英国メディアのバッシングの中、着実にファンの支持を得る3人

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英国メディアのバッシングの中、着実にファンの支持を増やす3人
 
ついに頭の中にあるサウンドをすべてテープに残すのに成功したのさ

3rd Album

Black Market Music
Virgin International VJCP-68242

2000年10月4日発売 2,548(tax in)

1 Taste In Men(Album Version)
2 Days Before You Came
3 Special K
4 Spite&Malice
5 Passive Aggressive
6 Black-Eyed
7 Blue American
8 Slave To The Wage(Album Version)
9 Commercial For Levi
10 Haemoglobin
11 Narcoleptic
12 Peeping Tom
13 Without You I'm Nothing
14 I Feel You(+Hidden Track)


Placeboのドラマー、Steve Hewittは消耗していた。18カ月に及ぶワールドツアーは10カ月目に入り、彼はPlaceboの3枚目となる最新アルバム『Black Market Music』をプロモートするため、ショウの前後の時間を割いてプレスとのインタヴューに懸命に対応していた。だが、Hewittとバンドメイトでシンガー/ギタリストのBrian Molko、ベーシストのStefan Olsdalにとっては、ハードワークは慣れっこだ。実際に彼らは'88年のミリオンセラー『Without You I'm Nothing』をサポートする14カ月間のツアーを終えたあと、すぐにスタジオに入ってニューアルバムのための曲作りと録音に取り掛かったのだ。

前のツアーではあまりにも忙しくて曲を作る時間が少しもなかった。だから、新しいマテリアルを急いでそろえなくちゃいけなかったんだ」とHewittは説明する。「それで、僕らは最初からの付き合いで、今回の共同プロデューサーでもあるPaul Corkettと一緒に、遠くでカンヅメになることにしたんだ。今度のアルバムはかなり手作りの作品だね

そして今回、バンド自身が仕上がりにかなり満足していることは明らかだ。

とっても自由で気軽な感じなんだ。3カ月の間にたくさんの曲を作って試行錯誤を重ねてから、大きなスタジオに持ち込んだのさ。スタジオでの作業はこれまででいちばん楽しかったね。仲間意識と笑いやジョーク、そしてハードワークに満ちていたんだ。それはレコードにも忠実に反映されているよ。僕たちはついに頭の中にあるサウンドをすべてテープに残すのに成功したのさ。これまでで最高のレコードだよ

Placebo自身が最高のレコードと称する新作は、『Without You I'm Nothing』での'70年代グラムロック的繊細さの替わりに、よりスマートでかなり'80年代の影響を受けた、さらにアップビートな作品を集めたものとなっている。『Without You I'm Nothing』がメランコリーでやや浮世離れしていたのに対して、『Black Market Music』はまとまりがあって流れもよく、さまざまな魅力の断片がたっぷり詰め込まれた、シンプルでヒップなギターがドライヴするロックに仕上がった。そして喜ばしいことに、きらびやかなフロントマンのMolkoは、彩りを添えるべき適切なタイミングでギターのトレモロアームを使うことを忘れてはいない。

だが誰もが新作に満足しているわけではない。悲しいことにPlaceboは、今でも英国の音楽ジャーナリストによる非難の格好の対象となっている。彼らは比較的新しいグループにしては、不当なくらい紙媒体(ほとんどが英国のもの)から嘲笑を浴びており、そうした悪意に満ちた個人攻撃が『Black Market Music』のリリースによって治まることもなかったのは確かである。実際に最近のNMEは、Placeboのことを“ブッ潰してやりたい連中”と表している。だが、バンドはそのような容赦ない批判にも臆することはない。現にHewittはこれをけっこう面白いものとして受けとめているようだ。

まるっきり、たわ言だね」とHewitt。「持ち上げておいてからこき下ろすのは偉大なるイギリスの伝統だよ。こういう事態になることは予想していたし、戦いは今も続いているんだ。過去4年間のレヴューを読めば、音楽的なことよりも個人的なことばかりさ。今度のアルバムが叩かれて叩かれて叩かれまくっても、チャートではRadioheadに続いて2位にランクされてるし、国内ツアーはソールドアウトだっていうのは愉快だね。僕らは中指を突き立てて“ざまあみろ!”って叫びながらイギリス中をぐるぐる回るのさ。アルバムがナンバー2でツアーが売切れになっても、メディアは僕らを叩くのか? それで何になるんだろう? まさしく論より証拠ってやつだよ。ファンが僕らの音楽を愛してくれている限り、個人的には何とも思わないね

今や時代遅れとなった“セックス、ドラッグ、ロックンロール”の過剰な生活に浸ってきたことを隠そうともしないPlaceboは、年齢とともに成熟することなどないようだ。新曲の「Spite And Malice」(アメリカのラッパー、Justin Warfieldをフィーチャー)は、サビで“Dope, guns, f--king in the streets”と謳い上げており、性を超越し、ドラッグに耽るタブロイドの標的という、昔からのPlaceboの評判を思い出させる。また、『Black Market Music』の制作時におけるバンドの目標は最初からクリアなものだった。 「このアルバムの背景にあるアイデアは、“これまでで最高にF--k offなロック・レコードを作ろうぜ”というものさ」と、Hewittは少しも気取ることなく言ってのける。

確かにPlaceboは、この使命を果たすことに成功している。現状と恐れずに対峙する3人の姿勢のおかげで、引き続き彼らは向こう何作ものアルバムでジャーナリストの嘲笑の対象になるだろう。が、彼らを完全に潰すことのできないメディアは、結局のところPlaceboをより強力で優秀なバンドへと成長させるだけに終わるという可能性もある。したがって英国の音楽雑誌が言葉による戦いを長引かせれば、それだけPlaceboのアルバムが売れることになるだろう。それこそが究極の“F--k off”ではないだろうか?

By Lesley Holdom/LAUNCH.com

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