【インタビュー #3】DEZERTが語る、「人の青春を奪っていくのがロック」という終わりの美学とその行く先
DEZERTが9月23日、ワンマンライヴ<DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT->をLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催する。自身二度目の渋公ワンマンはバンド名を冠したセルフタイトルとなるもの。今、改めてDEZERTがDEZERTと向かい合うことになったというドラマ自体が、このワンマンに、進境著しい現在の4人にふさわしい。先ごろ公開したBARKS 3ヵ月連続企画第一弾および第二弾では、同公演へ至るまで自らに課した構想と現在の立脚点について語ってもらった。
◆DEZERT 画像
そして間近に迫った渋公ワンマンは、チケット一般発売がスタートするやソールドアウト。ファンにとっても待望の公演となることが実証されたかたちだ。3ヵ月連続企画の第三弾はメンバー全員を迎えて話を訊いたが、「この先もいろいろと考えているので」との言葉が今後の輝きを物語るようで楽しみが尽きない。DEZERTの歩みは渋公ワンマンを通過点として続いていく。もちろん永遠に続くものなどありはしないのだろうが、かけがえのない瞬間のひとつひとつが永遠であることを彼らは知っている。渋公ワンマンでは、今を生きるバンドの生身の姿がくっきりと浮かび上がるはずだ。
◆ ◆ ◆
■音楽というツールで人と人が繋がっていく
■それがこの1年をかけてやっていること
──前回の第二弾インタビューで千秋さんとSacchanさんには6月からスタートした<DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”>の手応えを聞いているのですが、改めてSORAさんとMiyakoさんは今回のツアーの感触はいかがですか。
SORA:今回のツアーは楽しもうというテーマで回っていて、その意思がメンバー全員で共有できているし、フロアにもその空気感が伝わりはじめている感じがすごくありますね。9月23日の渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)での<DEZERT SPECIAL LIVE 2023 –DEZERT->にしっかりとフォーカスをして進もうという気持ちが全員にあったので、ツアー前から演奏面やステージング等、自分を表現するという準備を重ねていたと思うし。ツアー初日からテンパることなく、しっかりと各々が準備してきたことに向き合っている感じがありました。その中ではうまくいったことも失敗もありましたけど、それを常に心に留めてメモをしたり、消化したりしてツアーをやってきた感じ。反省したり落ち込んだりもありますけど、それも含めて今までよりもしっかり準備をしているなというイメージがありますね。
Miyako:間違いなく今までで一番ベストなツアーになっていると思っていて。ライヴの内容ももちろんそうだけど、SORAくんが言っていた準備段階においても、それぞれがベストを尽くせる環境で。その上でツアーを回れていることで、一本一本最高のライヴを届けられているなと肌で感じてます。
▲千秋 (Vo)
▲Miyako (G)
──そうやって準備を重ねて向き合ってきたツアーで、“この瞬間って新しいな”って感じたことなどはありましたか。
Miyako:新しさはないんですけど、今回はツアー初日からわりとリラックスしてできている感じだったんです。やっぱり初日となると、“やってやるぞ”っていう気負いから逆に空回ったりすることが過去にはありましたけど。そういうこともあって、今回は自分の中での目標として“リラックス”を掲げていたんです。ライヴ一本一本、リラックスしてパフォーマンスを最大限に発揮できるツアーにしようと。それが初日からできているのは、これまでなかなかなかったことだなと思います。
──リラックスして向かえたのは、積み重ねてきたものがあるという自信や余裕みたいなものがあったからですかね。
Miyako:それもそうですし、やっぱりメンバー全員が同じ目標に向かっていることが大きいですかね。今まで以上にみんなで話もしているし、そういう意識の切り替わりが大きいのかなと思ってます。
──昨年末の日本武道館イベント<V系って知ってる?>から考えると、『Focus of DEZERT』の企画やツアーをはじめとして1年くらいかけて濃密に、“DEZERTがDEZERTと向き合ってどうDEZERTを表現していくか”に徹底した時間だと思います。この時間が自分にもたらしたものはありますか。
Miyako:たくさんあると思います。プレイ面やパフォーマンスも然り、すべてにおいてメンバーそれぞれが切磋琢磨しているというか。個々が、頑張っていることが自分にも伝わっているし。自分ももっと頑張らないとなというか。そういうメンバー内での切磋琢磨がありますね。
▲Sacchan (B)
▲SORA (Dr)
──SORAさんは『Focus of DEZERT』企画などを立案して、軸となってプロモーション展開を動かしてきた部分もありますが、実際、思うように進められたなという感覚もあるんですか。
SORA:基本的には何事も思う通りに進むことはないと認識しながら向き合っていて。思い通りにならなかったときにどう動くか、それが一番考えないといけないことだなというのはありました。あと、この『Focus of DEZERT』企画は僕が考えたとおっしゃっていただきましたけど、それもメンバーが賛同してくれて、スタッフの協力のもとにできたことだし、いろんな先輩方に支えられて実現した企画なんです。新たな挑戦をして良かった点も悪かった点もあるし。
──といいますと?
SORA:動画編集をしながら、千秋の些細な言葉に“そういうことを思っていたんだな”と感じたり、『Special interview session』では普段メンバー間ではあまり出てこない話が千秋や先輩から出てきたり、先輩の言葉に千秋がぐっときてる瞬間があったり。“ああ、こういう感じなんだな”ってすごく勉強になったこともあって。少し俯瞰的に、ファン目線でメンバーを見ることもできて楽しかったんですよね。それが少しでもお客さんに伝わって、ツアーやライヴに繋がってくれていたらいいなと思います。
──千秋さんは『Focus of DEZERT』で、アリス九號.の将さんやシドのAKiさんといった先輩方との対談がありました。お互いが今思うことや、音楽や表現について思いをぶつけ合った機会というのは、どうでしたか。
千秋:あまりぶつけ合ったという感覚ではなくて、互いに気遣い合っている関係だなと思うんですよ。ライヴでもお客さんと本音というか、そのままの姿でぶつかり合いたいし、言いたいことも言いたいし。もちろん今回の先輩との対談に関しても本音を言えば、相手も俺に言いたいことや思うことはあると思うんです。でもそれを言っちゃダメじゃないですか。
──たしかにお互いが本音ばかりを交わしても、会話や対話にはならないですね。
千秋:それが僕的には最近心地よくて。ライヴでも、感覚的にこれは言っちゃダメだなとか、これを言ったら人間終わりやろっていうことってあるじゃないですか。それを押し殺しつつ、どう表現するかで、まあそれは苦しい部分でもあるんですけど。でも一歩相手を気遣いながら、互いにどう交われるのかを探っている感じが、現在地としては心地いいんです。それは今、フロアにいるお客さんたち、DEZERTの音楽を聴いてくれるリスナーの方に対しても、この距離感なのかなと思ってライヴをしている感覚はありますね。
──そうですね。バンドマン同士であり、言葉を綴るフロントマンらしく、音楽を通してお互いを知って、通じ合うようないい対談だったなと思いました。
千秋:そうですね。どう交わって、どうお互いにハッピーになれるかという。特にアリス九號.の将さんは、“こうやってDEZERTが絡んでくるのは、活動休止するアリス九號.のお客さん取りたいからやろ?”と最初は思っていたそうですけど、でも俺がアレンジしたアリス九號.の「ブループラネット」の音源を聴いて、“そういう思いがなくなった”と話してくれて。で、自分もきっとそう思われるだろうなというのは感じていたから、ここで変な選曲で浅はかなことをしたら、アリス九號.はもちろん、今回コラボレーションをしてくれたAKiさんにもギルガメッシュにも失礼やなっていうのもあって。その距離感を、音楽を通して掴めたのがよかったと思うんです。これがお酒を通してだと難しいんですよね。
──それこそブレーキが効かない、本音のぶつけ合いのようになってしまいそうですしね。
千秋:日本武道館イベント<V系って知ってる?>もそうだし、音楽というツールで人と人が繋がっていくというのが、この1年をかけてやっていることで。それは、音楽をやっている根底ですよね。
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