【インタビュー】OverTone、1stフルアルバムは「今のOverToneを最大限に引き出せた作品」
■コロナ禍が、人間的に成長させてくれた
──個人的にはリード曲になった「笑うピエロ」が一番好きなんですね。“あんた”“ あたし”っていう言葉使いも新しいし、今までにない大人の恋愛ソングになっていて。
GUCCHI:そのへんは正直、書いてる時に「OverToneで歌う曲じゃないか」というのはすごくあって。とりあえず書いてみて、ハマらなかったら誰かにあげればいいやと思って、完成して聴いてもらったら、若干審議はあったんですけど、結果、リードになりましたね。もともとピエロというテーマで書こうと思って、曲調も何も決めてなかったんですけど、ピエロと言えば…で連想して、物語を作って行きました。
八上:最初にデモが送られてきた段階で、「むっちゃええ曲やん」と思って。ちょうどスーパーで夜ご飯の買い物をしてたんですけど、普段やったらさくっと肉とか買って帰るものを、「笑うピエロ」を5往復ぐらい聴いて、スーパーの中でだらだら歩いてました。
GUCCHI:あははは。
八上:いい曲やなーと思いながら、「もう一回聴きたい」みたいな。これは次のアルバムに入れるよなと思いつつ、「ええ曲なるで」と思ってました。
──“あんた”“ あたし”にも違和感はなかった?
八上:そうですね。関西人なんで、別にこういう曲もいっぱいあるし。ただGUCCHIも言ったように、OverToneとしてどうか?というところは、若干思ったんですよ。今まで曲で関西色を出したことがなかったんで、ここまで関西色を出していいのか?と。まあでも、あいみょんさんも関西色出してるからええかって(笑)。 “あんた”を“あなた”にしたほうがいいんじゃないかという意見もあったんですけど、そういう曲はもう出したし、やったことないことをやりたいなと思ったのと、GUCCHIが作ったんで、GUCCHIが思う一番いい形で出したいと思ったんで。
──その表現だからこそ、この二人の関係、性格、過去、今の生活まで見えてくるから、すごく大事なところだと思いますね。あと、OverToneを聴いてて思うのは、毎回歌詞のテーマで新たな挑戦があると思ってて、前作では、ふたりが一生の愛を誓いあう「赤い線」とか、その前は家族のことを歌った「オレンジ色」とか。大きく言えば、愛について考える曲が必ず1曲あって、それがどんどん深まってるなと思うんですよ。
八上:確かに。
──その一番新しいものが「笑うピエロ」かもと思ったんですね。人生の悲哀を歌い込んだ愛の歌というか。GUCCHIさんの中で、愛についての思考を深めたいという思いがあるのかなと思っていて。
GUCCHI:基本的に、それこそコロナに入る前ぐらいまでは、愛という単語すらあんまり使わへんかったりとか、こんな若造が歌っても嘘くさくなっちゃうというか、自分の中でのルールがあったんですけど。
八上:説得力がな。
GUCCHI:そう、説得力が感じられへんやろなというのがあって。でも25歳を超えたあたりから、自然とそういうワードを選ぶようになってるということは、もうそういう段階に来ているというか、使ってもいいんかな?ということで、今はめっちゃ使います(笑)。
──言葉使いって変わりますよね。時間と共に。
八上:特にコロナ禍が、人間的に成長させてくれたところがあるかもしれないです。勢いのままに20代前半から活動してきて、25歳ぐらいの時にコロナ禍でバン!と止まって、一旦ゼロになって、「何が大切か?」を考え直す時期でもあったんで。僕自身は「音楽、続ける?」という気持ちもあって、僕がそう思っていた時に、GUCCHIは愛について考えていたのかもしれない。「愛とは?」って。
GUCCHI:むちゃくちゃヘンな奴やん(笑)。
八上:愛に飢えてたんちゃう? 寂しかったとか。
GUCCHI:愛だけじゃなくて、常に考えながら生きてるんですけど、特にいろんな感情を根掘り葉掘りしていくようになりました。
──6年前に結成して、勢いよく活動して来て、コロナ禍で自分を見つめ直す時期を経て。メンバー4人の関係って、変わってきてますか。
八上:関係自体は変わらず、すごくいい関係だと思いますね。仲いいし、お互いのことをリスペクトしあってる部分もありますし。実は今回のツアーから、今までは4人でセットリストとかを話し合って決めてたのを、アマノに一任して、ライブのことはアマノが先陣切ってやってほしいということで、アマノがライブ担当になったんですよ。ライブの煽りも僕がやってたんですけど、そこもNOWAR The 匠くん(以下、匠くん)がやってくれたりとか。ツアー初日が岡山(6月25日)やったんですけど、横を見たら、アマノと匠くんは汗だくなんですよ(笑)。煽りが一番エネルギーを使うんやって思いました。
GUCCHI:メインボーカルやから、出来るだけ歌うことに専念させて。サビ前で煽ると、サビの入りが弱くなっちゃうとか、リハーサルの時にそういうことを話してて。
八上:匠くんもけっこう煽るのが得意だから、「俺に任せてほしい」みたいな、初めて匠くんがその感じで来てくれて、「じゃあ頼むわ」って。前まで、僕、1曲目で前が見えへんくなるぐらい汗かいてたのに、ツアー初日の中盤ぐらいで匠くんとアマノが「もうヤバイ…」みたいになってるのを見て、「何がそんなヤバイんやろ」と思ったら、「そうか、俺、煽ってないわ」って。そこはすごく変わりましたね、このツアーで。
──それは一番大きい変化じゃないですか。アマノくんと匠くんが覚醒して、役割分担がハッキリした。
八上:特にアマノは、OverToneから音楽を始めたじゃないですか。ほかのメンバーより自信がなさそうな感じは、ずっと感じ取ってたんですよ。ライブ担当になった時も、最初は控えめだったんですけど、電話で「思うままにやってほしい」という話をした時があって、その日からめちゃめちゃ“アマノ節”が効いて来ましたね。「全然気を使わんでええから。どうしても悩んだ時にはメンバーで話し合ったらいいやん」って言ったら、「じゃあ、思うままにやってみるわ」って。今回のツアーのセトリもアマノが考えたんですけど、めっちゃいい感じです。
GUCCHI:全員が、良いふうに変わってきてますね。ライブもすごくやりやすくなりました。僕も、サビ前でガーッと煽ることが多かったんですけど、今回のアルバムは(八上と)一緒にサビをメインで歌う曲が多くて、出来ればそっちに集中したくて、それが出来るようになったんで。すごく楽しいですね。
▲GUCCHI
八上:煽り二人が、煽らんくなって、煽らんかった二人が、煽るようになった。
GUCCHI:まだツアー中ですけど、「ライブってこんなに楽しかったっけ?」って。
八上:おい!(笑)ライブはいつでも楽しかったやろ。でも確かに、それが今回のツアーの一番の挑戦やったかもしれない。スタンドマイクとかじゃなかった(笑)。
──ツアーは7月30日まで。まだ間に合う人はぜひ、新しいOverToneを目撃してください。東京ファイナルはもちろん、7月22日、地元・大阪のなんばHatchも大事なライブになりそうです。
八上:初めての1000人規模なので、絶対にコケるわけにはいかないというか。成功させたいですね。なんばHatchは頑張って、セットも豪華にする予定なんで。
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