【インタビュー】Yukihide “YT” Takiyama、B'zや氷室京介でお馴染みのマルチミュージシャンの初ソロアルバムに理性と野性「少し壊れた部分があるほうが納得いく」

■やっぱり自分のソロってなると
■芯になる部分があったほうがいい

──「Drop Down」のソロでは、テンポの速い付点8分ディレイが出てきますけど、前半はワイルドに乱れつつ後半では見事にタイトにハマっていく。あのテイクをOKにしたセンスこそ、パッション優先の証と思いました。

YT：あれはほぼワンテイクなんですよ。僕的には“あれでいいです”って感じ。細かいことを言ったら、いろいろあるんですけど、でもその時の勢いが出ているから、それでいいかなって。

──ディテールにすごく気持ちが入っているプレイですよね。まさに顔で弾いているのが伝わるという。

YT：「Drop Down」はカチッとした曲じゃないから、あれはあれで荒っぽい感じの曲にしたかったのもあるんですよね。であればこそ、ギターソロで途端にパーフェクトなソロが入るのも違うと思うんですよ。曲の雰囲気に合わないじゃないですか。そういう風にはしたくなかったので、多少間違っていても勢いがあったらそれでよかった。そういう意味では、「Drop Down」は歌詞に関してもあまり考えていなくて、歌もどちらかというと楽器的に使っているんですよね。ちょっと音程があるようなパーカッシヴな楽器という感覚で自分の声を使っています。


──歌詞に関して、日本語と英語の割合は意識していますか？

YT：それは特にないですね。英語のほうが覚えやすいのはあるんですけど、基本的に歌詞はひとりで書いていないので。

──ボーカルスタイルも曲によって全然違うことにびっくりしましたけど。

YT：日本語と英語の違いもあると思いますね。「Jaguar」みたいな感じの曲だったらそれなりにきちんと歌わなきゃ…と言ってもパンクっぽい部分もあるのでアレなんですけど、「Nasty Creature」は壊れた感じにしたかったから、歌も音程とか気にしないで勢いでガナるぐらいの感じで“こいつちょっとおかしいんじゃないか”ぐらいの勢いで歌うイメージかな。

──Aメロで入ってくるギターも壊れたファズのサウンドで。

YT：そうです。ギターもきれいな音はほとんど使ってないですね。ファズは個人的にはすごく好きで、特に「Nasty Creature」でプープー鳴っているような“なんじゃこの音!?”ってくらいのファズとかすごく好きなんですよね（笑）。他のところであまり使えないですけど、ああいうの大好きで。

──あの音は、B'zのステージでも聴いたことはないなあ（笑）。

YT：システムには入っているんですけどね、使う機会がないです。


──今作『Tales of a World』も、YTのほんの一部ですよね。次の作品で作ってみたい構想はありますか？

YT：まだ細かくは考えてないんですけど。やりたいことはいっぱいあると思うんです。ただそれを自分のソロで演るのかってなると、それは自分のソロアルバムじゃないと思うんです。もちろんいろんな曲を書くのが好きですし、ただのツーファイブばっかりのジャズみたいな曲を書いたりもするんですけど、やっぱりソロってなると、ある程度は芯になる部分があったほうがいいと思うんですよね。自分のソロとしてやるんだったら、ちょっと壊れた部分があるほうが納得いくというか、自分的に一番しっくりくる。だから少し壊れた感じのロックにまとめていくとは思います。

──また壊れた作品第2弾を楽しみにしております。ありがとうございました。

取材・文◎烏丸哲也 (JMN統括編集長)






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