【インタビュー vol.3】松岡充、SOPHIA復活を振り返り30周年を語る「ここからまた始めよう」
■同時代を駆け抜けた人たちとの再びの出会い
■リスペクトできるし、僕も頑張ろうと思えた
──デビューミニアルバム『BOYS』を音源からアートワークまでオマージュする。それをデビュー当時のレコード会社であるトイズファクトリーからリリースする。その企画力にはしびれました。
松岡:もちろん、そういう想いも含んでいるけど、この『BOYS and』は“もう一回、あのときのことを思い出して制作することができるか?”という投げかけです。
──メンバーに対して?
松岡:そう。
──この企画をトイズファクトリーに提案したのは松岡さんですよね。オマージュ企画やそのアイデアはトイズファクトリーとタッグを組まなければ生まれなかったものですか?
松岡:間違いなくそうです。トイズファクトリーはメジャーレーベルですけれど、僕の中では限りなくインディーズに近い。インディーズの魂を持った大メジャーなんです。じゃないと、こんなことはできませんから。“こんなことやってやろうぜ”って企むことができるのは、トイズだからだし稲葉社長だから、ですね。
──トイズファクトリーとのタッグがSOPHIAに新しい風を吹かせ、その風がさらに外部と繋がる。それを実証するように、新曲「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」は松岡さん主演舞台『Change the World』のテーマソングになりました。現代社会のあり方を問う舞台の内容と、この曲があまりにもマッチしすぎで、舞台を見ていて鳥肌が立ちました。
松岡:観た人はみんな言ってくれますね。演劇とか音楽とか、そういう枠を超えましたよね。ジャンルやフィールドが違っていようが、作品と作品が呼応し合うと、その場にいる人はそれを何の違和感もなくプラスαの要素として受け止められる。ゴリ押しでタイアップを決めたり、ゴリ押しで大きなプロモーション展開をして、という従来の日本の音楽業界のやり方が崩れ去った今、僕らにできることって、純粋に勝負していくこと。それしかないんです。今回、それがSOPHIA以外でやってる自分の活動に響いて、風を吹かせることができたのは、すごく嬉しいことでした。
──分かります。
松岡:SOPHIAのファンのなかには、「どうして松岡さんの舞台に、SOPHIAの曲を使うの?」と疑問を抱いた人がいたかもしれない。でも、劇場に来て現場を観てもらえれば、そういう人にも分かってもらえると思えた。だから、これもオマージュ企画と一緒なんです。SOPHIAの楽曲プロモーションの一環に見えるかもしれないけど、その裏では、もっとナチュラルにピュアに作品同士が共鳴し合っていたという。僕がやるとどうしても企画っぽく見えちゃうところがあるかもしれないですけど(笑)、その裏では、ものすごく泥臭くやってるんですよね。
──企画として面白いだけではなく、そこにしっかりとした意図があるところは松岡さんの優れた部分なんですが。パブリックイメージとして、松岡さんのそういうところがなかなか伝わりづらいというか。
松岡:あぁ~分かります。
──シニカルな視点や重みのある言葉で、リスナーの思考を活性させる歌のイメージとも違う気もしますし。
松岡:作品はインナーワールドなので外見ではないから。どっちが本当なの?と言われたら、どっちも本当なんです。
──では、今日のインタビューでもいろいろ語っていただきましたが、結成30周年の今、松岡さんを突き動かしているモチベーションってなんですか?
松岡:大きなものは、“30年間ありがとう”という気持ちですよね。<獅子に翼V>までは“待っててくれて、ありがとう”でしたけど、それがさらに拡大して、もっと大きなありがとうになっているのかもしれない。それはファンだけではなく、メンバーに対する気持ちでもあるし。特に都(啓一 / Key)には“生きててくれてありがとう”という気持ちが強まりますよね。他のメンバーには“帰ってきてくれてありがとう”という想いもある。メンバー以外にも、トイズファクトリーやスタッフにもあるし、これまでより大きめのありがとうが、この30周年にはあります。
──今、SOPHIAは楽しいですか?
松岡:はい。楽しいです。今の楽しみ方ですけどね。昔みたいに5人が固まって戦う、という感じではないけど。
──松岡さんが旗を振ってみんなをまとめて引き連れていく、というかたちではなくて?
松岡:そこの荷はちょっと下ろしたから、少しラクにはなりました。
──とは言え、ライブハウスツアーや『BOYS and』の意図を聞くと、やはり松岡さんだなと。今後、30年目にしてまた5人の新たな関係性が生まれそうですか?
松岡:そうですね、これからだと思います。
──松岡さんのなかで、SOPHIAはテレビドラマのシーズンに例えると何シーズン目ぐらいな感覚ですか?
松岡:12シーズンぐらいいってるんじゃないですか。しかも1シーズンが30話ぐらいある(笑)。
──360話を超えちゃったじゃないですか(笑)。この先、どのくらい続いていきそうですか?
松岡:いろいろな人が関わって成立しているSOPHIAなので、そこに絶対に意義を見い出して、やる意味がある限り続けたい。その代わり、意味がないものは1本たりとも1曲たりともやったらダメだと思う。そういうものはやるつもりもない、と僕は思ってます。今という時代を総括して見たとき、“こういう人たちがいたからこそ、素敵な時代になったんだ”って未来になるように、その時代の一部をしっかりと担っていきたいと思っています。世界は今、混沌とした時代だけど、僕は日本人が好きだし、日本という国が好きだから、日本語を使って表現するアーティストとして存在する意義を、たとえ小さな声だとしても、声を上げていきたい。そういう意味では、HYDE君のやってる活動は素敵だなと思うんですよ。頑張ってるその姿を見て、奮い立たされる。
──HYDEさんとなにかお話を?
松岡:昨年末、YOSHIKIさんに声をかけてもらって『NHK紅白歌合戦』に出演したじゃないですか。そこでHYDE君とか清春君とかと、それぞれ話をしたんですけど。初めてですよ、2人で話すのなんて。同じトイズファクトリー所属だったのに在籍当時は面識のなかったハイスタの難波さんとつながったり、aikoちゃんとも、そこで再会したり。また別ですがGACKT君が声をかけてくれて、食事会に誘ってくれたり。
──想像するだけでもすごい『NHK紅白歌合戦』のバックステージですね(笑)。
松岡:YOSHIKIさんもhideさんも当時はほとんど関わりがなかったんですよ。HYDE君、清春君、GACKT君にしたってほぼ付き合いはなかったけど、去年末から今年にかけての数ヶ月間に、同じ時代を駆け抜けた人たちと、それぞれ再び出会う機会があって。それらがバーって繋がったときに、すごくリスペクトできる人たちだな、素敵だな人たちだなと改めて思ったんですよ。だからこそ、僕も頑張ろうと思えたし。
──30年も同じ音楽シーンを駆け抜けて、今も第一線にいるという絆があるんでしょうね。
松岡:LUNA SEAの皆さんも。去年の夏、SUGIZOさんが声をかけてくれて北海道のフェス<TOMAKOMAI MIRAI FEST 2023>に出演させてもらったり。そんなこと、今までなかったですからね。SOPHIA復活とともにいろいろな話をいただいて、そこには“SOPHIA、頑張ってくれよ”というメッセージがあったなと思って。そうやって、いろんな偶然が重なって繋がっていく。みんなすごく頑張ってるから、やっぱりリスペクトしますよね。
──それが松岡さんを、さらにもっと突き動かすモチベーションにも。
松岡:間違いなく、モチベーションになってます。
──この先、もっともっと刺激的な企画が生まれそうですね。期待してます、SOPHIAの30周年に。
松岡:はい。楽しみにしていてください。
取材・文◎東條祥恵
撮影◎小松陽祐 (ODD JOB LTD)
ヘアメイク◎戸倉陽子/狩野典子
■ライブ映像作品『SOPHIA Premium Symphonic Night in 大阪城ホール』
※予約限定パッケージ締切:11月20日23時59分
【期間限定予約商品(Blu-ray+2CD)】
PPTF-7113~5 ¥8,800(税込)
https://store.toysfactory.co.jp/syousai.asp?item=PPTF-7113
【Blu-ray】
PPTF-7116 ¥7,150(税込)
https://store.toysfactory.co.jp/syousai.asp?item=PPTF-7116
▼収録曲
01. Overture
02. 青空の破片
03. Eternal Flame
04. ヒマワリ
05. 蜘蛛と蝙蝠
06. KURU KURU
07. brother & sister
08. Believe
09. Replay
10. Place~
11. one summer day
12. あなたが毎日直面している 世界の憂鬱
13. in the future
14. 街
15. 夢
16. 交響曲第9番 ~ 黒いブーツ-oh my friend-
■ミニアルバム『GIRLS and』
※詳細後日発表
■『SOPHIA 30th Anniversary × JOYSOUND直営店コラボキャンペーン』
※キャンペーン開始時間および終了時間は各店舗の営業時間に準じます
キャンペーンサイト:https://shop.joysound.com/campaign/sophia_2024/
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