【インタビュー】Blue Vintage、最新EP『GREEN』は自然体を前面に出した1枚「いろんな面を見せられるのが強み」
■新しいスタートを切っちゃった気がする、このEPで
──あと、好きなのは4曲目、ボビー・マクファーリン「Don’t worry be happy」のカバー。口笛のフレーズが有名な大ヒットですよね。日本語の訳詞というか、イメージを借りて自由に広げた言葉使いが良いなぁと。
J.Speaks:最初は口笛のフレーズだけをサンプリングしようと思っていたんですけど、作者に対するリスペクトも込めて、英語を日本語に起こしてみたらばっちりハマって。自分たちはよくカバーをさせてもらうんですけど、たまに日本語にチェンジしたり、ちょっとした工夫でやったりしていたんですけど、これほどばっちりハマった曲はなかったです。カバー申請をしたら、本人に聴かせたみたいで、「いいよ」っていう感じで許可をもらえたのが自信にも繋がりました。自分たちのキャラクターも出せて、Blue Vintageのサウンドとしても成り立つカバーになったと思います。
Taiga:2番でルーツレゲエのリズムになるんですけど、ずっとやりたかったんですよ。ルーツレゲエだけの曲はなかなかリリースしづらいんですけど、今回はカヴァーで、メロディのキャッチーさと、JUNくんのユーモアあふれる歌詞を借りて、思い切りルーツレゲエをやってみたのが、サウンド面でのチャレンジでしたね。
J.Speaks:レゲエだったり、アイランド感だったり。この曲は『GREEN』の中の、うちらが表現したい色味や曲調の中で大事なパートを担ってくれていますね。
──個人的には最後の曲「Where do we go」も大好きなんです。王道のソウルバラードで、ゴスペルっぽい壮大さもある中で、歌詞にはシリアスな社会性も入れつつ、ラブ&ピースを願って前向きに締めくくる。
J.Speaks:自然体を意識して作った『GREEN』の中に、もちろん海でワイワイとか、チルな音楽とか、そういう中にもちゃんとしたメッセージがあって、その上で楽しもうよということで、より深みが出ると思ったので。「Where do we go」は社会情勢を自分なりの目で見て、感じたものをメッセージに起こしたんですけど、一番大事なことは「みんなにこうしてほしい」ではなく、「自分はこういう考え方だけどみんなどう思う?」ということなんですね。戦争とかそういうワードを使わずに、でも聴けば誰もがわかるようにして、言葉自体に棘を持たせずに、全体のメッセージで刺していく。その中でフロウを作りながら、一文字一文字を大事にしながら作った曲が「Where do we go」です。
──こういう曲が入っているのが、Blue Vintageの強い個性だと思います。
Taiga:サウンド的には、王道を行きたかったんですよね。「聴いたことある。この感じ好き」って言ってもらえるように、サム・スミスみたいな感じとか、ちょっとゴスペルの要素も入れて。ちゃんと王道を行き切る歌唱力と歌詞の世界観がしっかりある曲だったんで、ど真ん中で行ってもしっかり聴いてもらえるかなと思ったので、王道を行きました。
──Taigaさん。ギタリストとしてほかにお気に入りの曲は?
Taiga:何だろうな。でも「Naturally」が一番、JUNくんの声もそうだし、Blue Vintage純度100%みたいな曲なので。二人だけで録っているので、思うままのサウンドというか、自分たちのサウンド感だと思いますね。
J.Speaks:Taigaにも言ったんですけど、今まで一緒にやってきて、ギターソロもいっぱい弾いてもらったんですけど、「Naturally」のギターソロが一番大好きだって。
Taiga:雰囲気があるって言ってくれました。
J.Speaks:最初に自分が歌って、「あとでソロ入れるんで」「楽しみにしてるよ」って。上がったものを聴いた時、最初の一音から「くぅ~!」って感じで(笑)。「これだよ!」って、すぐにTaigaに「このソロめっちゃ好き」って言いました。
Taiga:僕としても、「Naturally」はJUNくんの声の質感がめちゃくちゃ聴き取れるんで、倍音もしっかりみんな感じてほしいです。
──という6曲。爽やかさや心地よさの中に、ちょっとビターな余韻が残ります。コンセプトや方向性はしっかりまとまっていて、なおかつ1曲ごとの個性が強い。理想のバランスじゃないですか。
Taiga:今までよりは、まとめたつもりはあるんですけどね。
J.Speaks:『PURPLE』『IVORY』『BLUE』『GOLD』もみんなそうなんですけど、「飽きさせないように」という気持ちが無意識にあるというか、似たような曲を同じようなアルバムにまとめたくないというのは、なんとなくあるよね。共通認識として。
Taiga:そうですね。
J.Speaks:いろんな面を見せられるのがBlue Vintageの強みだと思うので。
▲L to R:J.Speaks、Taiga
Taiga:どこかでBlue Vintageらしさを感じてもらえれば。「Naturally」はJUNくんが一人で歌詞を書いて、ほかの曲はいろんな人が入ってるんですけど、それも新しいチャレンジとしてすごく良かったなと思います。今後は、全曲すべてJUNくんのこだわりで歌詞を書かなくても、JUNくん監修であれば全然いいかなとも思います。
──2023年は、二人が出会って10年。まだまだ新しいことができると。
J.Speaks:できますね。
Taiga:新しいスタートを切っちゃった気がする、このEPで。今年に入ったぐらいから、EPの曲を作り始めたんですけど、ずっと調子が良くて、それが今でも続いてます。週一でセッションに入ってるんですけど、一回入ったらワンコーラスが2曲できるので、「つかめたな」というのがありますね。
──8月はライブも盛り盛りです。
Taiga:週末は必ずやってますね。うちらが8月に暇だったらヤバイんで(笑)。夏に仕事しないと。
──楽しみにしています。あと、そうそう、これを聞くのを忘れてました。『GREEN』のジャケット、今までとはガラッとイメージが変わりましたね。すごくアートっぽい。
Taiga:これは『GREEN』のGをもじってます。
──ああー、そうか。よく見るとGになってる。
J.Speaks:僕も最初は全然わからなかった。エスカルゴかと思った(笑)。
Taiga:見る人によっていろんなものに見えるんですけど、総じてみんな、ネイチャー感とか、生命観とか、そういうものを感じるって。今回、ナイキでデザイナーもやっているニョロさん(SHINJI ItoU)という方にデザインをお願いしたんですけど、ここまでお洒落に振り切ったのは初ですね。今までは写真が多かったですけど、今回はミュージックビデオにも出ないし、ジャケットをアーティスティックなものにするのも初だし。
J.Speaks:もうモテようとしなくなった(笑)。でも今後もいろんな分野のクリエイターさんとコラボしていきたいなと思っていて。そのためにももっと名前を上げて、良いものをクリエイトしていって、共鳴する人たちがいれば、面白いことができるんじゃないかと思います。
取材・文◎宮本英夫
リリース情報
FMCD-045
FROG MUSIC / NVPR
01: Little Ocean
02: Blue Summer
03: Shomonai feat. 関口シンゴ
04: Don’t worry be happy
05: Naturally
06: Where do we go
ライブ・イベント情報
2023年8月4日(金)〜8月6日(日)
※Blue Vintageの出演は 8月5日(土)になります。
公式HP:https://alohafes-odaiba.com
<THE DROP FESTIVAL 2023 in Japan>
9月30日(土)みやざき臨海公園多目的芝広場
W / ACIDMAN, 新しい学校のリーダーズ, The BONEZ, Def Tech, Dragon Ash, HEY-SMITH, Little Glee Monster and more…
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