【インタビュー】yukihiroが語る、2023年の音楽履歴とPetit Brabanconの新境地「インダストリアルな曲を作りたかった」

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■好きな音楽に好きなものをミックスして
■新しい表現みたいなものが形になっていく


──そして12月13日からPetit Brabancon の新作「a humble border」が配信スタートしました。yukihiroさんが作曲を手掛けた楽曲ですが、制作はいつぐらいから始まっていたのでしょう。

yukihiro:7月のツアー<Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」>が終わってからですね。

──今回はシングルという形態ではなく、新たな配信曲としてリリースされましたが。

yukihiro:今は発売方法にこだわらず、曲ができたら出していこうという感じですね。どこかの時点でCDという形になるとは思います。

──アルバムありきの制作ではないということですね。サブスクや配信が主流となっている現代にもマッチしています。

yukihiro:いろいろな方法があっていいのかなと思いますね。


──Petit Brabanconの夏ツアーを終えて、バンドがここからさらに進んでいく上で、“こういう曲がほしい”とか、そういった話がバンド内であった感じですか。yukihiroさんとしてはどういう曲を作ろうと思っていましたか?

yukihiro:インダストリアルな曲を作りたかったんです。それをイメージして制作を始めました。

──インダストリアルな曲をPetit Brabanconで演ったらハマるんじゃないかという?

yukihiro:楽曲として、Petit Brabanconにこういう曲があったらカッコいいんじゃないかなと思いました。

──作曲段階ではこれまで、“これはACID ANDROIDの曲”、“これはPetit Brabancon の曲”と決めてないという話も前回インタビューではありましたが。今回は、“Petit Brabanconでこの曲が演りたい”という発進だったんですね。

yukihiro:そういうタイミングでしたね。この曲を作ったときは、“ツアーが終わって、次のアクションをどうしよう”とメンバーやスタッフも含めて話していた中で、まずは新しい曲が増えていくのが順当と思ったんですよね。あとは、演ってみたいと思うこともあって、わりとすんなりと作曲モードに入れました。



──新曲「a humble border」はどういうところから制作を着手していったんですか? まっすぐに進んでいくスピード感からなのか、エッジーなギターリフからなのか、アシッドシンセのムードからなのか。

yukihiro:ギターリフからですね。ギターを弾いていたらあのリフが出来上がったので、じゃあこれを曲にしようという感じでした。

──Petit Brabanconでのyukihiroさんの曲はこれまで、アンビエントな世界観やドラマ性の高いミディアム調のサウンドが多かったと思いますが、今回はより攻撃的でパンキッシュな印象もあります。こういう部分はインダストリアルというテーマから自然と出てきた感じですか?

yukihiro:感覚的なことは聴く人に委ねてますね。

──yukihiroさんが作ったデモをバンドへ持っていったあと、アレンジはどのように進んでいきましたか?

yukihiro:まずミヤ(G)くんが曲のキーを7弦ギターに合うように変えてくれて、それに対してシンセの打ち込みをやり直しました。ヴォーカルパートは京(Vo)くんにお任せですが何度かやり取りして、ミヤくんからメロディの提案もありました。

──ドラムは2ビートが基調ですか? 「a humble border」のビートは、いわゆるメロディックパンクの2ビートとは異なるものという印象を受けました。

yukihiro:インダストリアルが僕のイメージですね。

──実際に「a humble border」が形となっての印象は?

yukihiro:カッコいい曲ができたと思いました。


▲「a humble border」

──インダストリアルだけど、ただ重厚で激しいというだけではない。シンセの印象をはじめとしてyukihiroさんの味が加わることで独自のサウンドになりますね。

yukihiro:自分が好きな音楽に、自分の好きなものをさらにミックスして、それで新しい表現みたいなものが形になっていくのが楽しいですね。

──今回はレコーディングに関しても作曲者であるyukihiroさんを中心に進めた感じですか?

yukihiro:メンバーからの提案を判断する役割ですね。

──今回はシンセのイントロフレーズや空気感からして印象的ですね。こういう音をこういう感じで使いたいというのはイメージ的にあったのでしょうか?

yukihiro: デモの段階でシンセはある程度形にしていました。

──ちなみに、今日部屋に入ったときから気になっていたんですが、スリント(SLINT)のTシャツを着ていますね。yukihiroさんというとニューウェーブなどのイメージも強いですが、スリントもよく聴いていた感じですか?

yukihiro:スリントばかりを聴いていたわけではなく、あの時代の音楽という感じです。

──ハードコアからポストロックなど、いろんな文脈で語られるバンドですよね。

yukihiro:ハードコアやってた人たちが、別のベクトル向いたら生まれた音っていうのがいいですね。

──今の時代はデジタル技術でいろいろなことができる面もありますが、当時は人力感というか、実験の中である種偶然にできたものだったり、そういう面白さも感じますね。yukihiroさんも実験的というか、こういう音を作ろうっていう遊びや発想を重要視されているんですか?

yukihiro:音楽を作る機材は時代と共に変化しているので、そういうものに興味があれば実験的なものに繋がることもあると思います。

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