【対談】SUKEROQUE・SHOHEI×佐々木聡作「ポップなのに闇もあってジメッとしたところもあるんですよね」

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■天才的なコードをつけてきたりするから
■「どうしよう? 譜面を書こうにも書けないな」ってなったり


――聡作さんは、『Blue Cheese Blues』でも「Blood on the dance floor」のアレンジを手掛けていますね。今回のEPに関しては、どのような印象ですか?

聡作:「SHOHEIくんワールドだな」と感じました。バラエティ感がある6曲ですね。

SHOHEI:全体のコンセプトみたいなことはもともとあったわけではなかったんですけど、出来上がった曲を並べてみた時に「それぞれの人生」みたいなことを感じたんです。僕は周りの人たちの生活を想像しながら曲を書くことが多いんですよね。今回の曲もまさにそれで、「それぞれの人生と生活」みたいなことが共通点でした。

――「アオカビのようなちっぽけなものが生活に色どりを与えることがある」ということをイメージして『Blue Cheese Blues』というタイトルをつけたそうですね。ブルーチーズは、お好きなんですか?

SHOHEI:好きです。めっちゃ美味しいですから。

聡作:僕も好きなんですよ。僕らは、変なところで共通点がある(笑)。「どうしてこのタイトルなんだろう?」と調べたら、世界三大ブルーチーズというのがあると知りました。

――先日のXでその旨をポストしていましたね。今回のEPが既にリリースされていると勘違いした4月26日のポストも見ました。SHOHEIさんが「まだリリース前です」とツッコミのリプライしていたじゃないですか。

聡作:フライングしてしまいました(笑)。

――(笑)。SHOHEIさんは、今回のEPに関して改めて何か感じることはありますか?

SHOHEI:幅広い人たちに深く考えずに楽しんでもらえるようなJ-POPになったと思います。

――「レモネード」も、まさにキャッチーですよね。エロティシズムを漂わせているのも独特な風味です。

SHOHEI:エロいことをテーマにすることが意外と多いんです。「どこまでエロさを隠せるか?」みたいなことも、作詞をする楽しさです。「Blood on the dance floor」も「レモネード」と同じで、実はエロをテーマにしているんですけど。

聡作:「Blood on the dance floor」は、まっすぐなオマージュにもなっているんですよね。その雰囲気を感じて、僕は及び腰でアレンジしました(笑)。

SHOHEI:スティーヴィー・ワンダーの「Superstition」ですね(笑)。


▲SHOHEI

――プリンス的な要素も入っていますよね?

SHOHEI:はい。プリンスは、大好きなので。

聡作:生のドラムで作るという選択肢もあったので、2通り作って「どっちがいい?」って訊いたら、「断然、マシンです」ということだったんです。それがプリンス的な成分になっているのかもしれない。

――マシンビート=無機質みたいに捉える人もいますけど、打ち込みだからこそ生まれる血の通ったファンキーなフィーリングってありますよね?

SHOHEI:そうなんですよ。なんでなんですかね? 打ち込みならではの音のデッド感は、独特な感じに繋がるんです。

聡作:打ち込みは音の揺れがゼロで、固定されたものがずっと続いていくから、それが醸し出す気持ちよさがあるっていうことなんでしょうね。

――DTMだからこそ追求できるグルーヴもありますよね? 音を視覚的に捉えながら突き詰めていけるわけですから。

SHOHEI:そうですね。例えばスタッターも画面で波形を見られるようになってからの手法だったりしますし。

――「Blood on the dance floor」の制作に関するエピソードは、他に何かありますか?

SHOHEI:クラヴィの音は二転三転しましたね。

聡作:うん。プラグインを使ったけど。SHOHEIくんの事務所にクラヴィネットE7の実機があるのをさっき見つけたから、いつか実機も使ってみたいね。使うとなるとメンテも大変だけど。ヴィンテージはご機嫌を取り続けなければいけないから。

SHOHEI:実機で作るのも興味があるんですよ。その方が音の幅広さが出ると思うので。

聡作:今度やってみる?

SHOHEI:やってみたいですね。

聡作:一応、僕の家にもあるよ。

SHOHEI:興味あります。

聡作:整備しておかないと。

――SHOHEIさんはバンドをやっていたわけですから、人力の演奏が好きというのもありますよね?

SHOHEI:そうですね。やっぱり最終的にはそこかなと思うので。

――聡作さんに、機材に関する質問とかをすることはあるんですか?

SHOHEI:そうですね。「どのプラグインが良いんですか?」とか訊いたり、たくさん吸収させていただいています。あと、僕が打ち込んだものに対するアレンジを聴きながら「こうすればこうなるんだ」とわかるのも、すごく勉強になっています。僕のやりたいことの突拍子もなさをロジカルに軌道修正してくださるというか。

聡作:天才的なコードをつけてきたりするから、「どうしよう? 譜面を書こうにも書けないな」ってなったりもして(笑)。でも、それが良かったりするんです。違うコードにするとつまらなくなって、「SHOHEIくんが積んだ通りの音にしよう」ってなっています。「これ、なんていうコード?」って訊くと「俺もわからないです」って言うんですけど。だから僕の方も勉強させてもらっています。

――独自の響きの「SUKEROQUEコード」が、あるんですね?

SHOHEI:はい。多分、手癖なんですけど、自分ではそれを理解できてはいないんです。

聡作:手癖かな?

SHOHEI:はい。他の曲でも使ったりするので。今回のEPに入っている「サーモンピンク」は、アレンジャーのコモリタミノルさんが、「ここの音が当たってて気持ち悪いけど、それが良かったりもするのでそのまま行くね」って言っていましたね。

聡作:やっぱそうなるんだよ。直すとつまんなくなっちゃうから。

SHOHEI:僕の感覚的なことを形にしてくださるアレンジャーさんの存在は、本当に大きいです。

――今後も聡作さんにアレンジをたくさんお願いすることになりそうですね。

SHOHEI:ぜひ!

聡作:飽きるまで使い倒してやってください(笑)。

SHOHEI:今後も一方的にいろいろ教えていただくと思います。

――今、この場で質問したいことはありますか?


▲佐々木聡作

SHOHEI:こういうのって、咄嗟に思い浮かばないんですよね(笑)。あっ! 音楽と関係ないですけど、スタ丼にまた行きたいです。

聡作:スタ丼ね。国立と国分寺に元祖のスタ丼の2店舗があるんです。この前、一緒に行った時、ミュージシャンだと見抜かれたんだっけ?

SHOHEI:はい。

聡作:あの時、「音楽といえばホーミーってわかる?」って店長さんに言われたんですよね。

SHOHEI:そうでしたね。

――ホーミーって、モンゴルの?

聡作:はい。「できんだよ、俺」って言って披露してくれました。

SHOHEI:コロナ禍で暇すぎて練習したと言っていましたね。

聡作:ホーミー動画もやっていて、見せてくれました。

SHOHEI:あの時、聡作さんが電話で一旦お店の外に出ていて、その間にスタ丼を出してもらったんです。聡作さんを待っていたら「先に食べなくて偉い」って、めっちゃ褒めてもらいました。

聡作:そんなことあったんだ?(笑)。

SHOHEI:スタ丼また行きたいですね。あと、聡作さんにはブラスやストリングスのアレンジのことを教えていただきたいです。

聡作:正直なところ、私も勉強中です。学んだことはお伝えしますので。

SHOHEI:感覚的にやるとマスキングしちゃうというか、消してはいけないところを消す感じになっちゃうんですよね。

聡作:ストリングスは、特に難しいんだよね。バンドにストリングスの繊細な音を重ねるのは、そもそも無理があるから。僕もずっと試行錯誤しています。

SHOHEI:ファンキーな曲をまた一緒にやりたいですね。今回の「Blood on the dance floor」は、一緒にやりたいことをすごく形にできました。

――いずれホーミーの要素を取り入れた曲も生まれるかも?

聡作:ホーミー、どこに入れるんだろう?(笑)。でも、SUKEROQUEサウンドはどんどん成熟していくんでしょうね。最初の4小節を聴いただけで「SUKEROQUEじゃん!」ってなる音楽を作れる人だから、そういうのをどんどんやっていってほしいです。

SHOHEI:ありがとうございます。

聡作:一緒に何かやりたいね。僕が持ってる実機とかを使いながら音を出したら、マウスで操作するのとは別のアイディアとかも生まれるかも。

SHOHEI:プラグインで使える音色はものすごくたくさんあるのに、使う音色って限られているんです。その中で作り続けると同じような感じになってくるし、その良さもあると思うんですけど、飽きちゃうんですよね。

聡作:実機を体感すると、また新しい刺激になるかもしれないよ。

SHOHEI:遊びに行きたいです。

聡作:ぜひ! 曲の芽の段階で僕の家に来て遊ぶだけでも、枝葉の茂り方がもしかしたら変わってくるかもしれないから、猫アレルギーさえなければ、ぜひ来てください。飼い猫の小次郎もいるので。

SHOHEI:僕、猫が大好きですからね。小次郎は困ったような顔をして、めっちゃかわいいんですよ。

聡作:臆病な佐々木小次郎にも会いに来てください。

取材・文:田中 大



リリース情報

デジタルEP『Blue Cheese Blues』(全6曲)』
5月1日(水)配信リリース
https://nex-tone.link/A00140110

M1.中央線とビター
作詞:SHOHEI 作曲:SHOHEI 編曲:伊藤立 (agehaspringsParty)
M2.レモネード
作詞:SHOHEI 作曲:SHOHEI 編曲:伊藤立 (agehaspringsParty)
(日本テレビ系「バズリズム02」6月度 POWER PLAY楽曲)
M3.トランジスタレディオ
作詞:SHOHEI 作曲:SHOHEI 編曲:伊藤立 (agehaspringsParty)
M4.Blood on the dance floor
作詞:SHOHEI 作曲:SHOHEI 編曲:佐々木総作
M5.最終回
作詞:SHOHEI 作曲:SHOHEI 編曲:伊藤立 (agehaspringsParty)
M6.サーモンピンク
作詞:SHOHEI 作曲:SHOHEI 編曲:コモリタミノル

ライブ・イベント情報

<ROQUEFORT DANCE HALL ”ロックフォール ダンスホール”>

6月8日 渋谷TOKIO TOKYO
・開場 17:45 開演18:30
・チケット ¥3,500(D別)
・一般発売
3 /30 (土) AM10:00~
ぴあ https://w.pia.jp/t/sukeroque-t/
LAWSON https://l-tike.com/sukeroque/  Lコード75820
イープラス https://eplus.jp/sukeroque/

<ROQUEFORT DANCE HALL ”ロックフォール ダンスホール”>ツアー
7月23日(火)@愛知・名古屋ELL SIZE https://www.ell.co.jp/
7月24日(水)@大阪・天王寺寺田町 Fireloop https://fireloop.net/

公演問合せ:HANDS ON ENTERTAINMENT 問合せアドレス:info@handson.gr.jp

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