【インタビュー】HAN-KUN (湘南乃風)、ソロ15周年を振り返り初のフィーチャリングを語る「ずっと自分の中になかったものを解禁した」

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2024年、ソロ活動15周年を迎えたHAN-KUNは、記念すべきアニバーサリーイヤーを全力疾走で駆け抜けた。春には大阪と東京で初の野外ワンマンライブを、夏にはクラシックホールでオーケストラと共演するなど、新たな展開でファンを楽しませてくれた。さらに「HEAD SHOT feat.SKY-HI」、「君となら…feat.RYOJI」と、初のフィーチャリング曲を配信リリースして、さらなる挑戦への意欲を見せてくれた。

◆HAN-KUN 動画 / 画像

その勢いは2024年が終わり、2025年に入っても止まらない。稀代のVOICE MAGICIANは今何を考え、どこに向かおうとしているのか。新たな試みに挑み続けるHAN-KUNの、現在進行形の胸の内を聞いてみよう。


   ◆   ◆   ◆

■4人の時はああだったから
■自分のソロはどんなのができるかな?って


──あらためてソロ15周年、おめでとうございます。すごいことだと思います。

HAN-KUN:本当に、ありがたい限りです。グループもやらせてもらいながら。

──湘南乃風のデビューから5年後のソロデビューなので、かぶってるんですよね。5年ごとのアニバーサリーが。

HAN-KUN:そうなんです。なので、グループの周年から1年ずらして、正確には16年目なんだけど、お祝い事として1年経てやってるって感じです。

──祝い事は多いほうが嬉しいです。そしてソロの15周年は、グループとは違う特別な感慨があるんじゃないかと思います。

HAN-KUN:グループのほうでも15周年を経験させてもらっていて、その時の空気感とか、お祭り感みたいなものをすごく感じてたので。振り返るというよりは、追いかけるような意識がソロではあるかもしれないですね。“4人の時はああだったから、自分のソロはどんなのができるかな?”とか、そういう見方をしてるかもしれないです。それは一人のアーティストだとできないことだと思うし、ソロと4人を客観的に見られる時間が最近はできてきて、グループにいる時に自分のソロをそういうふうに見えるようになったり、逆もしかりだなと思います。


──せっかくの機会なので、これまでのソロの歩みを、ソロアルバム中心に振り返ってみたいなと思います。HAN-KUNのアルバムには、毎回明確なコンセプトがあって、それを辿ることであらためて見えてくるヒストリーがあると思うんですね。まずは2008年7月リリースの1stアルバム『VOICE MAGICIAN』は、どんな作品だったと思いますか。

HAN-KUN:ファーストは初めての自分名義のソロで、これが本当の処女作だと思っていて。コンピレーションとかにはソロも入れさせてもらってたんですけど、“初めてのソロ作で何を見せようか?”と思った時に、やっぱりライブが自分の一番の武器なので、ライブ音源を聴いてるようなアルバムになればいいなっていうのがありました。それが最初のコンセプトでもあり、結果、今に続く大きなキーになってるかなっていう気はしてます。

──そこから2年おきに2ndアルバム『VOICE MAGICIAN II 〜SOUND of the CARIBBEAN〜』(2010年7月発表)、3rdアルバム『VOICE MAGICIAN III 〜ROAD TO ZION〜』(2012年11月発表)と、順調にリリースが続きます。

HAN-KUN:ファーストで一個の形が出来上がったんですけど、そこをなぞるわけじゃなく。やっぱりライブ感というものを大切にして、セットリストみたいに、そのまんまライブで歌っても物語が出来上がるように意識して作り上げていくのが、自分の中での型になったのかな?って。それが確認できたのが『II』で、より現場を意識した作品になってる気がします。で、『III』はそれをもっと音楽的に寄せたものというか、『ROAD TO ZION』というタイトルで、一人で戦い続けるって意識がすごいあったんで、ソルジャーみたいな思いを内側に燃やしつつ。「LYRICAL SOLDIER」っていう歌も入ってるんですけど、それが作品を物語ってるのかな?と思います。



──4thアルバム『VOICE MAGICIAN IV 〜Roots&Future〜』はさらにその2年後、2014年7月のリリースでした。

HAN-KUN:『IV』を作った頃は、ちょうどジャマイカでもルーツリバイバルが起きてて、古き良きレゲエを今の子たちが新しいものとして消化して、ネオレゲエにしてるっていうのがあったんで、そこにすごく衝撃も受けたし、影響もしっかり受けて。当時のジャマイカでかかりまくってた「Roots&Future」っていう曲があるんですけど、今のジャマイカを体現するのは絶対これだと思って。そのリズムの名前が“ルーツマン・リディム”っていうんですよ。最初は「Roots Culture」にしようと思ったんですけど、それを今新しい子たちがやってるから、やっぱりそこは未来だなと思って、タイトルを「Roots&Future」にして、その曲をメインにしてます。

──その次の5thアルバム『VOICE MAGICIAN V 〜DEEP IMPACT〜』は、ちょっと間が空いて3年後の2017年8月に出ます。

HAN-KUN:いつもジャマイカに行ってアルバムを作ってたけど、日本人にも素晴らしいトラックメーカーやミュージシャンたちがいるんで、日本人が日本で作るレゲエをジャマイカに持ってって、ジャマイカの仲間に聴いてもらって、“どう?”っていうことをやりたかったのが『V』です。ジャマイカに行って制作するのを一つの形にしてきたけど、当たり前にあることをやってなかったなと思って。“それをちゃんと俺はできるのかな?”って、5作目はそこに向き合いたくて、そういう作品にしようと思いました。俺はすごく深い衝撃をレゲエからから受けたんで、それを逆に俺が日本でやりきってジャマイカに持っていった時に衝撃を与えられるような作品にしたくて、「DEEP IMPACT」っていう曲を作って、アルバムのタイトルにもして、「Roots&Future」からの「DEEP IMPACT」っていう流れになってますね。



──全部繋がってるんですね。

HAN-KUN:話が前後するんですけど、その前に俺は半年ぐらいニューヨークに住んでいて、ニューヨークを拠点に制作してると、カリブがすごく近いんですよ。日本からだと24時間かけて行かなきゃいけないけど、3時間半ぐらいでジャマイカに行けるし、トリニダード・トバゴも近くて。ニューヨークで知り合ったトリニダード人と一緒に行って、ちょうどカーニバルの時期だったんでいろいろ連れ回してもらったり、もちろんジャマイカにも制作で行ったり。トロピカルなアイランドヴァイブスが俺の中でめちゃくちゃある時期だったから、“アイランド・ヴァイブス”っていうコンセプトアルバムを作りたいと思って、ニューヨークのスタジオを借りて、完全に向こうで作り上げたミニアルバムが『Island Vibes』(2016年8月発表)です。

──スピンオフみたいな感じですかね。楽しい方向でちょっと息抜きみたいな。

HAN-KUN:それを経て“次は『Ⅵ』を作るぞ”ってなったんですけど、コロナがあってリリースできなくて。どうしようと思ったけど、“逆に今だからこそ出せるものってないかな?”と。そう思った時に、ファーストからずっと“ライブで歌ったらどうなるか?”っていうのを前提に考えてたけど、ライブができない世界線でアルバム作るのはこれが最後かもしれないから、チャンスなのかもしれないねって。今までそういう考え方で曲を書いたことはなかったけど、この機会だからこそ、ライブをあえて意識しない作品を作ってもいいんじゃないか?って。家とか車とか、自分のシチュエーションの中で聴いてもらえる作品っていうものをね。でもそれは世の中に合わせるってことじゃなくて、鎖を引きちぎりたいという決意を持って作った作品だっていうのを残したくて。それで出来たのが『UNCHAINED』っていうタイトルのコンセプトアルバムで。



──あれは2020年11月、コロナ禍真っ只中のリリースでした。

HAN-KUN:いつもアルバムの1曲目は“ぶち上がるぞ!”っていう曲なんだけど、このアルバムの1曲目に関しては逆にディープなレゲエサウンドから始まって、今の世の中の不条理とか葛藤を歌ってて。ネガティヴに捉えられるかもしれないけど、逆に今だからこそメッセージに共感してくれるだろうし、振り返った時に時代を思い返せる1曲目になればいいなと思って、「Red Alert」っていう曲から入っていくっていう作品です。最終的には、鎖を外した今、いろんなことに挑戦したいなと思って、カバーアルバムとか、フィーチャリングとかにも挑戦しようっていうところの、今に至る感じですかね。

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