【速レポ】<京都大作戦2023>10-FEET、興奮と感動の大団円「みんなからもらったバトン、熱々にするぞ」
太陽が丘に降り注いでいた光も、夕景の時を迎えようとしていた。今は太陽が丘を柔らかな光が見守っている。2日間にわたり開催されてきた<京都大作戦2023 〜今年は可能な限り全フェスに参加してくだ祭!〜>も、残すはトリを務める主催バンドの10-FEETのみ。
◆<京都大作戦2023> 画像
18時40分、SEが響き渡ると、オーディエンスが掲げる10-FEETや<京都大作戦>の色とりどりのタオル。真っ赤な照明の中、太陽が丘に広がる光景に笑顔を見せながら現れた10-FEET。KOUICHIのもとに集まって、なにやら話する3人は楽しそうな表情も見せている。
しかし、TAKUMAがコードストロークしながら「その向こうへ」が始まったとき、メンバーの顔つきは変わった。曲に入り込むように一音一音に集中する3人がいる。今回の<京都大作戦>の前には、この後も続く全国ツアーをスタートしている。各地でいろいろな対バンを迎えながら全国を廻り、当然、刺激を受けるはず。またバンドの原点やら自分なども見つめ直す機会にもなっているだろう。それが起因した集中力なのか、<京都大作戦>のステージだからなのか、入り込み具合がすさまじい。
「さあ、行こうか! 見せてもらおうか! 今日1日の流れ、みんなからもらったバトン、熱々にするぞ!!」──TAKUMA
そう煽りながら「STONE COLD BREAK」へ入ると、太陽が丘にはいくつものサークルピットが生まれ、激しくグルグルと回り続ける。さらに「SHOES」ではオーディエンスの歌うデカいコーラスも重なって、曲が力強さと豊かさを持ちながら太陽が丘を揺るがしていった。
「大作戦、掛かって来いや!」とNAOKIが煽る「2%」。死を暗く悲しく迎えるのではなく、いつか誰でも死ぬんだったら、最後まで幸せに熱く生き抜け。そんなメッセージも込められたこの曲を、TAKUMAは楽しそうに笑って歌う場面も。その姿にオーディエンスも笑顔になり、大きなコーラスが曲を彩っていく。
ライブが始まった途端、勢いで駆け抜けていくように思えたステージ。ところがライブ中盤、TAKUMAは視線を落としながら語り始めた。
「身近なめちゃくちゃかわいいヤツが、天の国に行ってしもうて…。そんな話を映画でも観て、シンパシーを感じて。悲しい思い出が、悔しい思い出が、一生のトラウマが形を変えるまで、なんとか粘りたい。悲しい過去は変えられへんけど、その意味合いは変えていける。みんな、俺ら、これからのみんな。粘ろうね。死にたいなとか思いそうになったら、また来てよ、ライブに。ブッ飛んで死ぬようなライブをまたやろうや」──TAKUMA
途中から涙もにじませるが、悲しい出来事も生きるための糧にして進もうとする強い気持ちが溢れた言葉は、胸を打つ、誰にも響く。そうして続いた「深海魚」は、悲しい思い出が生んだ曲でもある。歌に描かれた思いに、自分の出来事を重ねるように聴き入るオーディエンスの姿が太陽が丘に広がっていく。涙をタオルで吹く姿もあった。10-FEETには熱い曲も多いが、優しくすっと寄り添ってくれる曲こそ、彼らの真骨頂だろう。「元気出していこうぜ。ヘコたれんなよ」と自分にも言い聞かせるように言葉を重ねるTAKUMAでもある。
「時間いっぱいまでやるよ!」──TAKUMA
曲が終わっても噛みしめているオーディエンスに、TAKUMAは気持ちを切り替えるようなニュアンスでそう言い放つ。「RIVER」に突入すると、TAKUMAが「めっちゃ大好きな友だち呼んでええか?」とKjを呼び込んだ。10-FEETを称えるKjの歌に、オーディエンスの掲げるスマホの光がリバーを作り出す。<京都大作戦>名物の感動的光景だ。それに続くのは大阪の自称・バスケ馬鹿たちという大阪籠球会も加わった「第ゼロ感」。バスケットとのコラボレーションは、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の様々なシーンもフラッシュバックさせていった。
こうして再び駆け抜けるようにライブを展開する10-FEET。しかしライブには終わり時間というものがある。
「“ああ、帰りたくないな”と言って帰ろうな、一緒に」──TAKUMA
優しい言葉を掛けながら始まった本編ラストの「ヒトリセカイ」だったが、オーディエンスの興奮も衝動も感動も終わることがない。曲に合わせてそこらじゅうでクラウドサーフが起こるわ、サークルピットも生まれるわ、ハンドクラップが鳴りやまないわ、一瞬の隙もなく盛り上がり続ける太陽が丘。<京都大作戦>にふさわしいエンディングである。いや、エンディングにはまだ早かった。
アンコールに呼ばれて再び登場した10-FEET。「VIBES BY VIBES」を喰らわせ始めるや、ステージ袖から飛び出てきたのはWANIMAの3人。煽り続けるKENTA、メンバーやオーディエンスと笑顔を交わし続けるKO-SHIN、バスケットボール回しにひたすらいそしむFUJI。自由奔放すぎる3人でもある。さらにマキシマム ザ ホルモンのナヲやORANGE RANGEのHIROKIなども出てきて、大騒ぎ。
「CHERRY BLOSSOM」では、オーディエンスがタオルやら、たまにスニーカーやらを曲に合わせて投げ続け、これまたお祭り騒ぎだ。これぞ<京都大作戦>である。いやいや、これまた早かった。
最後の挨拶にまたまた登場した10-FEET。真面目な気持ちを語るTAKUMAやNAOKIだが、最後はやっぱりKOUICHI先生のリサイタルである。ギターはNAOKI、ドラムにKjを従えて、披露するのはもちろん藤井フミヤの楽曲「TRUE LOVE」。途中、KOUICHIの指示によって、テンポを上げて熱いビートを叩くKjとコードをかき鳴らすNAOKI。「これは俺の歌や」とまで言い張って、自信満々に歌うKOUICHI。何年経っても懲りない…いや、こだわり続けるKOUICHI先生による終幕前のヒトリセカイ劇場。大笑いしながら<京都大作戦>の余韻を楽しむオーディエンスとバンドマンのみんなが、太陽が丘にいた。
16年目の<京都大作戦>、大成功である。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎HayachiN/Yukihide"JON..."Takimoto/青木カズロー
セットリスト
2. STONE COLD BREAK
3. SHOES
4. 2%
5. 深海魚
6. RIVER feat. Kj from Dragon Ash
7. 第ゼロ感 with 大阪籠球会
8. ヒトリセカイ
encore
1. VIBES BY VIBES feat. WANIMA
2. CHERRY BLOSSOM with DOCTOR-HASEGAWA
■10-FEET主催<京都大作戦 2023 〜今年は可能な限り全フェスに参加してくだ祭!〜>
7月2日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
open9:30 / start11:00 ※20:00終演予定
〒611-0031 京都府宇治市広野町八軒屋谷1
●出演者 ※50音順●
▼7月1日(土)
【源氏ノ舞台】クリープハイプ / Ken Yokoyama / dustbox / 10-FEET / Fear, and Loathing in Las Vegas / 04 Limited Sazabys / ヤバイTシャツ屋さん / ROTTENGRAFFTY
【牛若ノ舞台】ANARCHY / Wienners / かずき山盛り / KUZIRA / 東狂アルゴリズム / バックドロップシンデレラ / FOMARE
▼7月2日(日)
【源氏ノ舞台】ACIDMAN / ORANGE RANGE / go!go!vanillas / coldrain / 10-FEET / Dragon Ash / マキシマム ザ ホルモン / WANIMA
【牛若ノ舞台】a crowd of rebellion / ammo / ENTH / おとぼけビ~バ~ / w.o.d. / NUBO / Hakubi
▼両日開催
【鞍馬ノ間】※7月2日の出場チームはトーナメント結果による
EGOLA / 大阪籠球会 / TEAM-S / TEAM NICK / TEAM Happy FROM SOMECITY OSAKA / TEAM FUKUOKA / TEAM Lucky FROM SOMECITY OSAKA / ちきゅう
※アーティストは都合により変更になる場合がございます。その際、チケット代金の払い戻しは実施されません。
▼チケット ※Sold Out
【通常札】
・1日券 8,800円(税込)
・2日通し券 17,600円(税込)
【童札(わらべふだ)】
・1日券 3,300円(税込)
・2日通し券 6,600円(税込)
※童札は、2023年7月時点で小学生(生年月日が2011年4月2日〜2017年4月1日)の方が申込み可能。必ず大人の方(通常札購入者)と一緒に来場してください。童札のみでの入場はできません。
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