【速レポ】＜LuckyFes'24＞Novelbright、初・野外フェスの大トリ「こんな素敵な景色を見られて本当に幸せです。また会いましょう！」

同じフィールド内にある隣りのステージ、WING STAGEでのKRAVAのパフォーマンスが終了すると、すぐにRAINBOW STAGEから本気の「ツキミソウ」が聴こえてきた。一瞬、自分がNovelbrightのスタート時間を間違えてしまったのかと焦るも、それは本番前のサウンドチェック。いわゆる、リハーサルだ。

しかし竹中雄大（Vo）は、「＜LuckyFes＞のみなさん、ラストということで、しっかり全員で大きい声出していきましょう！」と本番ばりにフレンズに呼びかけ、次になんと「拝啓、親愛なる君へ」を歌い始めた。当然ながらワンコーラス程度で演奏は終わったが、単なるファンサービスではなく、少しでも自分たちのロックをフレンズに届けようという意志のこもったサウンドチェックで、既に会場は熱気に満ち溢れていた。

◆ライブ写真

それもそのはず。竹中は約2週間前に肋骨を骨折し、＜LuckyFes＞前日にライブに復帰したばかり。むしろ、たった2週間でライブに戻ってきたことに驚くが、その間に抱いたさまざまな想い、そしてバンド結成11年目にして初となる野外フェスの大トリというステージにかける彼の気持ちが十分に伝わってきくる立ち振る舞いであった。



そして本番、降り出した雨の中で「seeker」が始まると、アコギとエレキを弾き分ける山田海斗（G）、時にギターを高々と掲げてフレンズの気持ちを高揚させる沖聡次郎（G）、アグレッシブかつクレバーなプレイでエモーショナルなグルーヴを生み出す圭吾（B）＆ねぎ（Dr）のリズムセクションによってハードなバンドサウンドが炸裂する。その中で、しっかりと力強く、それでいて包容力のある歌声を聴かせる竹中。彼が曲のラストに夜空に放った　14小節を超えるロングトーンは圧巻のひと言であった。


続く「Empire」を歌い終えた竹中は、「雨が降ってますね。ステージの中は濡れないんですけど、みなさん濡れてるんで、今日はこの辺（屋根のないステージの最先端）でいっぱい歌ったろうかなと思ってます。（2日目の）最後くらいは大雨が降って、『ショーシャンクの空に』みたいな写真が撮れたらいいなと思ってるんで（笑）」と、降り出した雨すらも彼らは演出に変えてしまう。ある意味で、フェスの大トリとして最高のシチュエーションだ。

ライブ中盤、「愛とか恋とか」「Turn Back Time」を続けて演奏。フレーズによって、ギターロックなサウンドだけでなく、アコギやシンセベース、キーボード、エレクトリックパーカッションなどを交えてNovelbrightならではの音世界を紡ぎ出していくと、LEDスクリーンに映し出されたグラフィカルな歌詞と相まって、楽曲をより立体的に聴かせてくれた。中でもバラード曲「雪の音」での雪が舞う映像演出は、この夜に限っては、降り注ぐ雨のスローモーションのようにも見え、竹中の透明感あるファルセットと共に、幻想的な時間と空間を創造した。

「みなさん楽しんでもらってますか？　＜LuckyFes＞は初開催の時から出させてもらっていて、3年連続で素晴らしいライブを届けさせてもらえて本当に感謝しています」


竹中は＜LuckyFes＞関係者への感謝の気持ちを述べた後、無念さや後悔など、休養期間中に心に宿った想いを素直に吐露した。

「でも毎日生きている中で、今日みたいな光景を思い描くことで、僕も頑張って毎日を歩むことができました。この景色を見て、諦めずに今日まで頑張ってよかったなと思います。さあ、ここからラストスパートですからね。体力全部出し切って、明日なんか知らんよ！　筋肉痛で行ってやろうぜ！」


こうシャウトすると、彼らのライブに欠かせない「Morning Light」「Walking with you」を怒涛の勢いで披露。「Walking with you」では竹中がステージからフィールドへと降り、フレンズたちをあっと驚かせ、そして歓喜させた。そこからのラスト、フレンズたちが手にしたスマートフォンのライトが、雨空の下で輝く星々を生み出した「流星群」を歌い終えると、竹中は笑顔を浮かべて幾千もの光を見つめながら、「＜LuckyFes＞で、最後にこんな素敵な景色を見られて本当に幸せです。また会いましょう！」と、＜LuckyFes＞2日目のフィナーレを感動的に締めくくった。

文◎布施雄一郎
写真◎高田真希子/team SOUND SHOOTER