【インタビュー #1】千秋 × SORA、『Focus Of DEZERT』で向き合ったDEZERTの美点「良い音楽を作り続けるということ」

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DEZERTの疾風怒濤な勢いが止まらない。昨年末のSORA (Dr)オーガナイズによる武道館イベントには<V系って知ってる?>の名の下に、PATAやHYDEをはじめとする名だたるアーティストが集結、豪華絢爛なセッションも実現させた。その中心で同イベント始動時から何役もこなしていたのがDEZERTだったと言って過言でない。

◆DEZERT 動画 / 画像

2023年に入ってもその推進力は際限なく、1月に東名阪ツアー、3月に恒例千秋バースデーライヴ、同月より6公演の全国ツアー、4月に<DEZERT LIVE 2023 / 天使の前頭葉-結ふ->追加公演、6月にはvistlipとの東名阪ツアー<DEZERT X vistlip 2MAN TOUR “でざとりっぷ!”>を実施し、同月より8月まで<DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”>にて全国10箇所を行脚中。同公演では会場限定シングル「僕等の脊髄とブリキの夜に」のリリースも。そして先ごろ、主催ライヴ<DEZERT PARTY Vol.13>の8月開催が発表となったばかり。あまりにもアグレッシヴな展開は衝撃的ですらある。「賽は投げられた」とはSORAの言葉だ。

これら過密なライヴ活動と併行して実施中の映像企画が『Focus of DEZERT』だ。そのコンセプトは、“DEZERTというVisual Rock Bandをもっと知ってもらうため、“DEZERT”が”DEZERT”にFocusを当て 、DEZERTの音楽的な部分を発信していく”というもの。現在まで既存曲の“Acoustic live performance”や、各メンバーのライブパフォーマンスにフォーカスした“Member solo angle live video”といった映像の数々が公開されている。『Focus Of DEZERT』の起案者にしてプロデュースを務めるSORA、アコースティックVer.およびコラボレーション楽曲のアレンジや演奏などを行った千秋に、DEZERTの向かう先を訊いたロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■DEZERTの武器は絶対的に曲の良さ
■そのことをもっと伝えたい


──オフィシャルYouTubeチャンネル企画『Focus of DEZERT』や、全10公演のツアー<DEZERT LIVE TOUR 2023“きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”>が6月よりスタートしました。まず『Focus of DEZERT』はどういう経緯で始まったんですか?

SORA:2022年末の日本武道館イベント<V系って知ってる? powered by MAVERICK DC GROUP>は、僕が中心となってオーガナイズしたもので。DEZERTはコロナ禍に入ってもライヴを継続してきたんですけど、“DEZERTというバンドを今回の武道館イベントで初めて観た人って多かったんじゃないかな?”ということをシンプルに感じたんです。武道館の当日、チケットは皆様のお陰様もあり、完売となりまして、その人たちの前でいい楽曲を演奏することができたという自覚もあった。だったら、“もっといろいろなことを巻き込んで、何か面白いことができないかな”って。武道館の打ち上げが終わって、先輩方を見送った後にそう思いついたんです。さらに今年に入ってから、何ができるかを具体的に考えていって。

──SORAさん主導の『Focus of DEZERT』だったんですね。その時点で他のメンバーにも話をして?

SORA:僕がやりたいこと全部を最初にバーっと書き出して、まさにこの部屋(所属事務所マーヴェリックの会議室)でメンバーにプレゼンしました。そこで千秋やメンバーも「いいよ」って言ってくれて、協力してもらって進めたという感じですね。他にもやりたいこと…夢物語のようなものも含めてたくさんの企画があったんですけど。まず今回は、3つの映像企画でいこうと。


──千秋さんはSORAさんのプレゼンを聞いて、どういう感触を得ましたか?

千秋:まず、“細かいなあ、SORA君の性格が出てるな。すごいな”と思いましたけどね。

SORA:まぁ、この細かさはまだ序の口ですけどね。年内のひとつの目標地点でもある9月23日のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演のタイトルは、<DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT->じゃないですか。

──自身のバンド名を冠したセルフタイトルですね。

SORA:これも僕が発案したんです。武道館イベントで締めくくった2022年は、バンドとしてもひとりのアーティストとしても、いろんな経験ができた1年だったんです。そこで得たものをどう具現化していくか。今の一番の課題は、“DEZERTがDEZERTに向き合って、DEZERTをどう伝えていくか”だということが、武道館が終わって僕の心に浮かんだワードだったから。メンバーにもこの話をして、であれば渋谷公会堂公演のタイトルを“DEZERT”にしようと。じゃあ、そこに向かって何をしようか?と考えた企画が、『Focus of DEZERT』です。

──まず、オフィシャルYouTubeチャンネルで、“焦点”を見せようと。

SORA:DEZERTの武器は、絶対的に曲の良さなので。そのことをもっと伝えたいというのが、企画の根底にありました。そこで、アコースティックでのパフォーマンスや、メンバー毎のソロアングルのライヴ映像で観せたり、関わりはあったけど今まで絡んでこなかった先輩たちにもフォーカスを当てたコラボだったり、3つのコンテンツを立てたんです。



──映像施策『Focus of DEZERT』の始動が発表となったのが、5月28日のこと。公開された投稿スケジュールによると、第一弾となる“#1”は“Acoustic live Performance”、“#2”は“Member solo angle live video”と題して各メンバーにフォーカスしたライヴ映像を公開。そして“#3”は、girugameshの「終わりと未来」の楽曲カバー(MIXはgirugameshのЯyoが担当)、アリス九號.の「ブループラネット」とAKi「STORY」のコラボレーションカバーとヴォーカル同士のインタビューセッションという盛りだくさんの内容です。

SORA:そうですね。“#3”のコラボでは、千秋が先輩たちの曲をアレンジしたんですけど、なかなかやれないことだし、その作業自体、難しかったと思うんですね。楽しいことをしたいし、観てくれる人をワクワクさせたいという気持ちだけでやっている感じ。“次のタームに向かっているDEZERTが今、こういうことをやる”というものをどんどん続けていきたい。賽は投げられたという。

──武道館イベント以降も息つく間もない感じですね。

SORA:1月に東名阪ツアー<DEZERT LIVE TOUR 2023「てくてくツアー」>があって、3月に<Chiaki Birthday Live 「不透明人間」>とツアー<DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉-零->があって、4月に<DEZERT LIVE 2023 / 天使の前頭葉-結ふ->追加公演もあって。その水面下で、こういう企画や音源制作をしていたんですけど、やっと発表できたところです。これからもいろいろ動くよっていうことを。

──そんな状況の中で千秋さんは、DEZERT楽曲のアコースティックアレンジや、コラボ用に他のバンド楽曲のリアレンジをするということもやられていたわけですね。他のバンド楽曲をアレンジするって、あまりない機会だったと思いますが、怖さはなかったですか?

千秋:怖さは別にないんですけど、時間はかかりましたね。自分の曲であれば、うまくいかなかったら出さなければいいだけですけど。出さないといけないわけで、ずっとイライラしてて。スタッフに、「なんで俺、こんなんやらなあかんねん」と言ったら、「いや、千秋さんが“自分でアレンジをやる”って言ったんですよ」と返され(笑)。でも、いい勉強になりましたね。最初は意気込んで、先輩たちの曲に勝ちたいとか邪な心もあったんですけど。あくまで今回は“DEZERTの音楽を聴いてもらう”というコンセプトがあったので。聴いてもらうためにどうすればいいのかを考えました。

SORA:アレンジをはじめ、プログラミングやレコーディングに関しても千秋が全部やってくれたので。すごいなってメンバー全員が改めて思っているところです。



──コラボはもちろん、普段のライヴとはまた違うリラックスした感じのアコースティックパフォーマンス映像も新鮮でした。映像としての見せ方に関するこだわりもありましたか?

SORA:僕に映像のイメージがあったので、みんなに協力してもらった形です。美しい映像にしたかったんですよ。例えば一発目に公開された「白痴」だったら、客観的にこの曲を聴いたとき、切なく苦しい中で、すごくいい曲が聴こえてくる、というイメージが最初の印象としてあった。それを映像にするときには、後ろから光が差していてほしいなって。そういう感じで1曲1曲の画を考えて。他の曲も同じ部屋で撮ってはいるんですけど、この曲はこういうほうがいいなとか、それぞれ変えています。僕自身、映像ディレクションが楽しくなって、メンバーも任せてくれてましたね。

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