【俺の楽器・私の愛機】1521「ダイレクトボックスと外部給電装置の自作」

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【XPS】(神奈川県 ゆ 中年)


ギターやベースをPCに直結するためのダイレクトボックスを制作しました。ついでに、アクティブ回路のための給電回路を組み込みました。

私はささやかにDTMを嗜む者ですが、手持ちのオーディオインターフェースはギターやベースを直接繋ぐのに適したものではありませんでした。しばらくはストンプエフェクタをバッファ代わりにしていましたが、もっと取り回しの良い、プラグを差し込むだけで即音が出る、そんな環境を思い描いていました。

一方で、手持ちの楽器にはアクティブ回路を搭載したものが幾つかありますが、その電池の運用に問題意識がありました。数か月に一度とはいえ、たびたび電池を交換し廃棄するのは心が痛みます。折しもSDGsの時代。006P形電池にも充電可能な製品はありますが、公称電圧が低めであったり入手性に難があったりで、どれも決め手に欠けるのです。では外部から電源を供給するのはどうか。楽器業界には古くから外部電源供給のアイデアがあったように思います。アレンビックに始まり、スタインバーガー、Line 6、EMGなど様々なメーカーが自社製ギター・ベース向けの専用外部電源ユニットを商品化してきましたが、あまり普及する様子はありませんでした。

市販の製品が無ければ自分で作るしかありません。沼へようこそ。プリアンプに外部給電回路を組み合わせたラックマウント機材を自作しようと思い立ちました。回路的にはオペアンプやレギュレータICを利用した簡単なもので十分です。今ではソフトウェアの優れたアンプシミュレータがありますし、もともとアンプの鳴りやアナログ機材の質感などにそれほどこだわりはありませんでした。

エフェクタやアンプを自作される方はたくさんいらっしゃると思いますが、高いハードルのひとつが丈夫で見栄えのする筐体だと思います。私はCADで図面を書き、ケースメーカーさんの加工サービスにお願いしました。アルミパネルのインクジェット多色印刷も利用できます。その他、基板は深圳のプリント基板製造サービス、電子パーツは通販で揃いました。便利な時代です。

組み立てにはドライバや六角レンチ、ハンダゴテ、マルチメータ、3Dプリンタ、オシロスコープなど、どこのご家庭にもあるありふれた工具だけで済みました。

結果的に、納得のいくDTM環境が整いました。自作って本当に良いものですね。最後に、設計したCADデータなど一式を公開しておりますので、コピーするなり、酒の肴にするなり、ご自由にご賞味ください。

https://github.com/yu2924/XPS




   ◆   ◆   ◆

え?え?私、こういったノウハウはもちろん知識も教養もゼロなので、本当の凄さ的なものすら分かっていないのですけど、ちょっと突き抜けすぎてはいませんか?もはや商品クオリティ。これはヤバいでしょう。この手の人がさらっと口にする「なければ作ればいい」というセリフ、怖いわー。実際はノイズを始め、作ってみないとわからないことがたくさんあるでしょうし、そこからの試行錯誤こそ大変な道程だと思うのですが、そのあたりの苦労ポイントには一切触れないというのは、武士道精神の表れなのでしょうか。最後にひとつだけ苦言を。「組み立てにはドライバや六角レンチ、ハンダゴテ、マルチメータ、3Dプリンタ、オシロスコープなど、どこのご家庭にもあるありふれた工具だけで…」とありますね。マルチメータ、3Dプリンタ、オシロスコープ?いやいや、そんなの、どの家庭にもねぇから(笑)。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
 ※最大5枚まで

●応募フォーム:https://forms.gle/KaYtg18TbwtqysmR7

「楽器人の投稿がmusic UP'sに掲載されます」

全国約1,000カ所の音楽関連スポットで、毎月20日に配布されるフリーマガジン「music UP's」にて、楽器人の特集を掲載、【俺の楽器・私の愛機】で紹介された投稿の中からあなたの愛機をご紹介させていただきます。

※毎月の掲載数は2~4件ほどの予定です。選出はBARKS編集部で行ないます。
※掲載の選出対象は【俺の楽器・私の愛機】コーナーにて2022年5月30日以降に掲載された投稿が対象となります。

引き続き【俺の楽器・私の愛機】をお楽しみください。今後ともBARKS楽器人をよろしくお願いいたします。

◆【俺の楽器・私の愛機】まとめページ
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