苦節7年で花開いた叩き上げハードロッカー
苦節7年で花開いた叩き上げハードロッカー |
いいかい、キッズ。ちょっとしたポップスクイズの時間だ。 Papa Roachとは…?: a)コンサートでマリファナを吸っているところをガードマンに捕まったときに君がとる行動。 b)人類よりも長く生存すると言われる放射能に抵抗力のあるゴキブリを表わすスラング。 c)たまねぎ生産の世界的な中心地として知られるカリフォルニア州ヴァカヴィル出身の4人組ハードロッカー。 c)だと考えたのなら正解だが、正直なところ、それほど感心しないな。ジブラルタル岩山(Rock Of Gibraltar)の下で暮らしたことはあっても、連中の作りだすノイズを少しでも聞いたことはないようだね。 自分たちのことをP. Roachと呼ぶシンガーのCobyDick、ギタリストのJerry Horton、ベーシストのTobin Esperance、ドラマーのDaveBucknerは、2000年の4月にメジャーレーベルからのデビュー作『Infest』をリリースしたばかりなのだ。 ヘヴィーなサウンドと同様にアルコール依存症(「Binge」)、離婚(「Broken Home」)、さらに自殺(「Last Resort」)といったヘヴィーな詞のテーマを聴かせるバンドは、陰欝な題材を取り上げることにかけては、確かにKornとその悲観主義者のリーダーJonathan Davisも裸足で逃げ出すほどである。 だが、Dickに言わせれば、誠実さこそ最善のポリシーであり、たとえそれが残酷なほど率直な多様性に結びついてもかまわないという。 『Infest』はいやになるくらいシリアスな問題を扱っていると指摘された彼は「そうだね」と同意した。 「大衆が本当に共感してくれるのは、音楽の背景にあるエネルギーや音楽のなかにある感情だと思うんだ。それと歌詞の意味深さや大胆さも重要さ。だってリスナーはほんとうに真正直だからね。アート気取りのくだらないことじゃなくて、ずけずけとものを言う姿勢が大切なんだ」 Roachは最近トップ5入りを果たしたことによって、Backstreet BoysやBritney Spears、Christina Aguileraといったポップアルバムの潮流を一掃してしまったが、確かに彼らは'93年の不運なライヴデビュー以来ずっと長い道のりを歩んできた。 その会場はDickが「英語に訳して言うなら、かなりのカウタウン」と呼ぶところのヴァカヴィルで行なわれたスクールタレントショウである。 だが、ロスアンゼルスやサンフランシスコといった大都市圏でのスポットライトの外側で成長する機会を得たことで、彼らは最終的にはKornやGreen Dayといった重量級打者とステージを供にするに至るほどの破壊力を鍛えるチャンスを掴んだのである。 「俺たちは'93年からインディペンデントなスタイルでバンドをやっている」 Dickが考察する。 「つまり、突然現われて演奏し、インディーズからレコードを出す。このおかげで強いバンドになれたんだと思う。クレイジーなパンクロックの連中とリヴィングやガレージ、ティーンセンターなんかで演奏し、それからクラブまわりを始めたのさ。まるでパンクロッカーのようなキャリアを積んできたみたいだよ」 今やマルチプラチナを達成し留まるところを知らない『Infest』の成功にもかかわらず、DickがPapa Roachの本質はライヴにおいて最も良く発揮されると主張するのはこのためだろう。 「まったく百聞は一見にしかずってやつさ」と彼は言う。 「最近じゃP. Roachに関するありとあらゆる誇大宣伝が横行しているが、そんなくだらないものは全然気にする必要はない。とにかくショウに来てくれて、バンドの実体を知って欲しいんだ。バンドに関する宣伝なんかより、バンドがライヴで何をやるかが重要なのさ。俺たちはそんな意気込みを大切にしてレベルを維持し、ショウそのものをロックさせている。これが肝心なんだよ。だって結局のところ、そこにいるのは誰なんだ? ショウに来てくれるキッズなのさ。ショウでロックして、血と汗を流し、叫び声を上げ、P. Roachに乗せられてどんなことでもやってしまうキッズだよ。もう5年もP. Roachに熱を上げている連中さえいるけど、今でも彼らはショウに来てくれるし、俺たちも連中をロックさせている。あらゆるショウがそれ自体で経験と言えるものにしようと努力しているのさ」 by Stephen Peters |