【対談】千秋(DEZERT) × 葉月(lynch.)、<This Is The “FACT”>直前に語る異色の存在感「ずっと謎で、だからこそ怖い」
■絶対にトゲトゲしないって決めてます
■俺は嫌われないぞって気持ち
──lynch.とDEZERTの道のりは対極だし読めない部分があると?
千秋:“うまいこともっていきそうやな”っていうバンドでもあるんです。アルルカンとか、MUCCとか他の先輩が相手だったら、別のところで戦えるんですよ。その人のパフォーマンスを見て…まあ、あまりそんなことしないですけど、その人がMCでこう言ったから、こうしようかなとかも思えるんです。だけど、lynch.に関しては、触れんほうがいいっていうか。
葉月:でも、前回の対バンでモノマネしてなかったっけ(笑)?
千秋:それ、めっちゃ怒られたんですよ、lynch.ファンの方から(笑)。かといって、めっちゃ怖いファン層でもないし、ライヴでちゃんとノッてくれたりするし。“これはちょっと、あまりこすらんほうがいいな”っていう。触れんほうがいいっていうのは、今までずっとそう。相性がいいとも思ったことがないですけど、悪いとも思ったことがないですし。うちのお客さんはもちろんlynch.の曲を知ってると思うんですけど、“DEZERTとlynch.のライヴ、両方に行っているお客さんっているのかな”って。いるんだろうけど、僕の肌感ではあまり聞かないんですよね。ってことは、今やったらすごくいいじゃんっていう。
葉月:うん、わかる。
千秋:特に、僕自身がもうギスギスしてないから。お客さんを獲ってやろうとかじゃなくて、お互いにいけるところまでいけばいいじゃんっていう。たぶん絶対いいもの観せてくれるからっていう。だから、今回がスタートになればいいなって、僕はすごく思っているんです。仲良くなるためのスタートというよりは、こうしてバンドを続けて、同じステージに立っていることって、わりと奇跡に近いような気もしてきてて。今、ヴィジュアル系に限らずですけど、いろんなものが淘汰されてきているじゃないですか。
葉月:そうだね。続けることが難しい時代でもあるだろうね。
千秋:この間、MUCC先輩のツアー(<MUCC TOUR 2024「Love Together」>)に呼んでもらって、対バンさせていただいたんですけど、長く続けているバンドってやっぱりすごいんですよ。僕らも13年なので、続いているバンドになってきたんですけど、その年月の持つエネルギーっていうのはやっぱり違うんですよね。
──と言いますと?
千秋:僕ら自身も昔、“若いほうがエネルギーが強い”と思っていたんですけど、そういうものとはまた違う形になってきていると思うので。間違いなく、それはいいエネルギーになっていると僕は踏んでいるんです。
葉月:だから今、<【This Is The "FACT"】TOUR 2024>をやることに意味があると。
千秋:はい。今回の<【This Is The "FACT"】TOUR 2024>は、Sadieに関しては僕がファンだったというのがあるので別ものではあるんですけど、絶対にトゲトゲしくはしないって決めてます。
葉月:はははは。
千秋:内容は置いておいて、いい意味でピースフルであるべき。“俺は嫌われないぞ”って気持ちで挑もうと思ってます。
──「lynch.はずっと謎で、だからこそ怖い」という発言もありましたが。
千秋:稀有な存在だと思うんですよね、lynch.は。若いバンドの子たちからしたら、モデリングになるべきバンドでもあると思う。バンドって昔はまず、有名な事務所に所属してとか、プロセスがあったと思うんですけど。「lynch.の事務所ってどこ?」って言われても、わからないじゃないですか。ということは、モデリングすべきバンドだし、結構モデリングできるはずだと思うんですよね。『lynch.が武道館やるまでのマネージメント力』っていう本を出したら、バンドマンにとってはありがたいと思いますね。僕自身、読みたいし。
葉月:ははははは。
──葉月さん自身は、変わった歩みだったという自覚はありますか?
葉月:ありますけどね。本当は僕も、有名な事務所に入って、スパーンと売れて、デビュー1年で武道館ワンマンをやりたかったんですよ。だけどlynch.は、いろいろあって最初に入った事務所をすぐ辞めちゃったんです、“ろくなもんじゃねえ”って。当時は事務所に入ってなんぼみたいな時代でしたけど、「とりあえず、自分たちでやろう」ってみんなで話して。結成から7年くらいは全て自主でやっていたのかな。ただ、それも結果的にそうなったという感じなんですよね。
──意図して進んできたというよりも。
葉月:うん。事務所からいろいろな誘いがあったとしても、自分たちのやりたいこととか、自分たちでやるメリットを超えてくるような話がなかったというかね。簡単に言えば、自分たちでマネージメントすると、好きなようにできるじゃないですか。リリースのペースもそうだし、曲調も作品形態もそう。そういうことを他の誰かに決められるのも嫌だったから。まぁ、単純に自分たちでやったほうが、当然ですけど身入りもいいじゃないですか。
──レーベルに関しては?
葉月:メジャーからリリースしたいという話が、2010年とか2011年にあって。そのときも「別にもうメジャーにいかなくてよくない?」って言ってたんですよ、僕は。だから、当時は相当わがままを言ってたと思いますよ(笑)。「自分たちだけでこれだけやれてるから、これより良くならないと嫌です」とか。
──実績を把握しているから、より具体的な交渉もできるわけですね。
葉月:そうしたら、それよりもいい条件を提示してくれたから、メジャーでやっているというだけなんですよ。
千秋: lynch.のやり方は今の時代、特に参考になると思うから。やっぱり若いバンドは絶対に話を聞いたほうがいいと思う。
──<【This Is The "FACT"】TOUR 2024>は、両バンドにとっていいタイミングでの開催となりそうですね。改めて、ライヴへの意気込みを聞かせてください。
千秋:ぶっ倒します!
──あれ、「絶対にトゲトゲしくはしない」んですよね(笑)。
千秋:ぶっ倒します。それは絶対そうですよ。以前の<【This Is The “FACT”】-EXTRA->でlynch.が、「「変態」」をコピーしてくれたんですよ、サプライズで。それがまたいやらしくて、ちょっとカッコよかったんですよね。リスペクトのかけらも感じなかったんですけど(笑)。
葉月:ははははは!
千秋:だから、今回は勝ってやろうっていう(笑)。俺らは、そのとき用意してなかったんですよ、lynch.の曲を。っていうのも、“そういうんじゃねえだろう”って思ってたからなんですけど、しっかりlynch.が1曲用意してきていたので。僕らも今回は1曲、しっかりと準備して持っていこうと思ってます。
葉月:マジで?
千秋:何やるかは、教えませんけどね(笑)。
葉月:僕は今、2018年当時ほどの貪欲さとか“全部搾り取ってやる”みたいな気持ちはあまりなくて。むしろ、“対バンが久しぶりで緊張するな”くらいの感じなんですよ(笑)。でも、そう言ってもらえると、“じゃあ、頑張らなきゃな”って改めて思いました。
──カバーもありそうですか?
葉月:DEZERTがやってくれるんだったら、僕らもやらなきゃいけないね。今、lynch.はツアーを回っていて、バンドとしていい状態なんですよ、演奏もすごくいい。それをそのまま持っていきたいですね。2018年のときとは全然違うので、頑張って大人のいいところを見せますよ。
千秋:lynch.の地元である名古屋でやるいうのも、僕のなかで心踊るというか。敵地だと思って乗り込むので。だから、ぶっ倒します!
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎西槇太一(DEZERTライブ)/Ryota Tsuchiya (lynch.ライブ)
■<DEZERT Presents【This Is The "FACT"】TOUR 2024>
vs lynch.
open16:15 / start17:00
10月20日(日) 大阪BIGCAT
vs Sadie
open16:15 / start17:00
11月15日(金) Zepp Shinjuku
vs MUCC
open17:00 / start18:00
https://www.dezert.jp/news/detail/28549
■<DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」>
OPEN 17:30 / START 18:30
(問) SOGO TOKYO 03-3405-9999
▼チケット
全席指定 ¥6,600(税込)
※未発表音源「オーディナリー」CD付き
※営利目的の転売禁止
※未就学児童入場不可
特設サイト https://dezert-budokan.com/
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