだと思う。アコースティックで素晴らしくて、歌もいいの。音楽って本来、そういうものだと思うの。何を着ているかとか、MTVで何回オンエアされるかとか、そいういことじゃないわ。だからちょっと昔の音楽を聴くと、素直に感激するの」
マリオンとマリーが音楽のケミストリーを発生させたきっかけとなったのは、5歳の頃から続いている彼女たちの友情にある。彼女たちの間には、まるで姉妹のような絆があるのだ。だが姉妹がそうであるように、M2Mにもお互いの間に距離が必要なのだ。
「時には部屋のカギをかけて、部屋に閉じこもるのもいいものよ」とマリオンは言う。
「自宅にいるときは、ほかの友だちと遊んで、お互いにあんまり電話をしないようにしてるの。そうすれば、久しぶりに空港で会ったときに、“ヘイ! 会えてよかった!”って言えるでしょ? それに話すこともいっぱい出てくるし」
驚くことに、彼女たちの故郷ノルウェーの評論家たちは、彼女たちを応援する代わりに、その成功を批判的に見ている。
「ノルウェーの評論家たちはみんな50歳とか60歳くらいで、ロックバンドをやってたんだけど成功せずに終わった人たちなのよ」とマリオンは言ってクスクスと笑った。「だからみんな本当にヒドイことを言うのよ」とマリーは言う。
最近のティーン・アイドルのディーヴァとM2Mには大きな違いがある。彼女たちはブリトニーのようなバービー人形ではないし、アギレラのように、大げさに歌うわけでもない。しかし、彼女たちは“愛”や“憧れ”と同じくらい、“傷”や“失望”についての印象的な歌も歌う。それらは心から生まれてくる音楽なのだ。
「私には以前、電話を一度もしてくれない、ひどいボーイフレンドがいて、すっごくむかついたの。それをずっとマリーに言い続けててね。それでそれを歌(“エヴリシング”)にしたの」
詰まるところ、M2Mの歌は彼女たちの日記のようなものなのだ。
「私たちが関心のあることや、ムカツクことを書くのよ」とマリオン。
ここ2~3年、M2Mは多くのことを学んできている。
「1stアルバムでは、8人ものプロデューサーがいたの」とマリオンは説明する。
「たくさんのいろんなソングライターがいて、私たちにこの仕事について色々教えてくれたの。学校のようだったわ。最初のアルバムでは、自分について理解することが中心だったけど、『ビッグ・ルーム』では、私たちがどういう人と一緒に仕事したらいいのか、もう自分でちゃんと分かってた。彼らとは以前も仕事をしたことがあったから友だちだって思ってたし、彼らの言う事もちゃんと聞いたわ。だから『ビッグ・ルーム』の制作は、ウッドストックで家族と一緒に楽しく過ごしているようなものだった」
『シェーズ・オブ・パープル』の時は、彼女たちに「いいアイディアだけど、今までの人生で私は14曲ものヒット曲を作ってきたんだ。だから私の答えの方が正しいんだよ」と言った人もいたそうだ。しかし、その頃まだ14歳と15歳だった彼女たちが、自分の決断や行動によって最終的に導かれる結末をけっして恐れることはなかった。「結局私たちがステージに立つと、みんな私たちの顔を見るのよ」とマリオン。
「どんなに説明したって、その歌を考えたのは私たちだ、ってみんなは思うの。それは当たり前のことだと思う。だってやっぱり自分がやってきたことをちゃんと自分自身で表現するべきだと思うもの。本当にそうよ」 By Bryan Reesman/LAUNCH.com |
|