【インタビュー】THE FOREVER YOUNG、4年ぶりアルバム『永久に』に両極端「もっと俺たちっぽく。その到達点」
THE FOREVER YOUNGが8月9日、4年ぶり4枚目のフルアルバム『永久に』(とこしえに)をリリースする。近年、「心の旅」のカバーや『餃子の雪松』CMタイアップ曲「君を輝かせて」のリリースにより、親しみやすさを感じさせることが多かった彼らだが、今作はそんなイメージが吹っ飛ばされる弾丸8ビート「ONE SHOT ONE KILL」にはじまり、王道パンクナンバー「メンドクセー」、高速ショートチューン「この夜だけにカケテ」と、これまでにないほど枠をはみ出した全10曲が収録されている。
◆THE FOREVER YOUNG 動画 / 画像
一方で、表題曲「永久に」を筆頭に「STAND BY ME FOREVER」「手紙」、そして7分以上に渡るカバー曲「幻」といった真っすぐな楽曲では、熱い魂の咆哮が聴く者の心を震わせる。両極端な印象でありながら、どちらも間違いなくTHE FOREVER YOUNGの魅力そのものだ。まさに集大成といえる今作について、メンバー全員に語ってもらった。
▲4thフルアルバム『永久に』
◆ ◆ ◆
■喜怒哀楽の全部をぶち込めた
■という意味では満足してます
──6月7日、リキッドルームで自身最大規模のワンマンライブ<THE FOREVER YOUNG presents FOREVER YOUTH SPECIAL ~memories~>が行われました。コロナ禍以前に戻った印象のライブでしたけど、手応えはいかがでしたか?
クニタケ:リキッドルームワンマンは以前、一度やっていたんですけど。それはbachoとSUPER BEAVERを迎えての対バンイベント開催がコロナ禍の規制で難しくて。結果的にワンマンに変えるという状況だったので。今回が正真正銘のワンマンでした。自分たちのチャレンジに対して、応援してくれる人たち、僕らが作りたい空間に共感してくれる人が年々増えてきて、そのひとつの集大成がリキッドワンマンだったなって実感できましたし、やってることが間違いじゃないじゃなかったと思いました。生きてて良かったなって。
──ライブを観て思ったのが、タカノさんが以前と比べてかなり変わったというか、堂々と演奏しているようにみえたことだったんです。
タカノ:本当ですか? たしかに前よりもっと楽しくやれるようにはなったと思います。
クニタケ:それは周りからもよく言われてますね。昔から知っている友だちが「全然違うね」って言ってくれたりするから。
▲クニタケヒロキ(Vo, B)
──そのワンマンではクニタケさんがMCで結構毒づいていた記憶もあって。それが今回のアルバムを聴いたときに、1曲目「ONE SHOT ONE KILL」で繋がった印象でした。4年ぶりのフルアルバムを作るにあたって、どんなことを考えていましたか?
クニタケ:念頭にはいつも、カッコいい曲とか自分達自身を吐き出せる曲を作りたいというのがあるので、シングルもミニアルバムもアルバムも変わらないんですけど、アルバムとなるとやっぱり“作品を作りたい”という意気込みはあるので、それは込められたんじゃないかなと思います。
──アルバムタイトル『永久に』は、曲タイトルが先にあって付けられたものですか?
クニタケ:「永久に」という曲はめちゃくちゃ前から原曲があって、お蔵入りしたり二転三転してきたんです。その曲がやっとできたっていう喜びはありましたし。そういう想いも含めて、この曲がアルバムタイトルになったのは理想的でしたね。
──激しく攻撃的な曲から、包み込むような優しさや美しさも感じさせるTHE FOREVER YOUNGの魅力が、全部詰め込まれている作品ですね。かなり手応えがあるのでは?
クニタケ:“最高傑作”って自分たちで言うのはなんですけど、喜怒哀楽の全部をぶち込めたんじゃないかなっていう意味では満足してますね。僕は歌詞を書いたり曲のことを考えたりするときに、お客さんや友だちはもちろん初対面の人にも気に入られたい、という気持ちが前提にある人間だったんです。聴いてくれる人を増やしたいという気持ちもあったので。でも、年を取るごとに、そういうことが面倒臭せえなと思うようになってきて。もっと人間らしく、もっと俺たちっぽくやるにはどうしたらいいのか。その到達点のような作品になったと思います。
オガワ:そうですね、いいアルバムになったと思います。個人的には、あんまり気を張らずに臨んだというか。前までは自分の中で、良い曲を作らなきゃいけないという気持ちが大きくあったんです。もちろん今回も、そういう気持ちを持ったうえで肩肘張らずに。僕は曲を作るとき、歌にしろギターにしろ、結構あれこれ言う方なんですけど、その割合が今回は以前に比べて少なかったというか。メンバーそれぞれがやりたいことをやって、あまり力まずに作ることができた作品だという気がします。結果、聴く人それぞれに“この曲がめっちゃいい”って思える曲がたくさん詰まったアルバムだと思います。
タカノ:本当に全部良い曲だと思います。アルバムが完成してから1ヶ月ぐらい経ちますけど、毎日、頭から終わりまで通して聴いていますから。個人的には今回、難しいフレーズを考えるのをやめました。あんまり背伸びしていないというか。(ナカオ)タイスケともそんなに話さず、お互い任せ合った感じです。
ナカオ:そうですね。それぞれがフレーズとかを考えるというのは以前と同じなんですけど、最初からすり合わせるというよりは、自分である程度完成させたものを持ち寄って1つにする作業が多かったですね。僕は普段、クニさん(クニタケ)と一緒にいることが多いんですけど、アルバムを聴くと、日々の生活でクニさんが感じている喜怒哀楽が、何も飾らずそのまま曲になっているなって。
▲オガワリョウタ(Dr)
──「ONE SHOT ONE KILL」を聴いた瞬間、今ものすごく何かに怒ってるのかなと思ったんですけど?
クニタケ:まぁ人間なので、今回に限らずいつも怒っているというか(笑)。それを良い人ぶって隠すのはやめたいなと。「ONE SHOT ONE KILL」は好き嫌いが分かれる曲だとは思うんですけど、僕らはパンク/ハードコアが好きなので、そういうアプローチも出していきたいなと思って作りました。ここまで極端な曲はこれまでなかったと思います。
──終盤のメロディで、曲の印象がガラッと変わるのが面白いですね。攻撃的な部分と綺麗な部分が同居しているところが、アルバム全体を象徴している気がします。
クニタケ:そこは考えていなかったですけど、そういう解釈があると嬉しいですね。もともと、「ONE SHOT ONE KILL」は絶対1曲目にしようと思って作ったので、ケツまでキレたままだと、次の曲に繋ぎにくいかなっていうのもありました(笑)。
──1曲目もそうですし、新境地を感じさせる曲がいくつかありますよね。「WHY DON'T YOU KNOW」もその1つで。こういうギターリフ中心のアレンジってこれまでなかったですよね?
クニタケ:歌詞は僕の葛藤を歌っていたりしていて、これまでの曲にもあるタイプなんですけど、曲調とかサウンドで言うと、一歩踏み込んだ新しさがあるんじゃないかなって思います。チャレンジしてみたら上手くいった感じですね。
タカノ:この曲のギターは難しかったですね。がんばって考えました。
オガワ:もともとは「疾走感」って仮タイトルがついてたくらい、8ビートの前のめりな曲だったんです。そこから、ギターとドラムの掛け合いとか細かいフレーズのアイデアが膨らんで、どんどん足していって。たとえば、サビ終わりからAメロに戻るところもそう。両サイドでギターが鳴ってて、その後ろでドラムがフレーズを叩いているようなアレンジも、これまでやってなかったと思う。THE FOREVER YOUNGはどちらかというと歌メインの曲が多いんですけど、この曲はオケだけ聴いても楽しいと思います。ただ、ライブでやるのが大変かな(笑)。
──確かに、演奏から作ったような感じを受けました。
クニタケ:それはありますね。
オガワ:カッコよくしていこうっていうのが積み重なった結果、こうなった感じです。
ナカオ:リズムやギターの掛け合わせとか、聴いていて新しい刺激があると思います。そのぶん、やっぱり演奏の難易度が高いのでいっぱい練習しないと。
オガワ:ライブでやらなかったら察してください(一同笑)。
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