【年末特集】海外アーティストの来日公演で2023年を振り返る

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▲マネスキン photo by Fabio Germinario

コロナ禍が明け、ビリー・アイリッシュ、レディー・ガガ、ブルーノ・マーズ、マルーン5、アヴリル・ラヴィーン、キッス、ガンズ・アンド・ローゼズらの来日公演が実現した2022年につづき、海外アーティストの来日公演が続々と開催された2023年。主なアーティストの来日公演を時系列順に振り返りながら、2024年に予定している来日公演もピックアップする。

2023年に入って早々、昨年の<サマソニ>で話題を呼んだリナ・サワヤマの初のジャパン・ツアーが開催。東京公演では宇多田ヒカルの「First Love」も披露された。2月にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズが東京ドームにて約16年ぶりの来日単独公演<レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ワールドツアー 2023 ライブ・イン・ジャパン>を開催。ジョン・フルシアンテの復活を祝す会場には大歓声が起こり続けた。またメガデスのジャパンツアーでは、自身初となる日本武道館公演を実施。元メンバーのマーティ・フリードマンがゲスト参加し、約24年ぶりの共演もファンの間で話題となった。フーバスタンクも来日し、名古屋ではcoldrain主催フェス<BLARE FEST.2023>へ参加。同月にはリチャード・カーペンターの来日公演も実現する一方で、初のジャパン・ツアーを開催したコナン・グレイや、オーロラという次世代アーティストも日本のファンに愛を届けた。

▲リナ・サワヤマ ©︎Sotaro Goto

▲レッド・ホット・チリ・ペッパーズ Photo by David Mushegain

▲メガデス Photo by Masanori Doi

▲コナン・グレイ ©︎Sotaro Goto

3月にはハリー・スタイルズが、ポップスターらしい熱気に溢れた空間をファンとともに有明アリーナに築き上げた。アークティック・モンキーズは、2009年の日本武道館以来の単独公演を東京と大阪で開催。グラミー賞にもノミネートされるなど評価された新作『The Car』をひっさげ、時代を牽引するギター・バンドとしての実力を見せつけてくれた。ギタリストのスティーヴ・モーズが脱退しサイモン・マクブライドが加入したディープ・パープルは、5年ぶり16回目の来日公演を開催。大阪公演では、キーボードのソロパートのメドレーに「六甲おろし」のメロディーを差し込むなどサービス精神たっぷりのライブとなったようだ。また、6年ぶりの来日公演を開催したビョークは、『orchestral』と『cornucopia』と題した異なる2種類のステージを披露し、前者は32人編成のオーケストラとビョークのヴォーカルによる言わば古典的なステージ、後者はデジタル・ヴィジュアル・デザインが映える言わば最新型ステージを展開し、ビョークらしいアーティスティックな試みであった。バックストリート・ボーイズ約10年ぶりの東京公演や、デビュー45周年を迎えるスティングはポリス時代からソロ以降の名曲を堪能できる<マイ・ソングス>ジャパン・ツアーが開催されたのも今年。さらには4年ぶりのニーナ・クラヴィッツの来日公演も。今年は渋谷・WOMBで開催されたパーティーシリーズ<ACiD>などに出演しており、DJギグのため札幌に滞在中だった彼女が松任谷由実のアリーナツアー<The Journey>札幌公演に足を運んだことから、『ユーミン乾杯!!~50周年記念コラボベストアルバム~』に収録の「春よ、来い (Nina Kraviz Remix)」へと繋がったということ。

▲スティング Photo by Kazumichi Kokei

4月には、エリック・クラプトンが海外アーティストとして初めてとなる日本武道館での100回目の公演を達成。なお、3月にはブライアン・アダムス25回目の武道館公演も開催。こちらもレジェンド。ボブ・ディランは約2週間にわたり、大阪3公演、東京5公演、名古屋3公演と11公演を無事完遂した。ツアー中に披露したグレイトフル・デッド・カバーは海外でも話題に。ドゥービー・ブラザーズも、結成50周年のリユニオン・ツアーの一環として6年ぶりの来日公演を開催してくれた。さらにドリーム・シアターは、2023年もツアーに明け暮れるという宣言通りに活動し、4月末から5月初旬にかけて日本武道館を含む東京・愛知・大阪の3公演を実施した。なお10月には、マイク・ポートノイが復帰する事を公式発表している。そして、昨年の<サマーソニック>ではヘッドライナーへと昇りつめるなど圧倒的な支持を受けるThe 1975は、自身最大規模の日本ツアーを開催した。

▲エリック・クラプトン Photo by Masanori Doi

▲ボブ・ディラン

▲The 1975 Photo by Jordan Curtis Hughes

来日公演ラッシュは止まらず、ジョージ・クリントン(ジョージ・クリントン&パーラメント/ファンカデリック)、ロバート・グラスパー、ミーカも来日。ミーカと言えば「Big Girl (You Are Beautiful)」は海外のSNSやTikTokでも愛された。さらに、ポール・アンカも15年ぶりの来日公演を開催し、2022年にリリースした約4年ぶりのアルバム『Self Explanatory』を引っ提げたNE-YOの来日公演も行われた。4年ぶり単独来日公演ながら、通算17回目の来日というカーリー・レイ・ジェプセンは日本のファンとの再会に歓喜。7月はフェアウェル・ツアーの一環としてMR. BIGが日本ツアーを開催、TOTOは4年ぶりのジャパン・ツアーを開催。そして本格的なフェスシーズンに突入すると、<フジロック>はヘッドライナーとして登場したザ・ストロークス、フー・ファイターズ、リゾをはじめ、ルイス・コール、ヤー・ヤー・ヤーズ、ダニエル・シーザー、イブ・トゥモアらが、<サマソニ>はヘッドライナーとして登場したケンドリック・ラマー、ブラーをはじめ、リアム・ギャラガー、ザ・キッド・ラロイ、WILLOW、ウェット・レッグ、加えて<ソニックマニア>にフライング・ロータス、ジェイムス・ブレイク、オウテカ、グライムス、ムラ・マサが登場。<ノットフェス>ではスリップノットやコーンが出演した。なお、2024年8月に<サマソニ・バンコク>がタイのIMPACT Muang Thong Thaniにて初開催されることも先ごろ発表されており、こちらの動向も気になるところ。今年の<サマソニ>と言えば、NewJeansの人気ぶりもSNSのタイムラインを賑わせていた。『第74回NHK紅白歌合戦』のラインナップでも体現されているように、K-POPアーティストは今年さらにグローバルな活躍を見せ、Stray Kids、SEVENTEEN、TWICE、BLACKPINK、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、aespaらが大規模な公演を日本でも続々開催した。

▲TOTO Photo by Masanori Doi

9月にはポスト・マローンが初の単独来日公演を東京・有明アリーナで開催。昨年の<サマソニ>出演から間もないタイミングであったが、その歌声、5ピースのバンドとカルテットのストリングスによる演奏、人懐こいキャラクターなどでしっかりファンを楽しませた。人柄のよさと言えば、キアヌ・リーブスがベーシストを務めるロックバンド・ドッグスター、なんと21年ぶりの来日公演も実現。横浜公演ではMIYAVIがサポート・アクトとして登場した。さらにハロウィンは、カイ・ハンセンとマイケル・キスクが復帰しトリプル・ヴォーカル&トリプル・ギターの7人編成での来日公演を行い、待望の日本武道館公演も実施されるなど、コロナ明けのライブシーンは盛り上がりを見せる。続く10月も、スティーヴ・ヴァイの9年ぶりとなる単独来日公演が実施、6年振りに来日したファットボーイ・スリムもジャパンツアーを実現させた。デレク・トラックスとスーザン・テデスキが率いるテデスキ・トラックス・バンドも、世界最高のライヴ・バンドの名にふさわしいステージを東名阪で繰り広げた。チワールドツアーのアジア公演としてチャーリー・プースの来日公演東京2デイズも有明アリーナで実施、さらにビービー・レクサの初来日公演も今年実現した。そしてサム・スミスも最新アルバム『グロリア』を携えた5年ぶりの来日公演を開催。本人の急病により最終公演は中止となってしまったが、オーディエンスを“自由”へと誘うショウは来場者の胸に深く刻まれた。グラミー賞5部門受賞&アカデミー賞作曲賞受賞のジョン・バティステも来日。<Coke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023>(ステージではNewJeansがサプライズ登場し大喝采だった)への出演及び初となる単独ショーケースを開催した。

▲ジョン・バティステとNewJeans@<Coke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023> ⓒCoke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023 (All Rights Reserved) ⓒ 2023 ADOR. All Rights Reserved.

11月も続々とスターが来日。コールドプレイは、6年ぶりの来日公演を東京ドームで開催。愛と平和への願いに満ちたステージに会場が一体となったと共に、スペシャルゲストにYOASOBIが登場したことも話題となった。加えて、同ワールドツアーでは、CO2排出量を前ツアー(2016年〜2017年開催<ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームス・ツアー>)の50%削減することを目標に、移動の効率化やバイオ燃料を使用した輸送に切り替え、チケット1枚につき1本以上の植樹を行なうカーボンニュートラルな取り組みを実施。またステージでも再生可能エネルギーを使用した。さらに同月には、ブリング・ミー・ザ・ホライズンがキュレートする新フェス<NEX_FEST>が幕張メッセで初開催。BABYMETAL、YUNGBLUD、YOASOBI、マキシマム ザ ホルモンらブリング・ミー・ザ・ホライズンが今最も注目するアクトが集結した。5年ぶりのジャパン・ツアーを11月に東京・名古屋・大阪で開催したヨ・ラ・テンゴは、突如EP 『The Bunker Session』をリリース。約5年半ぶり、東京ガーデンシアターで開催されたリンプ・ビズキットの来日公演も熱狂の渦に。豊洲PITでの追加公演にはおとぼけビ〜バ〜がサポート・アクトとして出演した。さらに同月には、マニック・ストリート・プリーチャーズとスウェードがWヘッドライナーによるファンにはたまらない夢のような来日公演を開催。モトリー・クルーとデフ・レパードのWヘッドライナーによるワールドツアーが日本でもKアリーナ横浜で実現し、ダリル・ホール&ザ・ダリルズ・ハウス・バンドはトッド・ラングレンと共演する来日公演を開催した。こちらの東京ガーデンシアター公演にはCorneliusがゲスト出演し多彩な3部構成のライブとなった。モリッシーも日本に来た! ザ・スミスのデビューから今年で40年を迎えたモリッシーが、<40 Years Of Morrissey>と題したワールドツアーの一環として豊洲PITにて、約7年ぶりの一夜限りの来日公演を行ったのだ。歌声の評判もセトリの内容からも、来場できたファンが羨ましい。

▲コールドプレイ Photo by Teppei Kishida

12月、日本にマネスキン旋風が巻き起こった。<サマーソニック2022>で日本初上陸してからこの時を待ちわびていたファンも多かっただろう。人気コミック『BEASTARS』とコラボレーションした最新ミュージック・ビデオ「TIMEZONE - BEASTARS for Måneskin (Animated Video)」や楽曲「THE LONELIEST」がNetflixシリーズ『鬼武者』の主題歌に起用、さらに「Mステ」出演など、日本でも話題に事欠かなかったマネスキン。今回の来日公演では、若い世代から年配の世代までが絶叫しながら4人のカリスマに心を奪われまくった。また、マシュメロのジャパン・ツアーにはTravis Japan、きゃりーぱみゅぱみゅがサポートアクトとして出演。8月にはリアムが来日していたが、ノエルもノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズで貫禄の来日公演を行った。ナパーム・デスは単独では7年ぶりの来日公演を実施、さらに現在ジョン・メイヤーが12月29日~31日にブルーノート東京で来日公演を開催中。なお、12月31日放送の『第74回NHK紅白歌合戦』に、クイーン+アダム・ランバートが特別企画で「ドント・ストップ・ミー・ナウ」を披露する。

▲マネスキン photo by Fabio Germinario

▲ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ photo by Mitch Ikeda

そして来年も、ビッグな来日公演が目白押し。目前の1月には、今世紀最大のベスト・ヒット・ライブを謳ったブルーノ・マーズ東京ドーム7公演が控えており、追加席も含めて全公演完全SOLD OUTを果たしている。ビリー・ジョエルの一夜限りの来日公演も東京ドームで開催されることが決定しており、単独来日公演の開催は2008年以来16年ぶり、また、アジア地域での公演としても16年ぶり。なおビリー・ジョエルは、2014年から続けてきた米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの定期公演を2024年7月に行う150回目を最後に終了すると発表している。エド・シーランは4年9ヵ月ぶりとなる来日公演を予定。ブラック・アイド・ピーズは、<GMO SONIC 2024>出演に続き、大阪と名古屋でZEPP単独公演を開催することも決定しており、単独ライヴとしてはなんと15年ぶりとなる。<GMO SONIC 2024>にはゼッド、カイゴ、スティーヴ・アオキ、aespaらも出演。





ザ・ダークネス18年ぶりの単独来日公演は、Spotify O-EASTにて一夜限り開催。ポール・ウェラーの6年ぶりとなる来日公演も発表されている。そして、2月にはテイラー・スウィフトがやってくる。春にスタートした<The Eras Tour>の一環である5年3ヵ月ぶりとなる来日公演は、海外女性アーティストとして初の東京ドーム4日連続公演。なお今回の<The Eras Tour>は、テイラーのこれまでのキャリアを“時代”ごとに振り返るような構成となっている。ロッド・スチュワートが有明アリーナにて開催する13年ぶりの来日公演にも行きたい。自身最大規模となる今回のツアー<One Last Time>では、「ステイ・ウィズ・ミー」、「ピープル・ゲット・レディ」、「マギー・メイ」、「今夜きめよう」、「アイム・セクシー」など、キャリア50年以上にも及ぶ楽曲からベスト・ヒットを中心としたパフォーマンスを予定している。





他にも2024年は、ケミカル・ブラザーズ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、さらにはアイアン・メイデンの来日公演もアナウンスされている。また前述のクイーン+アダム・ランバートは、ヨーロッパより再開された<THE RHAPSODY TOUR>が今秋の北米に続いて、日本公演を開催。2020年以来4年ぶりとなる本公演は、これまでの日本公演史上最大級となる4都市5公演のドームツアーだ。個人的には、ルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディによるノウワーの来日も楽しみ。コロナ禍を経たからこそ、2024年も時代を彩る海外アーティストの来日公演を通して、一生ものの音楽体験をしたいと願う。







文:堺 涼子

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