【インタビュー】fuzzy knot、始動から2年半の来歴と最新曲に込めたメッセージを語る「作品は時間を超えていく」
■fuzzyknotって半角空けずに書いちゃってた
■つまり繋がってきたのかな。だけど…
──ステージ上でのお互いの印象は?
Shinji:初めて一緒にライブをやった時、めちゃくちゃ動き回るからビックリしたんですよ。歌が上手い人って一つの場所にドンと構えて、あまり動き回らないというイメージがあるからなんですけど。初ライブの時は、全部が新曲みたいな感じだったから、自分が全然動けないことに悔しい思いをしていて。でも、横を見たら田澤がすごく動いてた(笑)。
──田澤さんは、Shinjiさんのパフォーマンスからどんな刺激を受けましたか?
田澤:スイッチを入れることの大切さを感じたし、それがすごく刺激になりました。すごくメイクを濃くするとか、そういう人ではないし、そういうスイッチの入れ方ではないけど、普段のおっとりほんわかしたShinjiとは、まるで別人がステージにはいるので。自分的には、ステージとプライベートをボーダーレスで行き来して、常に繋がってたらいいと思ってたんですけど、やっぱりバチッと入れるスイッチも必要なんだなってShinjiを見て思いました。
──なるほど。
田澤:僕から見ると、最初のライブからShinjiはちゃんと動けてたんですよ。でも次のライブでは、傍から見て分かるぐらい、より一層動いていた。ギターを弾きながら動くには、動きながらギターを弾く練習せなあかんと思うんですよ。それは歌も一緒で、アクションをしながら正確なピッチで歌うには、練習しないとできない。ということは、“それを短期間で修正したということか。こやつ~!”って驚きましたし、その謙虚さに刺激をもらっています。
──お二人とも向上心のかたまりですね。
Shinji:fuzzy knotの曲ってキーがすごく高くて、コーラスも、下ハモなんですけど一般成人男性の声より少し高いぐらいなんです。そのお陰で、コーラスで声がひっくり返っちゃう時があったので、これはあかんって、15年ぶりぐらいに一人カラオケに行きましたもん(笑)。自分で「こころさがし」とかカラオケに入れて歌って。
田澤:そういうところですよ! “出来なきゃヤベえ”って自らカラオケに行っちゃうようなところが謙虚なんです。
──では、10月7日からスタートするツアーに向けて、意気込みをお聞かせください。
田澤:fuzzy knotとしては、コロナ禍のガイドラインが全部取っ払われた状態でのツアーは初めてなんです。お客さんが声を出せたり、頭を振れる状態での初ツアーになるので、ここで積み上げられるものはかなり大きいんじゃないかな。これまでのツアーで培ってきたのとはまた別の、これからのfuzzy knotの土台をつくるというか。
Shinji:ユニットとして、やっと落ち着いてきた感じがするんですよね。さっきも言いましたけど、初ライブの時は、全部新曲みたいなもので、僕らも探り探りでしたから。“こういう時、ステージ上の田澤はこうする”というのが分からなかったので。でも今回は、それが少し分かってきた中での最初の大きなツアーになる。だから、すごく自由度高くできるんじゃないですかね。
──楽曲バリエーションが多彩なので、セットリストの組み立て方にも無限の可能性があるでしょうし、逆に難しさもあるんでしょうか?
田澤:まさにそうで、1本のライブで全部やろうとすると“やりすぎたな”と思ってしまうこともあって(笑)。でも、今までのライブで見えてきた心の持っていき方があるので、今回はクリアできるんじゃないかな。とにかく今回は“表現の鬼になったろ”と思っていて、楽しい空気を出す時は楽しく。感情のベクトルを大きく表現したいし、観る側もそれができるツアーになると思っています。
──セットリストはShinjiさんが組まれるんですか?
田澤:そうですね。Shinjiが基本的な流れをつくってくれます。で、実際にやってみて「並びはこっちのほうが意味が出るよね」とか、そういう変更はありますけど。
Shinji:この取材の2日前ぐらいにセットリストの叩き台を田澤に送ったんですよ。僕の中で、どこに何を置いても成立するようにはなってるから、“これでいいのかな? まだ本決まりではないだろうな”と思いながらですけども。
──コロナ禍のガイドライン撤廃後、ようやくfuzzy knotのライブに足を運ぶという初参加の方たちに向けて、魅力をどう伝えますか?
田澤:fuzzy knotのライブ空間には、声を出せない段階からすごくいい熱量があったと思うんです。初めての人にも僕はわりと「手を挙げて」「声を出して」「クラップして」なんてナビゲーションをしますけど、腕を組んで突っ立って観てるのがいちばん楽しいんだったら、それでいいんです。無理強いはしない。どんな見方であれ、楽しんでもらえるように運んでいくので、来てもらって間違いないと思います。
Shinji:全く同感ですね。僕も好きなバンドを観に行った時は仁王立ちで観てるし、無理に「おい、乗っかれよお前」なんて言われたら「えっ!?」ってなっちゃう(笑)。ステージ上の人間としては、楽しませるのが当たり前だから、もちろん頑張りますけど、自由に好きな見方をしてほしいですね。
──とにかく名曲が揃っていますから。
田澤:本当に曲を受け止めてくれるだけでいいし、聴いてるだけでも楽しいと思います。
──では最後に、fuzzy knotの今後の展望をお聞かせください。
田澤:来年また、まとまった音源をつくって、それを引っ提げてツアーをやっていこうという話はしていますね。Shinjiがfuzzy knotで得たものをシドに、その逆もそうですし、全部が満されて循環していくような活動をしていきたいです。
Shinji:現状で既に、「fuzzy knotでシドを知りました」という人がシドのライブに来てくれたりしてるけどね。
田澤:素敵じゃないですか、それ。もちろんfuzzy knotで僕を知って、僕の別プロジェクトに来てくれる人もいますし。
──初歩的なことを伺いますが、基本的にfuzzy knotはShinjiさんのソロプロジェクトなんですよね?
田澤:そうですよ!
Shinji:最初はそうでしたけど、今はソロだとは思ってなくて。
田澤:結成当初は、fuzzy knotにソロプロジェクトという冠が付くのであれば、Shinjiの言葉のほうがいいと思ったから、最初は「歌詞を書きなよ」っていう話をしていたんですよ。「Shinjiが自分で歌わないのなら、せめてShinjiの言葉を田澤というヴォーカリストが歌ってるという形にしたほうがいいんじゃない?」って。でもこの人、頑固なので(笑)。「いや、歌詞はヴォーカルが書いたほうがいい」という話になり、「Shinjiがいいなら俺はいいけど」って。
Shinji:僕が始めようと思ったプロジェクトというだけだからね。何ならプロフィール欄も、僕の名前が先に書いてあることが許せないほうで。
田澤:それ、めっちゃ言うんですよね。
Shinji:やっぱり僕はバンドの顔ってヴォーカルだと思っているし。個人的には、いくらギターがカッコよかったとしても、ヴォーカルが良くなかったら僕はそのバンドを好きにならないから。だから、歌をよく聴こえるようなアレンジや曲づくりを大事にしたいし、インストでソロ活動をしようとか一回も思ったことがない。なので、プロフィールの名前の順番は書き換えたいと思っているぐらいなんです。
──“曖昧な結び目”という意味を持つユニット名ですが、お二人の距離は近付き、すっかり堅い結び付きになってきているのではないでしょうか?
Shinji:僕ね、最近ブログとかにユニット名を書く時、“fuzzyknot”って半角空けずに繋げて書いちゃってたんですよ。つまり“繋がってきちゃったのかな”と思っていて。
田澤:俺たちの距離感と共に? 上手いこと言うな。
Shinji:でね、今それをまた空けるようにしてるんですよ。
田澤:なんでやねん(笑)!
Shinji:fuzzy knotはやっぱりfuzzy knotじゃないとなって。糸って、めちゃくちゃに絡まっているほうが取れないんですよ。釣りをやっていると分かることなんですけど。
──その状態こそが強固な結び付きである、ということですね?
田澤:“曖昧な結び目”という言葉(ユニット名)からは、フワッとしたイメージを抱きがちじゃないですか。でも、結び目がしっかりしてなくても、ほどけへん。その意味合いを強く押していきたいですね。
取材・文◎大前多恵
撮影◎今元秀明(ライブ)
■デジタルシングル「時の旅人」
DCCA-1114
01. 時の旅人
02. ブルースカイ
作詞 田澤孝介 作曲 Shinji 編曲 fuzzy knot
■<fuzzy knot Tour 2023 〜時の旅人〜>
10月08日(日) 愛知・名古屋ElectricLadyLand
10月14日(土) 埼玉・HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
10月21日(土) 宮城・仙台darwin
11月03日(金・祝) 京都・KYOTO MUSE
11月04日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
11月11日(土) 福岡・福岡DRUM Be-1
11月12日(日) 岡山・岡山YEBISU YA PRO
11月19日(日) 東京・新宿BLAZE
▼チケット
スタンディング ¥6,600(税込 / ドリンク代別)
※4才未満入場不可
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