【インタビュー】パーカーズ、2nd EPは音楽のシェアハウス「ポップさと、可愛さと、たまにちょっと真面目さを」

■“アンパンマンツアー”って言われてます
■ヒーローになりたいと思います

──話は前後しますけど、「おねがい神様」を含む今回の5曲入りEPには、全体的なテーマというものは何かあったんですか。

豊田：これまでやってきたパーカーズの曲にならって、ポップさと、可愛さと、たまにちょっと真面目なことを書くみたいな、そういうものを全部まとめて出せたかなと思います。僕は3曲作ったんですけど、「NO BACK TO THE FUTURE」とか、僕は映画『BACK TO THE FUTURE』が好きで、つらいことがあった時とか、過去に戻れたらいいなとか思うんですけど、実際には戻れないし、現実的なところで“つらい”で終わらせるんじゃなくて、ちゃんと前を向こうという気持ちの曲を作りたくて、そういう曲が作れました。「おねがい神様」みたいな、可愛いパーカーズっぽい曲も書けたし、 あと「愛の病」は、めちゃくちゃいいバラードを書きたいなと思って、めちゃくちゃいいバラードを書きました。

フカツ：最強です。「愛の病」は、たぶんこの1年間で豊田が出してきたデモの中で、みんなが一番「おお！」って言った曲です。すごかった、全員の反応が。

豊田：確かに、言われました。歌詞にもこだわって、ストーリーに深みを増してみたりとか、一番は丸々弾き語りでやったりとか、けっこう挑戦的な曲になりました。ライブでも、どれだけドラマチックにできるか、次のツアーで昇華させたいです。


──ナオキくん、さっき、「NO BACK TO THE FUTURE」のギターサウンドのことを、ちらっと言ってましたけども。

ナオキ：「NO BACK TO THE FUTURE」のイントロは、ラウド系のバンドを聴いている時に、ギターがずっと同じところを弾いてる裏で、伴奏がオクターブで弾いていて、いい感じのコード感を出しながらメロディが流れていくのがいいなと思って、それはパーカーズにはない要素だったから、イントロでやってみました。あとは、豊田に、『BACK TO THE FUTURE』に出てくるチャック・ベリーの曲みたいな感じのフレーズがほしいと言われたんで、それを移調して、曲にぶち込みました。わかる人にはわかるかもしれない。

ねたろ：ワンポイントで。

ナオキ：一番のBメロのところ。よく聴くと、わかると思います。ちょっと遊びました。

豊田：天才だと思いました。ナオキは、言えばちゃんと形にしてくれるんだな、すげえなって思いました。

ナオキ：そっちのほうが楽しいんですよ。自分で考えるのも楽しいんですけど、注文をもらって、それ通りに実現して、クライアントに返すみたいな（笑）。それでクライアントが喜ぶのを見ると、俺も嬉しいです。メンバーですけど。

──ねたろくん作詞作曲の2曲はどうですか。「ひとりぼっちの夜に」と「怪獣万歳!」と、全然違うタイプを出してきましたね。

ねたろ：「ひとりぼっちの夜に」は、どちらかというと、豊田のリズムに寄せた感じの曲なのかなと。この曲は寂しさがテーマで、それを音と曲の構成で表現したいと思ってました。静かなところと盛り上がるところのメリハリを作って、聴いてる人に寂しさを伝えたいなと思って作りました。

──曲調はけっこう明るいのに、思い切り寂しさを表現してる。これはぜひ歌詞を読んでほしいです。

ねたろ：寂しい時って、こういうこと考えちゃうんだなと思いながら歌詞を書きましたね。「怪獣万歳!」は、曲で怪獣を表現したくて作ったんですけど、ナオキにリードを頼んだ時に「怪獣を表現してほしいんだ」って言ったんですよ。そしたらアウトロが、まさに“怪獣が来た！”みたいなフレーズで、こいつ天才だなと思いました。

──今度はこっちのクライアントが。

ナオキ：そう。「かしこまりました」って（笑）。

ねたろ：怪獣を音で表現したかったんですよね。歌詞もそうですけど。これは、もう一人の自分を愛してあげてほしいというか、みんなそれぞれ、心の中に隠してるもう一人の自分がいて、それが怪獣なんですけど、それを愛してあげてほしいなという曲ですね。

ナオキ：深いね。

フカツ：一番ふざけた曲が、一番深いのかもしれない。


──パーカーズの強みは、二人のソングライターが個性の違いを競い合うところ。いいバランスですね。

豊田：話を聞いてて、“あーそうなんだ。すげぇ”と思う瞬間がたくさんあって、面白いです。僕は裏テーマとか、あんまりないから。

ナオキ：豊田は、ド直球だもんね。

豊田：自分は、自分のことを書いてることが多いかなという気持ちがあって、そういう感情とかをテーマにして書いたことがないので。いい発見ですね。

ねたろ：お互い、いろんな発見ができてると思います。

──一回、二人でがっつり共作してみたら、どうなるんだろう。

豊田：ああー。いやー、でもケンカしちゃうかも。

ねたろ：「ここはこうだよ！」って。

豊田：「いや、それは違うな」って。

フカツ：異文化が激突しがちなんで（笑）。そこのバランスが難しい。

──そこはちゃんとシェアしないと。今、話を聞いて思ったけど、音楽もシェアハウスになってるのかな？って。全員が個室を持ってて、それぞれのスタンスを守りながら、リビングを行き来しつつ、一つの音楽を作り出す。音楽のシェアハウス。

フカツ：確かにそうかも。

豊田：面白いですよね。

──ツアー、本当に楽しみにしてます。まだチケットを手に入れていない人に向けて、お誘いの言葉をもらえますか。

豊田：はい。パーカーズの2ndデジタルEP『心の中なら何度も言えるのにな』が出たんですけど、それぞれ違った個性の、表情の違う曲たちを5曲用意しました。それにプラス、僕らの楽しい雰囲気も、さらにパワーアップしているので、ぜひ音を浴びに来てほしいですし、一緒に楽しんでほしいということで、待ってます。一緒に遊びましょう。

──一緒に遊びましょう。名付けて＜愛と勇気で世界を救うツアー＞。

フカツ：ファンの子たちからは、“アンパンマンツアー”って言われてます。まさかそう言われるとは思ってなかったですけど、まいっかと（笑）。ヒーローになりたいと思います。

取材・文◎宮本英夫





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