【インタビュー】緑仙、3rdミニアルバムに無敵のバンドサウンドと無限の広がり「何でもできるマンを目指します」

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■歌詞を書いているときは
■ビックリするくらい泣いてたんです


──続く「猫の手を貸すよ」は猫目線で描かれた、愛らしくて切ない雰囲気の楽曲。

緑仙:これは完全に自分の話なんですけど、人生において一番感謝しているもの、なくてはならないものはやっぱり猫なんです。いてくれるだけでいいというか、救われている自分がいて。寄り添ってくれて「ニャー」って言ってくれるのも、自分を慰めてくれてる…って勝手に思ってるだけなんですけどね。猫のほうは「メシよこせ」「撫でろ」「僕を見ろ」の三択でしょうけど(笑)、それをわかったうえで幸せにしてもらってるという。猫の手も借りたいって言葉があるけど、勝手に借りてるんですよ、人間が。そういうことを猫目線で書けたら面白いな、と。

──そういう話は作曲の加藤さんとも共有してるんですか?

緑仙:してます。「歌詞はこういう内容になります」というところまでお伝えして、作っていただいたので。デモの仮タイトルも“猫”だったんですよ。「猫、どうなってます?」みたいな(笑)。いつも加藤さんの話をするときは「加藤さんは怒るかもしれないですけど」と前置きするんですけど(笑)、デモ音源は加藤さんが小さい声で歌ってくれていて。“猫”のデモを聴いたとき、「ニャア」って歌ってるような気がしたんですよ。プロデューサーの方とも「これ、“ニャア”って言ってますよね」って話してたんですけど、本人はそんなつもりなかったみたいです(笑)。それくらいかわいいメロディだったし、最初のデモをいただいた時点で「ここを直してほしい」みたいなことはまったくなく、「これだ!」ってなりました。


──加藤さんと緑仙さん、通じ合ってるんですね。

緑仙:そうだったらうれしいですね。制作のやり取りのなかで、自分が「ほら、ああいう感じだよ」みたいな曖昧な話をしても、「これかな」ってリファレンスを出してくれて、「すごい! なんでわかったの!?」ということも結構あって。ありがたいですね。

──4曲目の「all-last」はエッジが効いたアッパーチューン。作曲・編曲はebaさんです。

緑仙:この曲のきっかけは“自分が一番応援されるのは、どんなときだろう?”と考えたことなんですけど、そのなかで“麻雀だ”と思い至って。VPL(V-Pro League)というVTuberの麻雀リーグがあって、自分も2年連続で出させていただいてるんですよ。チームで参加するんですけど、チームメイトに「がんばれ」って声をかけてもらったり、「いい試合だったね」って言われることもあって。もちろん自分も応援するし、サッカーの試合を見てるときと同じような感じなんです。「その感覚を曲にしてみたいです」とebaさんにお願いして作っていただいたのが、「all-last」ですね。

──めっちゃライブ映えしそうですよね。続く「君の好きなところ」はタイトル通り、“君の好きなところ”をテーマにした楽曲。めちゃくちゃラブリーですね。

緑仙:うれしいです。前作に入ってる「友達代表宣言」に“きみの良いところ100個も言える”という歌詞があるんですけど、“本当に言えるのかな?”と。そういうシーンって、意外とあると思うんですよ。「私のどこが好き?」「えー、顔でしょ、声でしょ、スタイルでしょ」「もっと内面的なところも言って」みたいな(笑)。自分は言語化が好きだから、「100個いける気がする」と思って、無理くり出して。そのなかには友だちから聞いた内容や小説で読んだことも 入ってるんですけど、それをプロデューサーに渡して「100個いけました。曲にしましょう」と(笑)。それこそebaさんがポップで愛らしい曲を作ってくれて。さすがに100個は詰め込めなかったんだけど、50くらいは入ってますね。聴いてくれた人が、一つでもいいから“これって自分の恋人のことを言ってるみたい”ってドキッとしてもらえたらうれしいです。


──EP『ゴチソウサマノススメ』の最後は「終着駅から」。“大切な貴方へ(愛しているよ)”という歌詞が印象的なバラードです。

緑仙:これもすごく個人的なことなんですけど、去年のソロライブ(<緑仙 1st LIVE「Ryushen」>2023年6月8日@神奈川・KT Zepp Yokohama)のちょっと前に、おじいちゃんが亡くなったんです。僕からのメッセージを曲にしたいと思ったんですけど、ちゃんと歌詞にできてるかどうか不安なところもあって。数年後には感じることがまた違ってるかもしれないけど、現状としての答えみたいなものが出せていたらいいなと思っています。

──そうだったんですね。歌詞を書いたのはいつ頃ですか?

緑仙:今年の夏ですね。おじいちゃんは“たまに会う”とかではなくて、小学校低学年の頃は“学校が終わったら遊びに行く”くらいの距離感だったんですよ。身近な人が亡くなるのは初めてだったんですけど、悲しいというより、“一緒に旅行したとき、楽しかったな”とか、いい思い出を振り返ることのほうが多くて。もらったもの、教わったものがすごくあるし、寂しいや悲しいよりも“ありがとう”という気持ちのほうが強かったんです。ただ、それをなかなか言語化できなくて。僕が上手く言語化できないのは恋愛感情だけだと思ってたんだけど、それ以上にできなかった。この曲の歌詞も自分視点でしかないんだけど、どうしても形にしたかったんですよね。他の曲に関しては“こんなふうに聴いてほしい” “こう感じてほしい”というのがあるんだけど、「終着駅から」はみんながどう感じてくれるのか、本当に未知数ですね。

──温かみのある歌声にもグッと来ました。

緑仙:歌詞を書いているときはビックリするくらい泣いてたんですけど、レコーディングのときは感謝の気持ちのほうが強くて。それが伝わっていたらうれしいです。

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