【インタビュー】ハナフサマユ、4thアルバム『色彩』に12色のアイデンティティ「自分の得意を極めることが今回の挑戦」

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■“明日少しだけ前を向ける”を
■モットーに歌を歌っている


──次の「星が降る度に」から、また優しいモードに戻ってきますが、感情の起伏のような楽曲の繋がりはこだわったところですか?

ハナフサ:曲順はものすごく考えました。1〜2曲目で自分の得意なメッセージ性のある曲を持ってきて、そのあと少しダークなほうに潜ってみたり、ちょっと遊びを含めたりしながら、また自分の得意なところに戻っていくような流れをイメージしています。

──「憂さ晴らし」が荒れている分、「星が降る度に」がすごく優しく包み込んでくれる楽曲になっていて。傷ついている人をそのままにしたくないという想いが伝わってきます。

ハナフサ:包んじゃいましたね(笑)。やっぱり“明日少しだけ前を向ける”をモットーに歌を歌っているので、本当に救いようのない曲は書きたくないんですよね。どこかで希望の光を見出したくなるのは、私の曲全部に言えることだと思います。「星が降る度に」は、とことん優しい、優しさ100%みたいな理想像を詰め込んだんです。“実際にはこんな人いないんだろうな”と思いながらも(笑)、好きなマンガを読んで感じた“キュンポイント”を膨らませて書きました。現実で聞くとちょっとダサいセリフも、マンガだとグッと刺さる瞬間があるじゃないですか。それは歌も同じで、歌なら許されることがあるんじゃないかなって。あえてシンプルな温かい言葉で書きましたね。


──「Darling I love you」も、ストレートなラブソングですね。

ハナフサ:これは昔書いていたものを引っ張り上げてきた曲で。「星が降る度に」のアンサーソング的な、シンプルな言葉でまっすぐ伝える歌になりました。何年も前の曲なので、今よりシンプルな言葉遣いで書いていたんですけど、その歌詞を今難しく書き直すのは違うなと思ったんです。どの曲でもわかりやすく、スッと自分に当てはめられるような歌詞を意識しているので。シンプルにすることを恐れず、まっすぐな言葉のままにしようと思いました。今、イチから書いたら、たぶん出て来ない歌詞ですね。

──アレンジも、アコギとパーカッションの音が優しい、寄り添ってくれるような音像になっていて。

ハナフサ:バラードをイメージしていたんですけど、“レゲエの要素を入れるのはどうだろうか”という提案をいただいて、この曲の温かみが出たアレンジになりました。弾き語りだと、ちょっと切なさが出てしまうような気がして。

──たしかに。ちなみにラブソングは、アルバムの要素として入れておきたいものですか?

ハナフサ:『バートレット』と『結晶』では、ドラマに向けて書き下ろしたラブソングが入っていたんですよね。もともとラブソングを常に書いているタイプではなかったんですけど、書き下ろしを経て、身近な目線だったらラブソングも書けるかなと思う瞬間がたくさんあって。そのほうが恋愛以外にも受け取れるし、自分としてもいろいろ解釈が出来るので、書きやすくなりました。実はすごい失恋ソングも書いていたりしたんですけど、結果的に今回のアルバムに合うのはこの子たちでしたね。



──「栄光に向かって」は、オリンピックにインスパイアされて生まれた曲だそうですが?

ハナフサ:最初は夏の曲をっていうくらいのざっくりしたところから始まったんですけど、ちょうどオリンピックや甲子園でスポーツが盛り上がる時期だったので、がっつりスポーツというテーマに向き合って書きました。選手はもちろん、応援する側の気持ちを音楽でひとつにしたいというイメージでしたね。アレンジでさらに疾走感を出していただいて。

──ストリングスが声に合っていて爽快感がありますよね。歌っていても気持ちいい曲なのでは?

ハナフサ:はい。キー設定もあまり高くせず、自分の得意な余裕のある音域で作っていったので。すごく歌いやすいし、歌っていて楽しい曲ですね。


──さらに、ミュージックビデオを母校の関西大学のグラウンドで撮影したそうで。どういう経緯で実現したんですか?

ハナフサ:スポーツの応援歌のミュージックビデオということで、どこで撮ろうか考えている時に関大のグラウンドを思いついたんです。関大のグラウンドって、結構豪華で設備が整っているんですよ。それで撮影に借りられないか相談したら…私は大学在学中からシンガーソングライターを始めたので、以前から大学側が応援してくれていたというのもあって、いろいろ調整していただいて実現しました。滅多にないことのようで有り難かったですね。在学中は、撮影に使用したグラウンドには足を踏み入れたことがなかったので、あまりの大きさにびっくりしました。

──そこで後輩たちが頑張っているかと思うと、場所自体にメッセージを感じますよね。開放感あふれる映像に仕上がっていますが、実際にグラウンドでパフォーマンスしてみていかがでしたか?

ハナフサ:母校に帰ってきた瞬間に、“ただいま”みたいな気持ちになって。グラウンドで繰り広げられるスポーツがもっと盛り上がっていけばいいなと思いながら、その場所に立たせていただきました。

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