【速レポ】モンパチフェス＜WWW!!23＞、ORANGE RANGE「青空がある！海がある！ だったらもうこれしかないでしょう！」

「ハイサイ、沖縄のみなさん！ 3日目も楽しんでいきましょう～。よろしくね。1曲目からアゲていきたいんだけど、たぶんみんなが待ってる曲は、これなんじゃない？」というRYO(Vo)の言葉に続いて、鳴り始めたシンセのイントロに大きな歓声が上がる。

◆ライブ写真

1曲目はシンセがきらびやかに鳴るダンサブルなパワーポップナンバー「以心電信」。かつてMONGOL800とコラボーレション(コラボベストアルバム『縁盤』収録／2016年発表)もしている楽曲なのだから、この日の1曲目にこれほどふさわしい曲はなかったはずだ。




フロントに立つRYO、HIROKI(Vo)、YAMATO(Vo)の3人がラップと歌を繋ぎながら、「自由に跳べ！」「沖縄の風、届けに来ました！」「でかい声を聴かせて！」とRYOが絶妙のタイミングで差しこむ言葉が観客の身も心も解き放ち、地元・沖縄出身の5人組、ORANGE RANGEは真上から照りつける太陽がじりじりと温度を上げる＜What a Wonderful World!! 23＞最終日のハブステージを、あっという間に砂浜のダンスフロアに変えていった。

「右上を注目！ 青空がある！ 左を注目！ 海がある！ だったらもうこれしかないでしょう！」とRYOが声を上げ、間髪入れずに繋げたのが「ロコローション」。ファンキーな演奏もさることながら、観客に歓喜の声を上げさせたのは、“刺激が欲しけりゃバカになれ”というパンチライン。ORANGE RANGEのメッセーはただ1つ。楽しみに来たんだったら、とことん楽しめ。それだけだ。



「なんか、この景色に見覚えがあると思ったら」と2021年に開催された＜What a Small World!!＞に観客として遊びに来たというエピソードを披露したHIROKIは、続けて「あの時よりもはるかに開放感があります。“ワッタァ(＝What a Wonderful World!!)”が沖縄に帰ってきました。モンパチ25周年おめでとうございます。全力で楽しんでいきたい」と宣言。

バンドはトロピカルなイントロに導かれ、7月に配信した新曲「解放カーニバル」を早速披露する。いつまでもやんちゃだと思っていたORANGE RANGEもいつのまにか、ひと昔、いや、ふた昔前なら不惑と言われる年齢になっていたことを改めて思い出させる大人っぽいムーディーなディスコナンバーは、NAOTO(G)とYOH(B)の、ともにファンキーなプレイも聴きどころだ。



その曲を演奏する前に「私達は突然知らない曲を聴いても「以心電信」「ロコローション」と同じテンションで楽しんでいるフリをします！」と観客全員に誓わせるという演出を交えていたせいか、新境地を思わせる新曲に対する観客の反応も上々だ。

「もっとアゲていきますよ！」とRYOが声を上げ、なだれこんだ後半戦もドラムのリズムとシンセのフレーズで加えたラテンフレーバーとセクシーな歌詞が彼ららしいと思わせる「Pantyna feat.ソイソース」から、「おしゃれ番長 feat.ソイソース」「SUSHI食べたい feat.ソイソース」と楽器隊の骨太の演奏も印象に残るディスコナンバーをメドレーで繋げ、観客に1秒たりとも休む時間を与えずに踊らせ続ける。




「今日は、みんな好きなバンドのタオルを持っていると思う。見せてくれ」とRYOが呼びかけ、観客全員がタオルを回した「Pantyna feat.ソイソース」の一体感は、「おしゃれ番長」の“番長！”“番長！”のコール＆レスポンス、そして「SUSHI食べたい」のワイプに形を変えながら、さらに大きなものに──。

「ORANGE RANGEがこの時間に配置された理由、わかってるんです。アゲろ、とモンパチさんからメッセージが届いている気がしているんで、ここからガツンとアゲていきます！ ついてこられますか⁉」とRYOが声を上げ、海外の民謡とブギと日本の音頭とパンクがごた混ぜ(チャンプルー)になったORANGE RANGE流のミクスチャーロックからなだれこんだラストスパート。“夏の太陽のせいにして、欲望に身を任せろ”と観客を誘う歌謡ロック調の「イケナイ太陽」、さらにRYO、HIROKI、YAMATOが掛け合うラップロックナンバー「上海ハニー」とセトリから外せない代表曲をたたみかける。



「＜WWW!!23＞、最高の盛り上がりです。ORANGE RANGE、ガツンと爪痕を残したいので、もっともっと行けますか⁉ 地元沖縄でやってますから、めでたい席ってことならやっぱりカチャーシーじゃないですか。最後に踊りましょう！」──HIROKI

そんなHIROKIの提案と、後方のリラックスゾーンで座りながらのんびり見ている観客にも「後ろの人、行ける？」と呼びかけるRYOの熱っぽい言葉があっという間に伝わっていき、「イーヤーサーサー」の掛け声とともに観客全員がジャンプしながらカチャーシーを踊るという、ここ沖縄でしか見られない光景が目の前に広がったのだった。



文◎山口智男
写真◎macoty