『Vivid』 Epic 44099(輸入盤) 1988年10月27日発売 1 Cult of Personality 2 I Want to Know 3 Middle Man 4 Desperate People 5 Open Letter(To a Landlord) 6 Funny Vibe 7 Memories Can't Wait 8 Broken Hearts 9 Glamour Boys 10 What's Your Favorite Color?(Theme Song) 11 Which Way to America? 『Time's Up』 Epic 46202(輸入盤) 1990年9月4日発売 1 Time's Up 2 History Lesson 3 Pride (Calhoun) 4 Love Rears Its Ugly Head (Reid) 5 New Jack Theme 6 Someone Like You 7 Elvis Is Dead (Reid) 8 Type (Reid) 9 Information Overload (Reid) 10 Under Cover of Darkness 11 Ology 12 Fight the Fight 13 Tag Team Partners 14 Solace of You (Reid) 15 This Is the Life 『Biscuits』 Epic 47988(輸入盤) 1991年7月19日発売 1 Talkin' Loud and Sayin' Nothin' 2 Desperate People(live) 3 Love and Happiness 4 Memories Can't Wait(live) 5 Burning of the Midnight Lamp 6 Money Talks 『Stain』 Epic 52780(輸入盤) 1993年3月5日発売 1 Go Away 2 Ignorance Is Bliss 3 Leave It Alone 4 Bi 5 Mind Your Own Business 6 Auslrander 7 Never Satisfied 8 Nothingness 9 Postman 10 WTFF 11 This Little Pig 12 Hemp 13 Wall | | 強い影響力を持ちながら、この10年近くをバラバラに活動していたジャンルを超越した4人組、Living Colourの短期間の再結成ツアーが行なわれた。5月10日のロサンゼルス公演を満杯にしている30代の観客たちは、アルバムを3枚残して解散したこのバンドを、良くも悪くもその昔にも目にしていた人たちだろう。 いろんな意味でLiving Colourは当時、完璧なバンドであった。社会的反抗の匂いを漂わせ、音楽的な冒険を好む黒人5人が奏でるファンク/ロック/メタルのミクスチャー・サウンドは、'80年代後半から'90年代初めにかけてのレーガン/ブッシュ時代にぴったりフィットしていた。ヴォーカルのCorey Gloverのポップな感性と、ギタリストのVernon Reidの実験的な探究心が融合したLiving Colourのサウンドは幅広く、チャレンジ精神にあふれていた。 しかし、'93年の『Stain』以降くらいから、彼らを大きく迎え入れていた扉は閉まり始めてしまったようだ。NirvanaやSoundgarden、Metallicaのようなバンドが人気となってくると、Living Colourのより重くシビアな姿勢は、かえってポーズのように映ってしまうようになった。各自のサイド・プロジェクトに力を入れるためにバンドは解散し、クリントンの時代にはすっかり影を潜めてしまっていた。そして、ブッシュ Jr.がホワイトハウスに居を構える時代となった今、すべての古いものが再び新しくなり、Living Colourが戻ってきた。 Glover、Reid、ドラマーのWill Calhoun、ベーシストのDoug Wimbish(2ndアルバム後のメンバー)はロサンゼルスのKey Clubのステージに立ち、およそ2時間の間、若干の変化球を交えながらバンドの今までの経歴をハイライトで見せてくれた。派手好きのGloverは鮮やかなイエローのパンツに黒いゴムのシャツで現れ、まるでDevoの忘れられた黒人メンバーか、はたまたウェイトを増やそうとしているレスリング・チームの子供かという感じだ。初めの30分はメタル・テイストの曲(“Go Away”“Release The Pressure”“Sacred Ground”など)が中心だったが、Living Colourが広める手助けをしたミクスチャー・スタイルをさらに進化させたラップ/メタル/パンクのバンドが数多く存在する今となっては、その時代の流れが、Living Colourのこれらの鋭い作品を古風にさえ感じさせてしまう。 Living Colourの最も有名な他の曲に関しては、時の流れはもう少しやさしかった。タイトに演奏された“Type”“Love Rears Its Ugly Head”、そして特にGloverのゴスペル風のヴォーカルで始まる“Open Letter To A Landlord”に観客は大喜びだった。一方で、それほど受けていたとは言い難いのが、ところどころに差し込まれた各メンバーの別プロジェクトからの楽曲セレクションだ。例えば、WimbishとCalhounによるJungle Funkのズッシリとしたナンバー“Trance”などだ(隣にいた男性の感想は「まあ、ちょっと違う感じだね」とずいぶん親切だった)。 Vernon Reidは今だにしびれるようなソロを生み出してくれる。特に“Middle Man”でのソロは最高だった。ただし、Reid自身はどんなソロも大好きだということは言っておくべきだろう。ラストを飾った“Cult Of Personality”(ちなみに最後はGloverがバルコニーまでスピーカーを登って終わった)で聴かせてくれたような複雑で入り組んだリフを弾いてないときは、1拍ごとにとにかく300音詰め込んだようなわかりやすいソロを弾いたりもするタイプなのだ。 全盛期の頃もそうだったが、Living Colourのムラの多さに関してはつい許してしまう。ライヴが終わって振り返ると、かつて短期間にさまざまなことを成し遂げ、当時の最高の曲といえる数曲を生み出したバンドの復活は、やはり心地よい体験であった。 johncue/LAUNCH.com | |