【インタビュー】由薫、ドラマ『たとえあなたを忘れても』主題歌「Crystals」に今という瞬間「曖昧だけど確かにあるようなもの」

■夜が開けていく由薫を観ていたい
■みなさんにそう思ってもらえるライブを

──では、公開された「Blue Moment」はどのように作っていった曲だったんでしょうか？

由薫：最初にご一緒した作家の方と作った曲が「Blue Moment」なんです。これは作家の方から「ライブを重視するか、そうじゃないのか」とか「どんなライブをするのか」という質問をされて。自分がこういうスタイルで音楽をライブをやっているんだっていうことを話したら、じゃあライブで演奏できるような、こういう曲があったらいいよねっていうところからスタートした曲なんです。スウェーデンで曲を作って、日本で作詞をするという形でしたね。この曲は10月から始まる＜2nd TOUR “Blue”＞のテーマ曲じゃないですけど、そういう曲にするのはありだなと思って、日本に帰ってから歌詞をつけたんです。

──歌詞で、“君がいないと意味がない”とか語りかけるようなフレーズが入っているのもそういうライブをイメージしているからですね。

由薫：そうですね。ライブで歌えたらいいなという歌詞を入れようと思ったんですけど、最初は、自分的になかなか納得がいかなくて。これもまた改めて原点に立ち帰ろうと思った曲なんです。最初は“君”という言葉とかは入っていなくて、自分の中での葛藤を綴っていたんですけど、“最初に音楽を始めたときってどんなだったっけ”と思い返したりして。そうしたら自分の葛藤ではなく、“君がいないと意味がない”っていう言葉を入れたいなと思ったり。方向性を変えて作った曲なんです。



──“夢の途中で終われない”という言葉も、まさに今の気持ちですね。

由薫：そうですね。

──そこで、なぜ「Blue Moment」、“ブルー”というワードが出てきたんですか？

由薫：このブルーは、夜が明けていくときにちょっと空が青くなる、そんな青をイメージしていて。歌詞を書いていると、明け方まで起きていることもよくあるんです。夜明け前の時間ってすごく静かで……無じゃないですけど、そういうところに一回立ち返ろうっていう気持ちにもなるというか。たとえば、音楽を始める前だったり、音楽を始めてメジャーデビューする前だったり、いろんな夜明け前の瞬間に立ち返るって、人生の今のタイミングで必要だなと思ったんです。

──「Crystals」もそうですが、振り返ることがたくさんあった時期だったんですね。1stツアーの経験や体験も踏まえて、次なるツアー＜2nd TOUR “Blue”＞はどんなものにしたいですか。

由薫：タイトルを“Blue”にしたんですけど、青についての図鑑みたいなものを買って読んだときに。

──そんなコアな図鑑があるんですね（笑）。

由薫：そうなんです（笑）。青ってすごく曖昧な色で、それこそ夜と光と闇の間の色だったり、あと“星月夜” (シングル「星月夜」／2023年2月発表)って言葉もその図鑑に出てきてびっくりしたんですけど。今までの自分の曲とかを振り返っても、青は度々ワードに入っていたりするんです。


──今日着ている服もきれいな青です。

由薫：本当だ（笑）！ 結構キーワードになるんじゃないかなと思っているんです。今回のツアーでは、夢をひとつのテーマにしようと思っていて。それは、みんなが寝ているときに見ている夢と、自分の将来への夢というものもそう。そういえば、最近私が見た夢に、ライブでお客さんがひとりだけだったという…ミュージシャンとしては怖いものを見たんですけど（笑）、自分の将来の夢はたくさんの人に聴いてもらったり、たくさんの人の前でライブをしたいっていうものがある。同じ“夢”なのに真逆だなって思ったんです。夢ではお客さんがひとりしかいなかったけど、逆に、お客さんがひとりいてくれた。ひとりでも聴いてくれる人がいるなら音楽をやる意味があるし、誠心誠意歌いたいと思えたんです。そういう気持ちでライブができたらいいなと思いますし、これから夜が開けていく由薫を観ていたいって、みなさんに思ってもらえるライブがしたいと思っています。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎野村雄治






◆インタビュー【２】へ戻る
◆インタビュー【１】へ戻る