【速レポ】<REDLINE>初日トリはクリープハイプ、「すごい日だなと改めて思います」

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1日目のトリを務めるのは、<REDLINE>がスタートした15年前から幾度となくこのイベントに出演し、ともに歩んできたクリープハイプだ。出てくるなりフロアを埋め尽くしたオーディエンスに「こんばんは、最後まで残ってくれて本当にありがとう」と感謝を示す尾崎世界観(Vo/G)。「盛り上がり切って“事後”みたいな空気が漂っていますが、こっちはまだまだやる気です」──彼らしいそんな言葉とともにライブは「HE IS MINE」でスタートした。

◆ライブ写真

曲中で尾崎が「なんだ、REDLINEこんなもんかよ?」とオーディエンスを煽ると、フロアを覆うムードが変わっていく。そのムードが、この曲といえばの“セックスしよう”の大合唱に結実していく。待ってましたとばかりに声を張り上げるオーディエンス……なのだが、今日はここでは終わらない。もう一度巻き戻して長谷川カオナシのベースのリフレインから始めると、「せっかくだから」とステージに鈴木健太郎(REDLINE主催者)を呼び込みマイクを通して件の言葉を叫ばせる。「こんな素晴らしいフェスを最後にするとか言ってるんで、もう一度やりたいと思うくらいの声でお願いします」という尾崎の要請に、オーディエンスも全力で応える。本当は尾崎は鈴木にその直前の“今度会ったら”を言わせようとしていたので、その点では思ったのとは違うものになったわけだが、フェスの主催者にあらぬ言葉を叫ばせるというのは、たぶんクリープハイプにしかできない特別な光景だった。


そこから小川幸慈のギターリフが迸る「社会の窓と同じ構成」を経て、長谷川が激しいベースリフを弾き始める。そこに小泉拓のドラムと小川のギターが乗り、始まったのは12月4日にリリースされたばかりのニューアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』からの楽曲「生レバ」。「生レバ食べたい」とか「ダフ屋になって誰かの利益で楽して生きてたい」とか、いけない欲望が脳内で渦を巻くような歌詞とカオティックで妖しげなサウンドに、続く「キケンナアソビ」の重いリズムも連なって、いつの間にか会場の空気は完全にクリープハイプのものに。曲が終わった後のざわざわとしたオーディエンスの反応が、彼らの唯一無二の存在感を象徴している。


続いて「ナイトオンザプラネット」を歌い始めた尾崎。歌詞に紐づけて「出会ったのは2008年のちょうど今頃の時期。下北の小さいライブハウスで、全然人気もなかったギターロックバンドを見つけてくれて、インディーズでCDを出してくれて、幕張のこんなでかいステージに立たせてもらえて」と<REDLINE>を主催するJMSへの感謝を口にして曲を始めていく。カオナシの弾くキーボードがメランコリックなムードを醸し出し、小川の繊細なカッティングが切なさを助長する。ハンドマイクで目を閉じて歌う尾崎の言葉はまるでひとりごとのようだ。クリープハイプはさっきの“セックスしよう”とはまったく違う形で、じっとステージを見つめるオーディエンスと心を通わせていく。最後のフレーズをすべての音を止めて声だけで届けると、4人は深々と一礼。フロアからはあたたかな拍手が送られたのだった。


そろそろライブの終わりが近づいてきた。「ありがとう、もうちょっとやります」──尾崎のその言葉を受けて、小泉がドラムのリムを打ち鳴らす。音頭のような軽やかなリズムとともに届けられるのは「大丈夫」だ。全部を肯定してくれるような尾崎の歌に、オーディエンスも手を挙げて応え、幕張メッセがクライマックスに向けてひとつになっていく。

「REDLINE、トリをやらせてもらえて本当に嬉しく思っています。早くから何バンドも出ていて、ものすごく盛り上がって、すごい日だなと改めて思います。こういう日をずっと作ってきた鈴木健太郎と言う人を尊敬しているし、これからも永くお世話になりたいと思っています」と尾崎。「大きな音を出して、大きな歓声を上げて、日常では味わえないような興奮と喜びと熱狂がずっとここにあって心からすごいと思うのと同時に、その合間にある無音の時間、家に帰ってひとりになったときのちょっと寂しい無音、それも大事だと思っています」と語ると、「最後にそういう、隙間にある無音のうるささを感じてもらえたらなと思います」とギターを弾き歌い出した。「天の声」だ。心の内を曝け出すような、まさに「ひとり」の歌が、メロディに乗って共有されていく。熱狂と高揚感に満ちた1日を日常へと帰すようなこの曲でライブは、そして、<REDLINE ALL THE FINAL>の1日目は終わりを迎えたのだった。


文◎小川智宏
写真◎MASANORI FUJIKAWA

セットリスト

[REDLINE STAGE]
1. HE IS MINE
2. 社会の窓と同じ構成
3. 生レバ
4. キケンナアソビ
5. ナイトオンザプラネット
6. 大丈夫
7. 天の声

■JMS主催<REDLINE ALL THE FINAL>

12月7日(土) 千葉・幕張メッセ 国際展示場 9-11ホール
12月8日(日) 千葉・幕張メッセ 国際展示場 9-11ホール
open9:00 / start10:30 / 終演予定22:00

▼12月7日(土)出演アーティスト
ACIDMAN、Age Factory、ALI、ASP、Awich、bacho、FAT PROP、FOMARE、go!go!vanillas、HERO COMPLEX、KOTORI、MONGOL800、MY FIRST STORY、PEDRO、RIZE、SATOH、SIX LOUNGE、THE FOREVER YOUNG、TETORA、tricot、w.o.d.、WurtS、04 Limited Sazabys、クリープハイプ、サンボマスター、ハルカミライ、東京スカパラダイスオーケストラ、優里
▼12月8日(日)出演アーティスト
AFJB、BLUE ENCOUNT、coldrain、Crossfaith、Crystal Lake、CVLTE、Dragon Ash、dustbox、EGG BRAIN、ENTH、FACT、Fear,and Loathing in LasVegas、FOR A REASON、HEY-SMITH、MAN WITH A MISSION、MONOEYES、MY FIRST STORY、NOISEMAKER、Northern19、Paledusk、ROTTENGRAFFTY、SHADOWS、SHANK、SiM、The BONEZ、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、TOTALFAT、WORSTRASH、マキシマム ザ ホルモン

■REDLINE ALL THE FINAL PROJECT “REDLINE DREAM BAND”

2024年12月6日(金)配信開始
※デジタルシングル
▼Vocal
Adam Graham (FACT)
AG (NOISEMAKER)
GEN (04 Limited Sazabys)
Hiro (SHADOWS / FACT)
細美武士 (MONOEYES)
庵原将平 (SHANK)
Jean-ken Jhonny (MAN WITH A MISSION)
Jesse (The BONEZ / RIZE)
JOEY (EGG BRAIN)
Jose (TOTALFAT)
Kaito (Paledusk)
笠原健太郎 (Northern19)
Kenta Koie (Crossfaith)
Kj (Dragon Ash / The Ravens)
MAH (SiM)
Masato (coldrain)
N∀OKI (ROTTENGRAFFTY)
NOBUYA (ROTTENGRAFFTY)
Suga (dustbox)
▼Guitar
Kazuki (SHADOWS / FACT)
YD (Crystal Lake)
Daidai (Paledusk)
▼Bass
チヨ (SPARK!!SOUND!!SHOW!!)
▼Drums
Tatsuya (Crossfaith)
▼Special Thanks
169 イチロー, タクマ, タナカユーキ (SPARK!!SOUND!!SHOW!!)



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