【対談】キングサリ × 岡田典之(空想委員会)、新曲「おかえりきみ」誕生秘話を語る「テーマは“希望の歌”」

■だって、声を張って歌う曲じゃないしさ
■はかない系もいけます

──歌詞とリンクしていることに加えて、普段のカッコいいキングサリとはまた異なる一面が見えるMVでもあります。

岡田：さっき歌割りの話をしましたけど、ぶっちゃけ、今回、誰がうまいとか、そういうことはあまり気にしてないんですよ。それよりも、歌詞に合った部分を歌ってもらうというのが自分の中にあって。えみるちゃんが今、「山が好き。楽しかった」と言いましたけど、僕の中のイメージは、草原とかが一番合うのがえみるちゃんだと思っていて。

えみる：やったー。

岡田：そこを強調したくて、歌の出だしもえみるちゃんなんですけど。そういうところもリンクさせながら曲を作ったという裏話があります。

えみる：理解してくれてますね。

あやさ：CMみたいだったもんね。某清涼飲料水の。


岡田：そうやって、歌詞のイメージに合わせて歌割りを決めていきました。それぞれタイプが違うんで、組み合わせながら。

──それって、事前にメンバーには伝えているんですか。

岡田：伝えてないです。

──それ、今聞きたいですね。誰がどんなイメージなのか。ねぇ、みなさん。

全員：聞きたい！

岡田：じゃあ、閻魔ちゃんから言うと、閻魔ちゃんは一見オラオラって感じなんですけど、僕の中ではそれだけじゃなくて、実はちょっと孤独を感じている…あくまでイメージだよ（笑）？ だからこの曲の“頑張ってるんだけど実は心に引っかかってる部分がある”というテーマに、すごく合ってると思っていて。そしてちいちゃんは、とにかくまっすぐ突き進むという、“自分が頑張るしかない！”みたいな、ストレートタイプ。ねうちゃんはその逆で、変化球タイプですね。いろいろ柔軟に考えられる柔らかいタイプというか、まっすぐも行けるし、ちょっと一歩引いたこともできるし。

ねう：うれしい。


岡田：で、えみるちゃんは草原タイプで（笑）。カラッとしているイメージですね。れいちゃんは、どっちかというとちいちゃんに近いストレートタイプで、迷いがない。我慢強くて“なんでもやります！”みたいな、全然めげないタイプ。あやさちゃんは、妖精タイプというか、一人でふわふわしてるイメージですね。そういう、ざっくりとですけど、それぞれのイメージがあって、それを曲の中に入れています。

あやさ：実はレコーディングしてる時に、“絶対ここのパートになるな”と思った瞬間があったんです。“唯一のことでさ”のところを歌った時に、岡田さんが「ここ、いいな」と言って、ミックスの話もしていたから、もしやこれは私のパートになるんじゃないか？と。

岡田：最初のAメロのところで、えみるちゃんの次に出てくるタームの時に、あやさちゃんのすごくいいテイクが録れたんだよね。ビブラートとか、震えるところもいいんですけど、か弱い感じを声で表現できてるなと思ったので。

あやさ：今回は個人的に歌い方を変えて、それも相談したんですよ。「おかえりきみ」のデモを聴いた時に、“曲に寄り添った歌い方でやりたい！”と思って、当日「どうやって歌ったらいいですかね」って相談して、「じゃあ、ちょっと頑張ってみようか」って。


岡田：キングサリのすごいところって、歌い方を自分でちゃんと決めて“こういう歌い方をしたい”って提示してくれて、決めさせてくれるので。

閻魔：でもね、私はけっこう変えたいんだけど、世が変えさせてくれない。

あやさ：この世が（笑）。

閻魔：私だって優しく歌いたい、可愛く歌いたいというのはあるし、実際歌えるんだけど、世は私のパワーを求めてくるから。悲しい。

岡田：この曲はどっちかというと、いつもの歌い方よりもきれいに歌ってるよね。

閻魔：だって、声を張って歌う曲じゃないしさ。


岡田：でもそこを使い分けてやれるというのは、本当に技量がないとできないから。ちいちゃんも「自分が歌ったテイクを聴かせてください」って聴き直して、自分の中で調整して、歌うたびに良くなったりとか。

ちい：うれしい。

岡田：それぞれに特徴があって、すごいです。この曲は本当に、メンバーに助けられてます。

──MVの話に戻ると、ネ兎ねうさんのお気に入りシーンは？

ねう：お気に入りシーンは、やっぱり山（笑）？ 私も山賛成派で、すごくいいなぁと思ってました。プライベートでは絶対に行かないけど、こういう機会だから行くことができて、しかも風景がすごく良くて、いっぱい写真も撮ったし、思い出に残るMV撮影だったので。夜の都会のシーンも、いっぱいいろんなところを探して選んでくれたんだなというのもすごい伝わってきたし、全部お気に入りだけど、やっぱり山。山推し。自然光でみんなすごく可愛くて、いつも可愛いけど、よりナチュラルな可愛さが出て、すごくいいMVになったと思います。

岡田：キングサリは、カッコいいとか、勢いだけじゃないんですよ。山や草原が似合うところもあるので。

ねう：はかない系もいけます。



れい：私、ねうちゃんの、扉を開けるシーンが好き。私たちは扉があるという設定で演技をしたんですけど、ねうちゃんのときは実際に扉があって。

ねう：あれ？ 扉、なかったんだ。なるほどね。「扉が急に現れた演技をしてください」って言われたけど、私だけだったんだね、本当に扉があったのは。

ちい：あれ本物なんだ？ CGで作ったのかと思った。

れい：私たちは、何もないところに対して驚きの表情をするっていう。けっこう難しかった。

あやさ：でも私、れいちゃんのテイクを見せてもらって「こんな感じでお願いします」って言われたよ。

えみる：私も見せられた。

れい：見本になりました（笑）。

ねう：私だけだったのか。じゃあそこがお気に入りシーンです（笑）。

ちい：私は…キングサリのMVは今までスタジオでしか撮ったことがなくて。外に出てちゃんと撮ったのは今回が初めてだったんですけど、初めてドローンを使って、ラストシーンでみんなを上から映してる、あれはすごくいいシーンだと思いました。

ねう：すごくきれいな画になってたよね。

れい：映画みたい。


閻魔：私はお気に入りシーン…ない。

あやさ：逆に私、閻魔ちゃんのお気に入りシーンがある。

岡田：僕もあるよ。どうぞお先に。

あやさ：閻魔ちゃんがちょっと片足を上げて座って、たたずんでるところ。表情は見えなくて、横顔とスタイルだけなんだけど、それでも悲しさが伝わるというか。あのシーンは「人生とかいろんなことに疲れてるポーズを取ってください」と言われたんですけど、それがすごくうまいと思った。

閻魔：ありがとうございます。

あやさ：うちらは顔だけで“はあ～”っていう振りをしちゃったんですけど、閻魔ちゃんは姿勢だけでそれを表現してる！って。それがすごく好きです。

岡田：うまいよね。唇噛んでるところとか、手を伸ばすところとか。演技派だと思いました。

閻魔：でも個人的には、“ここ使ってないんだ？”というところが多すぎて。逆に“ここ使うんだ”というのが多かった気がする。個人的に。

岡田：なるほど。そこはちょっと見たいな。カットされた部分も。

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