【速レポ】＜響都超特急2023＞ハルカミライ、「日本中がこのフェスを待ってた！」

みんな、お昼ご飯を食べて、おなかいっぱいになったんじゃないか？　そして、ちょっと眠たくなってきたんじゃないか？　きっとそうだろう。じゃあ、眠気覚ましに、こんなバンドはどーだい！？──そんなふうに＜響都超特急＞が考えたかどうかはさておき、前半戦からの流れにさらに弾みを付けるという意味では、今やロックフェスには欠かせない存在と言っても過言ではないハルカミライは、まさにぴったりだった。

◆ライブ写真

そんな彼らのライブを体験する機会を逃す手はないと金閣ステージに集まったオーディエンスがライブのスタートを今か今かと待ち構える中、定刻の3分前にステージに出てきた橋本 学（Vo）以外の3人は「まずは自分にファイト！」「ロットンにファイト！」「そしたら楽しくファイト！」と須藤 俊（B, Cho）が声を上げながら、サウンドチェック代わりに32秒のパンクナンバー「ファイト!!」を3連発。いきなりオーディエンスを沸かせると、橋本を迎え、「君にしか」から本番になだれこむ。



そして、「カントリーロード」からこの日4度目の「ファイト!!」に繋げたタイミングで関大地（G, Cho）に続いて、早くも上半身裸の裸になっている橋本がスタンディングの客席に飛び込み、オーディエンスの上でパフォーマンスする──という5日後に今年2度目となる日本武道館公演を行うバンドとは思えないやんちゃぶりを見せつけ、オーディエンスを狂喜させる。


「毎年、ここに来ると冬が来たと思います。去年は呼ばれなかったけど（笑）。今年は呼んでもらいました。いろいろなジャンルのバンドが集まってて、色々な音楽が集まってて、＜響都超特急＞はもしかしたら今年俺達が出たフェス史上一番、異種格闘技戦かもしれない。楽しみにしてきた。いろいろなジャンルの音楽を楽しんでいこう。そうしよう。ひとまずは俺達の音楽でくたくたになってもらって」

そう橋本がこの日のステージにかける意気込みを語ってからの中盤以降は、バラード風に始まるロマンチックなロックンロールの「アストロビスタ」をはじめ、序盤のやりたい放題から一転、叙情性とともにバンドが持つ歌心をアピールする曲を多めに選曲。


「＜響都超特急＞は京都だけのフェスじゃない。日本中のみんなが集まってる。日本中がこのフェスを待ってた！」

曲の合間合間に橋本が語る言葉を聞きながら、ハルカミライがこの日、＜響都超特急＞と音楽を称えにやってきたことを知る。もちろん、どんなに大きな会場でやるようになってもライブハウス育ちであることを忘れないハルカミライらしいやりたい放題のやんちゃなやり方で。


後半戦、オーディエンスに歓喜の声を上げさせたのは、「フェスじゃあんまりやらないけど、ちょっとだけ女々しい男の曲を」（橋本）と披露した「冬のマーチ」。小松謙太（Dr, Cho）のダイナミックなドラムプレイが大きなグルーブを描き出したこのバラードをセットリストに加えた理由は、「この曲、（ROTTENGRAFFTY）のNOBUYAさんが好きなんです」とのこと。

「（須藤）俊とNOBUYAさんの親友が大ゲンカしたとき、NOBUYAさんが仲裁してくれたことがあって。これで借りを返しました（笑）」そんなことをサラリと言ってのけるところもハルカミライらしい。


「せーの！」という橋本の掛け声を合図にオーディエンスに一際大きなシンガロングの声を上げさせた「世界を終わらせて」の中盤では、「ほんといい先輩を持ったと思います。ROTTENGRAFFTY、ほんとにいい後輩を持ちました。なんつって（笑）」と橋本。

ただやりたい放題に暴れ回るだけではなく、真摯に音楽に取り組む姿も印象付けた後半戦は、バランスを取ろうと考えていたのか、いなかったのか、ともあれ、そんな物怖じしない発言でも楽しませてくれたが、そんなことを言った直後に歌詞を変え、「世界を終わらせて」をROTTENGRAFFTY賛歌にしてしまうちゃめっけが心憎かったのだった。

文◎山口智男
写真◎かわどう