【速レポ】＜LuckyFes'24＞RAISE A SUILEN、途切れない音の快楽「最後まで一緒に暴れていってください！」

真昼のRAINBOW STAGEにRAISE A SUILENが参上。前日に出演したRoseliaに続き、『BanG Dream!（バンドリ！）』発のバンドが＜LuckyFes'24＞に登場だ。

◆ライブ写真

彼女らのライブを待ちわびる観客が、開演を報せるジングルが始まる前から手拍子したり声を上げたりしている。メンバーがステージに現れると、ライブがスタート……と思いきや、DJブースから音が出なくなるトラブルだ。観客はもちろん、メンバーにとっても想定外の出来事だっただろう。しかし5人は頼もしく、場を繋ぐように夏芽（マスキング役／Dr）がキックを踏み、Raychell（レイヤ役／B, Vo）が「声聞かせてー！」と呼びかけた。観客がリズムに合わせて「オイ！　オイ！」とコールし始める。



やがて音響が無事復活し、倉知玲鳳（パレオ役／Key）の「最後まで楽しんでいくんだぞー！」という言葉からライブがスタート。1曲目の「EXPOSE ‘Burn out!!!’」のイントロから5人の鳴らすサウンドは力強く、その音に乗せられて、観客がすごい勢いで飛び跳ねていた。まさに大爆発といった感じ。トラブルによってむしろ、今この瞬間を楽しもうという人たちの心は焚きつけられたようだ。紡木吏佐（チュチュ役／DJ）の英語での煽り、地を揺らす重厚なサウンドに、RAINBOW STAGEはヘドバンの海と化す。Raychellが「こんにちは、RAISE A SUILENです」と告げたあと、5人で締めの音を鳴らし、この曲を挨拶に代えた。


2曲目は、小原莉子（ロック役／G）のフレージングが異質な存在感を放つミクスチャーダンスナンバー「V.I.P MONSTER」。この曲もまたヘドバン必至だ。ハードロック×EDM的な音楽性、DJが曲間を繋げることで快楽を途切れさせないステージングは、RAISE A SUILENのファンのみならず、音楽で楽しむことが大好きなフェスラバーにも刺さっている様子。最初のMCでは、Raychellが初めてRAISE A SUILENのライブを観る人に向けて、自分たちは『BanG Dream!（バンドリ！）』発のアニメやゲームで声優を務めていること、リアルバンドとして音楽活動も行っていることを説明した。5人による自己紹介を紡木が「次もみんなで盛り上がれる曲を用意してきたので、一緒に踊っていただけると幸いでーす！」という言葉で締め括り、「灼熱 Bonfire!」が始まっていく。


次の曲に向けて、メンバーの白熱のパフォーマンス。夏芽が精魂込めてシンバルを叩けば、紡木が華麗なスクラッチを披露。続けて小原がギターをぐいぐいと鳴らしまくったあと、全員で、低姿勢で構えながら、重心の低いサウンドを鳴らし始める。拳を上げながら声を上げる観客の熱量も加わり、紡木のタイトルコールから「HELL! or HELL?」がスタート。「さあ、＜LuckyFes＞。地獄と地獄、どっちがいい？」。Raychellの不敵な問いかけも、クライマックスで聴かせてくれた鋭いロングトーンも最高だ。

「次の曲でラストとなります。今日初めて私たちのことを観てくれたみなさん、そして今までも観たことがあってここに来てくれたみなさん、今日は同じ時間を過ごして下さりありがとうございます。最後まで一緒に暴れていってください！」


Raychellによるラストの挨拶のあと、「R･I･O･T」を披露し、ステージを去ったRAISE A SUILEN。歌いながら曲中に熱い言葉を投げかけ続けていたRaychellや、ラストの掻きまわしの最中にシンバルを何発も叩いていた夏芽を筆頭に、5人とも、全てをこの場に置いていくかのように鳴らしきった。全曲が終わった頃には、開演時に降っていた雨が止んでいた。逆境を乗り越え熱狂を生み出すに至ったRAISE A SUILENと観客による熱意溢れるライブ、RAINBOW STAGEで起きたドラマとリンクするような空模様だった。


文◎蜂須賀ちなみ
写真◎高田真希子/team SOUND SHOOTER