『SNEAK ATTACK』 Victor Entertainment VICP-61319 2,520(tax in) 2001年6月12日発売 1 INTRO 2 GHETTO LIFESTYLES 3 ATTENDANCE 4 HOT 5 WHY 6 DOTH THOU KNOW 7 THE LESSIN 8 THE MIND 9 HIP HOP KNOWLEDGE 10 WHAT KINDA WORLD 11 I WILL MAKE IT 12 B-SIDE(INTRO) 13 GET YOURSELF UP 14 KRUSH THEM 15 HUSH 16 THE SNEAK ATTACK 17 SHUTUPAYOUFACE 18 FALSE PRIDE 19 THE RAPTIZM 20 TEMPLE TACTICS (日本盤ののみのボーナス・トラック) | | ヒップホップ界で最も影響力のある重要アーティストのひとりとして長年、君臨しているKRS-Oneだが、数年前には永遠にマイクを手放すことを真剣に考えていた。 「'97年にラップはもういいと思った」と、4年前に“次があるぜ”という名のアルバム『I Got Next』を出している元Boogie Down Productionsのフロントマンは言う。「8枚目のアルバムを出して、俺としては“これで、おしまい!”って感じだったんだ。でも、結局またやることになった。俺たち(仲間)にはリーダーがいるわけじゃないからね」 ブロンクスのラッパー、KRS-Oneは、9枚目のアルバム『Sneak Attack』でヒップホップ・ユニティのムーヴメントを復活させたいと願っている。新作は、一般投票で負けた人物が大統領になってしまうような時代に、どうしたら自分たちの生活を向上させることができるかを、彼の人気の根源でもあるポジティヴで活力を与えるメッセージによってリスナーたちに説いている。 「政治情勢が変わったのだから、我々はそれに備えなければいけないという現実をこのアルバムは伝えている」とKRS-One。「ジョージ・ブッシュが大統領だというのは、事実として受け止めよう。これはすべて“Sneak Attack(奇襲攻撃)”なんだ。もし気が付いていたら“Sneak Attack”にならない、ただの間抜けな作戦だ。このアルバムが言おうとしているのはそういうことだよ」 KRS-Oneは“休日”を神学校での勉強や10代の少年たちへの指導、Reprise RecordsのA&Rの重役としての活動、ツアーやロサンゼルスでのラジオ番組のホストとして過ごしている。そんな彼は自分のアルバムが、現在、チャートのトップを賑わしているヒップホップに充満している、物質主義的な傾向とのバランスを保つ役目を果たすと信じている。また、新作は政治的闘争の可能性にむけての用意ということだけではなく、社会的なパワーの獲得について語っているのだという。 「このアルバムの内容は、現在出回っているパーティ・モードの贅沢なライフスタイルを反映したものに比べれば“Sneak Attack”だ。『Sneak Attack』に秘められているのはこういうことさ。ロサンゼルスのRodney King事件に端を発した暴動以来、米国政府は都市部での闘争に備えている。奴らは“都会の脅威”に備えてトレーニングしてるんだ。都会の文化とはヒップホップだ。つまり、政府はヒップホップに対抗すべく備えているわけさ。こいつは“Sneak Attack”なんだ。 この、例えばKRS-Oneのような“声”だけが物事を前へ進めることができる。軍の連中が受け入れ、また(ヒップホップの)ギャングたちも受け入れるモノを提供することができるのさ。みんながヒップホップという名の下にひとつになったとき、俺たちは法を超えられるんだ」 '90年代初期には、ヒップホップは政治的インパクトをほとんど失っていた。'80年代後半にKRS-Oneが舵をとった暴力廃絶運動“Stop The Violence”は、Public Enemy、Heavy D、Stetsasonicのメンバー、M.C. Lyteらが協力し“Self Destruction”という強力なシングルを生み出した。この曲がリスナーたちに訴えかけていたのは、銃やナイフを手放し、替わりに自分自身の向上について考えようということだった。その後、西海岸のトップアーティストたちも同様のテーマを語り始めるようになったが、'90年代半ばになって、Dr.Dre率いるDeath Row RecordsとPuff DaddyのBad Boy Entertainmentの出現により、ラップのテーマは自力で勝ち取る力から、自己賞賛、それも往々にして暴力への賞賛へ取って代わられた。そして、まさにそれがKRS-Oneが戻ってきた理由なのだ。 「俺は、ヒップホッパーたちの生活の質を上げるための手助けを決して止めたりはしない。俺にはヒップホップの長期的な目標があるんだ。今年や、その後に出る音楽がどうのというようなことじゃない。俺たちが男性として、女性として、どんな人間になるかということだ」 By Soren Baker/LAUNCH.com | |