【対談 #3】YUKKE(MUCC) × Ni~yaとRUKA(NIGHTMARE)が語る、<悪夢69>とリズム「V系が流行り廃りではなく文化になった」

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■今は難しい時代になったけど
■翳りの先に光が戻ってくるといい


──YUKKEさんはNIGHTMAREのリズム隊をどう分析してますか?

YUKKE:ライヴを観ていて感じたんですけど、ずっと一緒にやってるパートナーとしてふたりの息がすごく合ってるなって。ボーカルとツインギターが好きなようにステージでいろいろできるのは、この背の高いふたりのリズム隊がどっしり支えてるからで。RUKA君は叩いてるときにクールなイメージがある。そんなに汗だくにはならないんだろうなっていう印象というか、冷静に4人を束ねるラスボス感があります。雑誌とかで見ると背が高くて華があるから、派手なアクションでシンバルとか叩きそうなのに、そういうのをやらないんですよね。そこにクールさを感じてる。

RUKA:クールなんじゃなくて、恥ずかしくてできないだけなんですよ。目立ちたくないんです。インタビューとか普段もそうですけど、俺、ふざけてるじゃないですか? なのに、曲が始まったとたん、急にカッコつけ出すことに物凄く抵抗があるんですよ。

YUKKE:なるほど(笑)。

RUKA:その違和感がこの20数年間、拭えなくて。いまさらっていうか、替え時も分からないままずっとこの感じですね。

YUKKE:RUKA君って話を聞くと意外な人間味があって。話せば話すほどクールなイメージとは真逆なことが多いから面白い。

RUKA:ははは。


▲NIGHTMARE

YUKKE:Ni~ya君は、自分とはプレイスタイルが真逆なベーシストなんですよ。ベースを構える位置も低くて、すごく男らしい。ベースに“漢”ってステッカー貼ってるよね?

Ni~ya:いや、貼ってない(笑)!

YUKKE:あれ? 俺の勝手なイメージか、ごめんね(笑)。基本ピック弾きだよね?

Ni~ya:はい。割合的には“ピック8:2指”ぐらいですね。

Ni~ya:YUKKEさんは基本指弾きですよね?

YUKKE:俺はNi~ya君との逆の割合で“指8:2ピック”。そこも真逆なくらいスタイルが違うから、話してて面白いし。NIGHTMAREはツインギターじゃないですか。そのなかでNi~ya 君はしっかりビートを刻めるベーシストなんですよ。その刻み方も地味じゃなくて、派手にうねる。そこが特徴なのかなと思います。

──それぞれプレイヤーとしてしっかり見ているんですね、やっぱり。それではお互いのバンドに対して、羨ましいなとか感じたこともありましたか?

YUKKE:NIGHTMAREは「the WORLD」(TVアニメ『DEATH NOTE』オープニング曲)がヒットして、すごく広い世界の人にバンドの存在と曲を知ってもらえたと思うんですね。そのときはいいなと思ったし、いつも遊んでたNi~ya君がすげぇ遠くにいっちゃうかも、と思ったかな(笑)。NIGHTMAREがアニソンをやるということ自体意外だったんですけど、「the WORLD」はアニメの雰囲気に合ってたから、すげぇカッコいいなと思った。


Ni~ya:俺は、MUCCがいろんなアーティストと対バンしたり、海外ツアーやってるのがすげぇ羨ましかったです。

YUKKE:NIGHTMAREって海外行ってないの?

Ni~ya:まだ3ヵ国しかないです。中国、フランスのパリ、アメリカのヒューストンにフェスで行っただけで。MUCCがヨーロッパツアーとかやってるのを聞いて、いいなって思ってました。

RUKA:MUCCって僕ら世代のなかでは、夏フェスとかオールジャンルなイベントに出てる数少ないバンドなんですよ。そこはすごいなって思ってました。

──音楽ジャンルを超えた活動は意識的ですか?

YUKKE:ヴィジュアルシーン以外で活動しているバンドも自分たちのルーツだったりしますし、そこに知り合いもいたので、昔から対バンする機会があったんですよ。それに、ジャンルを超えたオールジャンルなフェスに出演してみると、その面白さに気づくんです。ほとんど自分たちを知らない人の前で演奏するスリルとかクセになる。今でもどんどん出ていきたいですけどね。

──かつてはガンズ・アンド・ローゼズのドーム公演の前座も経験してますし。

YUKKE:過去に類を見ないぐらいのアウェイ感の中で演りましたから(笑)。

Ni~ya:それ、チケット買って観に行きました。前座のMUCCが始まったのに、客電も付いたままで音も小さいから、なんで?って思ったんですよ。

YUKKE:でも、いろんな試練を乗り越えた前座だったので、あれでバンド全員のハートが強くなりましたね。っていうかNi~ya君、観に来てたってこと初めて知った(笑)。


▲MUCC

──ヴィジュアルシーンについては、皆さんがデビューされた2000年代前半とそれから20年経った今では、どんな変化を感じてますか?

YUKKE:当時はSNSもなかったので、対バンして仲良くなったとしても、“お前らには負けないぞ”感とか強くあったというか。馴れ合いみたいなのが少なかった気がするな。でも、昔の雰囲気とは違うけど、今のシーンにも新しくて面白いバンドもたくさん出てきてますし、20年くらいの間にヴィジュアル系が流行り廃りではなく、文化になったというか。日本音楽シーンのひとつのジャンルになったんじゃないかなと思います。

Ni~ya:自分が子供の頃に聴いてたバンドさんと較べたら、いろいろ進化して、圧倒的に楽曲の幅が広がりましたよね。そこが明らかに違うと思います。でも演奏は、先輩方ってクソ上手いんですよ。そういうところは自分はまだまだですね。若い子とかからレコーディングの話を聞くと、今はコピペでやってるっていう子もいて。

YUKKE:そうだね。

Ni~ya:俺らは今もフル尺通して演奏するんですよ。アナログレコーディングから始まってる世代だから。

YUKKE:指ズタズタになっても、泣きながらでも、何回も弾いてフル尺で録ったもんね。部分的なパンチインとかはあったけど。

Ni~ya:今はそれをコピペで簡単に終わらせてると思うと、そんなヤツらにはまだ負けらんねぇって気合いが入ります(笑)。

RUKA:俺は、不特定多数の人が目にする音楽雑誌が無くなったことが、このシーンにとってすごく大きなことだと思っているんですよ。別に誰が悪いとかではなく。

YUKKE:昔は音楽雑誌がたくさんあったから、撮影やインタビュー取材も毎月のようにあって。他のバンドのことを音楽雑誌で知ることが多かったよね。“NIGHTMAREの次のアーティスト写真はこういう感じなんだ”とか、そういうところで育ってきた。

RUKA:もちろん、まず雑誌を手に取ってもらわなければ始まらないっていうハードルがあるんですけど、自分から探しにいかないと情報が入ってこないSNSに対して、雑誌はペラペラめくるだけで様々な情報が入ってきたんですよね。俺らは、自分たちが出てる音楽雑誌を見れば新しいバンドのことが知れた。今は難しい時代になったと思いますね。この翳りの先にまた光が戻ってくるといいですよね。

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