【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2024>サンボマスター、「ロックンロールのアゲインストとして」

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気持ちは揺さぶられ、魂は震え、そして嬉しさや安らかさで勝手に涙は溢れ、次に新たに生まれた勇気や活力で、武者震いのように全身が痙攣した。

14時40分に<山人音楽祭 2024>の赤城STAGEに立ったのがサンボマスター。ロックンロールナンバー「ヒューマニティ!」で始まった彼らステージは、会場に集まったオーディエンス全員を“優勝”に導くように、奮い立たせるメッセージを放ち続けた。

中盤には、「1989年にヒロトとマーシーが北会津の村に来てくれたんだ」と多感な時期にロックンロールと出会えた喜びも語った山口 隆。今度は自分たちがロックンロールで喜びも幸せも届けるんだとばかりに、曲を音を豪快に鮮烈なかき鳴らす。そしてフロアに広がったのは、冒頭に書いたような反応や姿のオーディエンスたちだった。それでもなお、サンボマスターは叩きつけてきた。

「悲しくなったり、寂しくなったら、またライブに来るんだぞ。オメーの顔、覚えたからな。約束してくれよ。次、ライブで会うまでに勝手に死んでんじゃねーぞ! この野郎!!」

しかもトドメに、楽しくなる呪いや、笑っちゃう呪いまで遠慮なく掛けるサンボマスター。いろんな人の気持ちを救い出すヒーローはここにいた。そんな3人にライブ直後に話を伺った。

   ◆   ◆   ◆

──今日のライブも感激しました。手応えはいかがでした?

近藤洋一:<山人音楽祭>は久しぶりで、出るのは何年ぶりなんだ?

木内泰史:久しぶりだよね。

──2018年に出演しているんですよ。それ以来なので、6年ぶりですか。

山口:あらっ!

木内:コロナ禍もあったし。あと別のフェスとスケジュールがかぶって、出れなかったこともあったから。それで6年も開いちゃったんですよね。いつもG-FREAK FACTORYには誘っていただいているんですよ。

近藤:すごくお客さんに歓迎してもらって、すごい集まってくれていたし、めちゃくちゃ嬉しかったです。ツアー(<ラブ&ピース!マスターピース!>でも群馬に来れていなかったんで。

山口:今回はそうか。

木内:栃木が入っていたから、群馬には来れなかったんだ。

近藤:そう、群馬は久々なんですよ。こんなに待ってくれていたんだと思って、すごく嬉しかったですよ。

山口:それにね、<山人音楽祭 2024>はすげーカッコいいバンドばっかりで。

木内:最近、ワンマンライブが多かったから。今日はバンドだらけじゃないですか。フェスとはいえ、対バンですよ。“よりいいライブをやらなきゃ!”っていう感じが、久々にありますよ。それが楽しい。

山口:今日は、会場に入って早々、HAWAIIAN6を観に行きましたから。HATANOさんに僕は釘付けですよ。思わず「イェーイッ!」って言いましたよ、元気に。それでThe BONEZもいるし、Dragon Ashもいるし、ザ・クロマニヨンズだもの。すごい素敵な日ですよ。楽しいし、嬉しいし、ヤベーッという感じ。ロックの祭典ですよ。

木内:実は自分たちの本番直前、ちょっと機材トラブルあったんですよ。それで5分押しちゃったんだけど、その前からHAWAIIAN6を観て、The BONEZも観て、すでに自分の頭の中はブチ上がってたんですよ。テンションは高まってましたね。早くライブやりたい、やりたいって、ステージに出ていったんで、最高ですよ。

山口:とにかくG-FREAK FACTORYに恩返しじゃないけど、バトンを繋げたらなと思っていたんですよ。そうしたら、とにかくお客さんが凄すぎて。俺らの何倍も返してくださる感じでしたよ。


──G-FREAK FACTORYとは付き合いもかなり長いですよね?

木内:むちゃくちゃ長い。俺らがデビューしたころ、高崎フリーズというライブハウスでやったとき、G-FREAK FACTORYのメンバー全員で遊びに来てくれて。だから20年以上前からの付き合い。

近藤:その前からG-FREAK FACTORYという名前は知っていたし。すごい有名でしたよ。

山口:そのG-FREAK FACTORYと一緒にライブやれたときは嬉しかったし。2014年の<GUNMA ROCK FESTIVAL>のときにも呼んでいただいたし、ツアーにも何度も誘っていただいたんですよ。そしてこんな凄いフェスをずっと続けているのは素晴らしいですよ。

──サンボマスターは様々なフェスに出演していますが、いつも思うんですよ。今、ものすごく求められているってことを。山口さんがMCでも言っていたように、震災やコロナ禍や戦争などで、悲しみと不安が付きまとう世の中にもなっています。サンボマスターが放つ前向きなメッセージや優しさに触れると、勝手に涙が溢れるんですよね。

山口:自分たちではそれが分からないけど。でも、今日、ひとつハッキリ言えるのは、ヒロトさんとマーシーさんのファンであるってこと。大きな声では言わせてもらいましたけどね(笑)、“1989年に家に来た”ってことを。

──MCで確かに言ってましたけど、そりゃ、違うでしょ。直接、山口さんの家に訪れたわけじゃなくて、ザ・ブルーハーツのレコードを買って初めて聴いたときの衝撃を、そういうふうに言っただっただけでしょ(笑)。

山口:いや、あれは来た。オレん家に来たんだな、あれは間違いなく。

──最近の山口さん、妄想癖でもあるんでしょうか(笑)。

山口:いや、そう思っちゃうぐらいの感じだったから(笑)。そんな出来事もあって、今はこうやって3人でバンドやって、ロックンロールを続けられて、ここに出させてもらうのは、ありがたいなって。

近藤:時代がどんどん変わってきて、垣根ができているようで、フェスではいろんな人と交流を持ってやれているのも幸せですよ。芸人さんも出るフェスとかもそうですけど。それに、いつもどおりのライブを求められるんですよね。こういうフェスだから、こんな感じのステージにしてほしいとかじゃなくて。テレビ番組からオファー来るときも、ライブでやってくれっていう。よそ行きのステージじゃなくて、いつものようにね。あとROTTENGRAFFTYの侑威地に会うたびに言ってくるんですよ。「サンボがこうやって頑張ってるから、俺らも頑張るわ」って。

木内:同世代からそう言われるのは嬉しいよね。同世代、仲間意識が強いところもあるし。今、40代バンドが元気いいっすよね。

山口:今日も出れて嬉しいし、この後も観たいライブが目白押しで。


──ええ、さっきから“インタビューを早く終わらせろ、俺らはザ・クロマニヨンズを観るんだ”っていう3人からの鋭い視線で全身が痛いです(笑)。

山口:いやいや(笑)。とんでもないっす、でもザ・クロマニヨンズを観たいっす。

──同世代のバンドと切磋琢磨し、今のこの時代にロックンロールを鳴らすってことで、音楽に向かう姿勢も以前と変わってきた部分もありますか?

山口:3人で話し合うことが増えたかもしれないですね。ここはこうしたいんだってことを、前よりも話すようになってますね。移動中に音楽を聴きながら、「こんなに低音が出ていないんだね」とか、音楽の話ばっかりになるかな。

木内:おもしろいことやりたいとか、カッコいいライブやりたいとかは、昔からずっとなにも変わってないから。今はこうだからこうあるべきとか、そんなことは考えなくなりましたけどね。フラットに音楽をやれている感じありますよ。

山口:ライブやレコーディング終わったら、なおさら、とぼとぼするようになったかな。とぼとぼ生きて(笑)、レコードをとにかく買って、知らない音楽をもっと知りたい。


──サンボマスターの展開や来年に向けては?

山口:今年、大阪城ホールのワンマンを初めてやらせていただいて、みなさん、喜んでいただけたかなってのはあって。次はツアーファイナルの10月25日=日本武道館。

近藤:今回のツアーでライブ29本あって、会津、あと大阪城ホールとやって、だいぶ、自分たちの設定するハードルも上がったよね。武道館で普通のライブはできないだろって。

木内:まあまあ。

山口:なぜ、いなした(笑)?

木内:たった今、ステージを終えて一息ついてるところだから(笑)。

山口:ちょっと早いぞと(笑)? 武道館は頑張らなきゃダメでしょ。「まあまあ」とか言ってる場合じゃないですよ、木内さん。

木内:真面目に言うと、大阪城ホールがめちゃくちゃいいライブだったんですよ、本当に。自分の中で最高の出来栄えだったんですね。次はヤバイぞってのはあります。次、もっと頑張んなきゃダメだって。

山口:バンドでドンとライブやって、キラッと光る。それはまずやんなきゃいけないと思うんですね、ロックンロールだから。2024年と2025年に出てくる痛いとかもあると思うんですよ。2018年ごろから出てきた痛みとかも。そこに対抗したいね。そこにアゲインストしたい。ロックンロールのアゲインストとして。木内のドラムと、近藤クンのベースがあれば、アゲインストできるはずだから。

──あと山口さんのうまいギター。

山口:そう! いや、本音を言うと、そんなにうまくもないんだけど(笑)。でも、いろんなことにアゲインストできる今のサンボマスター。

近藤:そうですね。だからやることはシンプル。3人でやるってことだけです。コロナ禍期間の無観客ライブとかもやって、その経験が力にもなったし、より強くもなったかなと思います。

取材・文◎長谷川幸信
写真◎野村雄治
ライブ写真◎HayachiN

<山人音楽祭2024>

日程:2023年9月21日(土) 、9月22日(日・祝)
開場・開演:開場 9:30 / 開演 11:00 (終演 20:00予定)
会場:日本トーターグリーンドーム前橋(群馬県前橋市岩神町1丁目2-1)

出演者
【9月21日(土)】
アイカワヒトミ / 打首獄門同好会 / Age Factory / ENTH / おとぼけビ〜バ〜 / ザ・クロマニヨンズ / 佐藤タイジ / サンボマスター / G-FREAK FACTORY / SIX LOUNGE / 上州弾語組合 / Dragon Ash / HAWAIIAN6 / FOMARE / プッシュプルポット / The BONEZ / MAN WITH A MISSION / MOROHA / ゆってぃ&バリ3TV (※五十音順)

【9月22日(日祝)】
KUZIRA / G-FREAK FACTORY / SHADOWS / SHANK / 上州弾語組合 / 四星球 / SCAFULL KING / 高木ブー / DJダイノジ / TETORA / 10-FEET / NakamuraEmi / HUSKING BEE / バックドロップシンデレラ / ハルカミライ / THE FOREVER YOUNG / ザ・ボヤキングス / ライブゾーン(TOSHI-LOW&茂木洋晃) / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS / ROTTENGRAFFTY (※五十音順)

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