【速レポ】＜REDLINE＞TETORA「命がけのイベント。だから命がけできた！」

「TETORA始めます、よろしくお願いします！ たぶんフェスを楽しみにしてきたお客さんはAwich (真裏のBEGINNING STAGE)のライブを楽しんでいると思うんですが、TETORAはライブハウスが好きな人へ、ライブハウスのライブをやります！ あっという間に終わります」と上野羽有音（Vo, G）は開口一番に宣言。

◆ライブ写真

2024年8月に自身初の日本武道館公演をソールドアウトさせた大阪発のTETORAだが、ライブハウス出身バンドとしての誇りをここで爆発させる。＜REDLINE ALL THE FINAL＞のBODY STAGEはリハの段階から大勢の観客が詰めかけていた。


「素直」でスタートを切ると、キュートな歌声を解き放ち、初っ端から観客も拳を上げて騒ぎ出す。それから「産毛」「き」と繋ぎ、捲し立てるヴォーカルに比例して、いのり（B）、ミユキ（Dr）の演奏も加速度を上げていく。

「REDLINE、全員来い！」と煽ると、次は「7月」をプレイ。ドシッと重心の低い骨太サウンドで容赦なく攻め続ける彼女たち。さらに「バカ」「6月」「嘘ばっかり」と間髪入れずにプレイし、ロック衝動全開で飛ばしまくる。こうなると、もう歯止めは効かない。3ピースのケミストリーは右肩上がりに上昇。ガレージバンドのごときテンションで客席をなぎ倒していくようだ。上野のステージアクションも次第に激しくなり、ひざまずいてギターを掻きむしる場面もあるほど。その気迫のこもったパフォーマンスは、次のMCを聞いて至極納得した。


「命がけのイベント。だからTETORAも命がけできた！」と上野が言うと、ショートチューン「10月」で豪快に駆け抜け、残りは早くも2曲を残すのみ。歌詞のリフレインがクセになる「言葉のレントゲン」ではキャッチーなメロディを振りまき、会場を一つに束ねていった。また「カッコいいメンツやから、最後までお互いにカッコ良く！」と曲中に語りかけ、どこまでも気骨漲る表情を崩さない。そのスタンスは一本芯が通っていて、聴いているこちらも背筋を正される思いだ。負けん気の強さというか、誰にも負けたくないという感情を人一倍持っているバンドではないだろうか。彼女たちの歌声と演奏を浴びていると、日々のモヤモヤやストレスが発散されるような爽快感を覚えるのだ。

ラストは「レイリー」を披露。これまでの曲とは打って変わり、ミドルテンポのエモーショナルなナンバーを投下。哀切なメロディをたっぷりと聴かせ、リスナーの側にそっと寄り添う歌詞と曲調にグッと惹きつけられてしまった。今日のステージを観て、改めてもっと彼女たちのライブを観たいと思った人が大勢いたのではないか。ライブハウスで暴れつつも、時おりしっとりと浸れる曲をまだまだ聴きたい気分だ。


文◎荒金良介
写真◎小杉歩