――フォース・オブ・ネイチャーのアルバム・レコーディングは順調ですか? KZA: うん、たぶん3月くらいに出せるかな(編集部註:リリースは夏くらいになったとのこと)。ビデオクリップも、一応作る予定だよ。タケイ・グッドマンにお願いしていて…。まだ内容は全然決まってないんだけど。 ――ストーリー調でやれば良いじゃないですか。“クラブで小競り合いがあって~”とか(笑)。
KZA: やだなー、そんな若者ノリみたいなの。真剣にコカ@ンのやりとりしてるとことか演技したり(笑)。でもそんなの(フォース・オブ・ネイチャーの)曲と全く繋がらないでしょ(笑)。こういう音のビデオってどんなビデオなんだろうね? ヤスくん(DJヤス)のビデオとかは見たことあるけど、(DJ)シャドウのビデオとか見たことないし…。
――ルーツ・マヌーヴァのビデオみたいなのは?
KZA: あれ良いよね、しょうもなくて。子供の運動会に参加したり、体を鍛えたりしてるヤツ。松田優作の映画で何だっけ、『蘇る金狼』だっけ? 何かひたすら身体を鍛えてるの。もしビデオを撮るならオレは絶対そういうシーンを撮りたいんだよね(笑)。向こうのビデオでありがちな、刑務所でベンチプレスしたりバスケしたり(笑)。向こうの刑務所じゃなきゃ面白くないけど…。MTVのBUZZ CLIPとかになってくれたら良いんだけどねー。
――あとは他に何か仕事は決まってます?
KZA: NIGOくんのアルバムをやって、レッキング・クルーのリミックスもやった。どこから出すかは決まってないけどコンちゃん(デヴラージ)とミックスCDもやる予定だし、あとミックス・テープも自分のレーベルから出すよ(笑)。今レーベル・ロゴも発注してて、いずれはペンダントができちゃうくらいのノリのヤツね。
――名前は決まってるんでしたっけ?
KZA: 色々考えてるんだけどねー。だって名称を登録しようと思って問い合わせてみるんだけど、“こんなの大丈夫でしょ?”みたいなのでもダメだったりして。“スキーニー・スリム”でも出してみたんだけど、既にいるみたいで。今度blast(ヒップホップ専門誌)の広告とか毎月取ろうかな、と思ってるんだ(笑)。イナたいカミング・スーンの広告を載せて(笑)。(編集部註:マスターP~ノー・リミット・レコーズ/現ニュー・ノー・リミット・レコーズ以降、主に南部系のヒップホップの宣伝方法として有名。リリースするかなり以前から「COMING SOON…」として大々的に告知し煽りまくるのだが、それが全て出るとは限らない) あとは、オレもそろそろ文筆家として頭角を現わそうかと思ってるんだけどね(笑)。
――何もやってないじゃないですか(笑)。コラムですか?
KZA: コラムっていうか、今月オレが買ったサウスのCDを紹介する、みたいなヤツ(笑)。そのギャラでCD購入分が浮くくらいになれば良いんだけど。だってしょうもないサウスの知識がばっか溜まってるからさー(笑)。今がサウス人気の頂点みたいな気がするしね。でもサウスのCDとかもっと集めたいんだけど、西海岸はあんまないからねー。だから来年は絶対にテキサスに行きたくて。(編集部註:KZA氏は某レコード屋の買付スタッフとしても、濃いレコード掘り師には有名で、ヴィニール・ジャンキーのDJ シャドウも来日の度にKZA買付のレコードをチェックしに来るとか。いつもは大体西海岸と東海岸中心だが、2002年には遂に南部方面にも足を伸ばすらしい)
――ここ(BARKS)でコラムをやらせてもらえばいいじゃないですか。 KZA: でもねー、買ったCDの紹介しかやりたくないから(笑)。買った日だけ書いてアップして、みたいなのだといいんだけど。でも文章書くのって時間かからない? ノッてくると書けるんだけどさ。オレは人の気配があると書けなかったりするよ(笑)。あとはヒップホップのトラックを作りたい、バウンス系の。全国に知り合いが多ければ、色んなラッパーに参加してもらってやりたいんだけど。
――ダズ(・ディリンジャー)みたいに、スキーニー・スリム・プレゼンツでやればいいじゃないですか。バウンス系のトラックも作ったりしてるんですか?
KZA: いや、作ってはいないけど、研究してる(笑)。ドラムの打ち方とかね。タイプライター(東京・埼玉を拠点に活動する若手MC)とか黒(タイプライター率いるラップ集団)のアルバムをオレがやりたいんだけど。黒はカッコ良いよ。また苦労してる感じがカッコ良いよね(笑)。 (以下、黒の話が続く…)
――そう言えばこの前、シャドウとカット・ケミスト(Jurassic 5)がKZAの家に来たんですよね? KZA: そう。たぶんねー、レコードを見て二人ともかなりヤラレてたと思うよ。時差ボケもあったと思うけど。途中で見るのが怖いとか言ってて。たぶんオールドスクール(・ヒップホップ)では勝ったね。 ――持っていったりしなかったんですか? 「コレくれ!」とか言って。 KZA: それはなかったけど「トレードしてくれ」とかは言ってたよ。やっぱ二人とも住んでるのが西海岸だから、東海岸モノは弱いんじゃないのかな。 ――なんでこんなに「サウスものを集めてるんだ」とか言われなかったんですか? KZA: 一応、こういうのも集めてるよって言って、ファイルしてるCDケースを見せたんだけど。そうしたらシャドウがパラパラ見てて、ヒプノタイズ(・マインズ)の頃のインド・Gのとこで中ジャケとか見て、「オレはこの曲が好きだ」みたいなことを言ってサビを歌ってたよ。やっぱ普通にそういうのが耳に入ってくるんだろうね。あとダズのことも、よく英語が解んなかったけど、「好きなのか?」みたいなことを言ってた。「あいつはイイヤツだけど何とか…」みたいなことを言ってたから、たぶん知り合いなんじゃない。あとカメラマンもついて来てたんだけど、その人がN.W.A.の1st(『Straight Outta Compton』)をCDケースから出して、「スペシャル・サンクスに自分の名前がある」とか言って見せてくれたよ。どういう繋がりなのかは良く解んないけど。「昔のドレのラジオのテープを持ってるから、今度何かと交換しよう」とか話したんだ。 ――では2001年のベスト・アルバムって何でしょうね? KZA: ダズのコンピ(『Who Ride Wit Us Vol.1』)でしょう。あとC・マーダー(『C-P-3.com』)にプロジェクト・パット(『Mista Don't Play』)かなぁ。 ――僕はD.P.G.(『Dillinger & Young Gotti』)のアルバムをかなり聴きましたよ。 KZA: そうだね、コラプトのアルバム(『Space Boogie』)よりかはD.P.G.だよねー。ダズはリアル・ギャングな感じでいいよ。あのコンピに入ってるアイスTの「Colors」を使った曲とか、絶対許可なんかとってないでしょ。あと勝手にアッシャーの曲を入れてるけど、クレジットがURSHER(実際はUSHER)になってて間違ってるし(笑)。ワザとかも知れないけど(笑)。 |