【インタビュー】HAN-KUN (湘南乃風)、ソロ15周年を振り返り初のフィーチャリングを語る「ずっと自分の中になかったものを解禁した」

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■名曲には絶対に“間”が存在する
■日本とジャマイカの共通点だと思う


──日本のポップスのカバーアルバム『Musical Ambassador』は2019年5月、続編の『Musical Ambassador II ~Juke Box Man~』は2021年11月にリリースされて、これまで以上に多くの人に聴かれて、ファン層を広げる結果にもなりましたけど、作ってみてどうでしたか。

HAN-KUN:楽しかったです。日本の歌を自分が歌ってみて、しかもレゲエに消化してっていうところで言うと、その人の歌詞の世界とかはもちろんだけど、しっかり読み取って自分なりに解釈して歌えたので。そこで一番感じたのは、名曲には絶対に“間(ま)”が存在するってこと。前の歌詞をしっかり噛みしめる時間があって、噛みしめた後に次の歌詞にちゃんと行ってるっていうか。レゲエも“間”の音楽だから、“日本とジャマイカの共通点ってこういうところにもあったんだ”と思って、すごい腑に落ちた部分があって。



──ああー。なるほど。

HAN-KUN:日本である程度作って、歌を入れて、ジャマイカに行って向こうのミュージシャンに弾き直してもらうっていうことだったんだけど、すごく楽しんで演奏してくれて。ジャマイカ人はコード展開とか、しないんですよ。レゲエはループの美学だから。もちろんミュージシャンだから当たり前に出来るんだけど、ループサウンドの、奥を噛みしめれば噛みしめるほど味が深まる、みたいなところをやり続けてる人たちだから、逆に面白がってやってくれたのと。あとはレゲエにアレンジされることで、カバーをさせてくれたアーティストの方々がもしも聴いた時に、“OKしなきゃ良かったな”っていう気持ちにだけは絶対になってほしくなかったし、本物を用意してちゃんと楽曲をお返ししたいなっていうのがすごくあったんで。それは本当に楽しかったし、自分の中で新しいチャレンジでもあったし、引き出しにもなったのかなと思ってます。

──間違いないです。

HAN-KUN:よくよく考えると、カバーってレゲエの文化の一つだから。ジャマイカの80sや90sのシンガーのヒット曲ってほぼほぼカバー曲だし、原曲を知ってから“あれはカバーだったんだ”とか、そういう掘り方してたらすげぇ面白くて。俺のカバーアルバムも、名曲中の名曲をやらせてもらってるから、たとえばお父さんお母さんが好きなJ-POPがレゲエになって、お子さんはその曲を時代的に知らないけど、それをきっかけに原曲を知っていくっていう楽しみ方もできたらいいなって。世代を超えて聴いてもらったり、ライブで楽しんでもらえたりとかするのに、カバーってすごくいい方法論だなと思うんですよ。『Musical Ambassador』で歌った「あなたに」っていうMONGOL800の曲は、今も結構な頻度で歌うし、去年モンパチのフェス<What a Wonderful World!! 23>に呼んでもらった時に、キヨサクと一緒に出る時間があって、「あなたに」を俺のバージョンで一緒に歌ってもらって、“ここでやっと完成したな”みたいな感じもありましたね。


──そして今、15周年を迎えて、また新たな流れが始まっていて。フィーチャリング曲が続けてリリースされましたね。2024年3月にリリースした第一弾が「HEAD SHOT feat.SKY-HI」。彼もまた、常に挑戦を繰り返して、枠を超えていくタイプのアーティストですよね。

HAN-KUN:SKY-HIに関しては、彼のラジオに呼んでもらって、いろんな話をしたんですよ。過去に結構ニアミスもあったし、共通の知り合いもいて。あとはソロをやり出した時期もたぶん近くて、ミュージックビデオが同じに時期に流れたりしてて、向こうもそれを見ててくれたらしくて、「あの時あの曲を聴いてました」とか。それと、お互いにグループがあって、ソロとしてやりたいことはあるけど、グループがあるからなかなかそこを認知してもらえないというか…おこがましいですけど、二人のストーリーが重なる部分もお互いあって。その後も一緒にご飯を食べに行ったりとかして盛り上がって、「一緒に曲を作れたらいいよね」とか言ってるうちに、気づいたら作品が出来上がってました。

──すごく自然な流れですね。

HAN-KUN:レコーディングが終わって3日後に、「僕のバースデーライブがあるんでぜひ来てくれませんか。この曲を歌いましょう」って声をかけてくれて、「もちろん行かしてよ」って言ったんだけど、よくよく考えたらレコーディング3日後だから、歌詞を全然覚えてなくて(笑)。しかもシークレットゲストだったんですけど、たぶん彼のお客さんのイメージの中では、シークレットゲストで出てきそうなリストに俺は入ってなかったと思うんですよ。頭に布巻いたやつがいきなり出てきて、“誰?”みたいになるだろうと思って、「俺でごめん」って言いながら出て行こうかなとか、そういう第一声を考えてたんですけど、普通に出ちゃいました(笑)。でも本当にいいお客さんで、すごく受け入れてくれて、まだ未発表曲だったんですけど、そこでいい感じに仕上がったなと思います。


──曲作りはどっちがリードしたんですか? 基本的に、HAN-KUNのダンスホール・レゲエの世界にSKY-HIを招いたというふうに聴こえますけど。

HAN-KUN:そうですね。ダンスホールに招き入れるというイメージがあったのと、あと今のトレンドもあったんで。二人で話してる中で、レゲトンとかアフロビーツが好きだということも共通してたんで、ダンスホールから、サビの部分はレゲトンな感じのビート感に移って、ブレンドした楽曲になりましたね。

──カッコいいです。SKY-HIのラップに、ラガっぽいノリもあって、もうばっちりです。

HAN-KUN:スキルを見せたいっていう思いが、たぶん彼もめちゃくちゃあったと思うし。俺のほうのお客さんやレゲエシーンが聴くことも想定して、そこにしっかり見せたかったというか、見せるべくやってくれたというか。スキル勝負をしてくれた感じですね。

──SKY-HIはアーティストとして、そして経営やプロデュースの分野でも才能を発揮してますけど、そういう部分についても刺激は受けましたか。

HAN-KUN:その話も聞きたくて「ご飯行こうよ」みたいな感じだったんですよ。先ほどお話ししたように、自分自身がブレずにやり続けてきた中で、ブレない芯を持つことに向き合う時間はもうそろそろいいかなって。それを当たり前に持ってるものとして、今度は外に発信していく、本当の意味で広げていく動きというのは、どういうふうにしていけばいいかな?と。若い人たちに自分の思いを伝えて、純粋にこの世界線を一緒に見れる人たちを増やしたいと思ったし、自分がソロで歩んできた道を一緒に歩ける人を探したいというか、将来バトンを渡せるような人を探したいと思った時に、彼がやってることはまさしくそれだったんで。


──確かに。

HAN-KUN:彼のほうが年は下だけど、その部分では大先輩だし、成功者だし、第一人者でもあると思うんで。彼の話を聞いて、今後自分にも何か活かせることがあればと思ったんですよね。

──ぜひやってください。HAN-KUNが若手を育てたり、プロデュースで手腕を発揮するのは見てみたいです。

HAN-KUN:それも今後の楽しみの一つだなとはちょっと思ったりしてて。自分自身、ソロではずっとセルフプロデュースしてたんで、そのまんまスライドできそうだなっていう気がしてます。

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