【インタビュー】FANTASTIC◇CIRCUS、転生から原点回帰へ「ようやく過去の自分を愛せるようになった」

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FANATIC◇CRISISの転生によるFANTASTIC◇CIRCUSは現在、石月努(Vo)、kazuya(G)、SHUN.(G)が揃っての18年ぶりツアー<tour THE END OF 30th BOYS 2023>を開催中だ。2022年5月の日比谷野音公演<転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY>を成功させてから約1年。今回のインタビューでメンバーの口から語られたのは「楽しい以外の言葉が見つからない」「人生の中で今がいちばん幸せ」という言葉だった。

◆FANTASTIC♢CIRCUS 画像

2005年のFANATIC◇CRISIS活動停止以降、各自がソロ活動やバンドで経験値を高めた上で、再びFANTASTIC◇CIRCUSとして転生したからこそ、ファンの前に立つ喜び、楽曲を奏でる瞬間瞬間を大切に感じ、噛み締めているのだろう。30周年プロジェクトの皮切りとなった日比谷野音での思い出、1997年から2000年にかけてのシングル曲全13タイトルをパッケージしたリテイクベスト『TENSEISM BEST SINGLES【1997-2000】』に込めた想いとこだわり、「転生からの原点回帰」と定義づけた<tour THE END OF 30th BOYS 2023>の手応えについて、たっぷり語ってくれたロングインタビューをお届けする。

   ◆   ◆   ◆

■やってよかったと思えた
■自分を褒めてあげたい気持ち


──まず少し遡りますが、“FtC”結成30周年を記念して2022年5月14日に日比谷野外音楽堂で開催したFANTASTIC◇CIRCUS名義のワンマンライブ<転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY>を振り返って、感じたことをお聞きしたいのですが。

石月:FANATIC♢CRISIS時代に毎年夏、恒例のように日比谷野外音楽堂のステージに立っていたので、僕らにとって野音はすごく特別な会場なんです。野音のブッキングって本当に抽選で決まるんですけど、FANTASTIC◇CIRCUSとして転生した第一歩のライブが、僕らが解散ライブを行なったのと同じ5月14日に当選したことに、導きのようなものを感じたんですよね。迎えたライブ当日は一言で言うと“やってよかった!”と思いました。もちろん、みんなが笑って泣いてくれたライブそのもので感じたことでもあるんですが、FANATIC♢CRISIS時代に関わってくれた昔の楽器チームや事務所スタッフ、いろいろな人たちが垣根を越えて「野音、行きたいんだけど」って言ってくれたのも嬉しかったし、FANTASTIC◇CIRCUSとして起こした行動は間違ってなかったなと思いました。

──kazuyaさんは野音でどんなことを思われました?

kazuya:僕は気負いもなく、緊張もしていなかったので“陽が暮れてきたな”とか、ゆっくり時間軸を楽しみながらやらせてもらいました。“虫が飛んできたな”とかね(笑)。

──野外ならではの風物詩みたいなものですね。

kazuya:僕はそもそも野音に立ちたくてバンドを始めたようなところがあるんです。東京ドームとか日本武道館じゃなく、野外で演奏したいというのが最初の夢だったので、あの日はとにかく今を楽しもうって。あんなにリラックスしてやれたのは初めてじゃないかな。それとさっき(石月)努も言いましたが、FANATIC♢CRISISがFANTASTIC◇CIRCUSとして転生したおかげで、いろいろな方とのご縁が繋がったので、意味があったなと思いますね。

石月:ファンの方も含めてね。解散後にFANATIC♢CRISISを知った方も多く会場にいらっしゃっていて、僕らも感動しました。「やったもん勝ちだな」って。


──大きな意味を持ったライブになったんですね。野音のMCで「30年経った今だから、より高みを目指します」とおっしゃったときの想いについて教えてください。

石月:“高み”の価値観は人それぞれだと思いますが、昔のようにキャパを上げていこうとか、そういう意味ではないんです。今回のリテイクベスト盤『TENSEISM BEST SINGLES【1997-2000】』もそのひとつなんですけど、音楽のクオリティも含めてFANTASTIC◇CIRCUSに出会ってくれる人をもっともっと増やしたいという意味を込めての高みです。

──なるほど。SHUN.さんはいかがでしたか?

SHUN.:FANATIC♢CRISISにとって野音は聖地なんですが、個人的には苦い思い出があったので(笑)。

──前回のインタビューでおっしゃってた“出し物”ですね。

SHUN.:その記憶を塗り替えたいというか、“ちゃんとロックしてぇな”っていう気持ちがあったんです。ただ、いざステージに立ったら感情120%のライブになって、それはそれで良いことなんでしょうけど、僕はほぼ、あの5月14日の記憶がないんですよね。

──今までそういう経験はありました?

SHUN.:ほぼ、ないです。

kazuya:でも、この前の横浜(全国ツアー<tour THE END OF 30th BOYS 2023>初日、4月1日の神奈川・Yokohama Bay Hall公演)の記憶もないって言ってたよね?

SHUN.:ないです。FANTASTIC◇CIRCUSになってから、すでに2回もありましたね。

kazuya:多すぎる(笑)。

石月:認知症じゃない(笑)?

SHUN.:違うよ、全否定です(笑)。でも、こんなに感情溢れるライブは久しぶりでしたね。当時からのファンの方や、当時は行けなかったけど、やっと生で見られたという方だったり、当時のスタッフも来てくれて、同窓会みたいで、“こんな幸せなことはない”って。バンドマン冥利に尽きますね。


▲石月努(Vo)

石月:僕からするとギターの2人は両極端なんですよ。kazuyaは内なる感情があったとしても、やるべきことはやるみたいな理性的なタイプですけど、SHUN.は野音に限らず毎回、緊張してますね。

SHUN.:野音は1週間前から緊張してましたから(笑)。

kazuya:この前も飛行機に乗る前日から緊張してた(笑)。

石月:キャラクターが違うから面白いですよね。でも、全然違う3人だからこそ“やってよかったな”って。

──FANTASTIC◇CIRCUSとして転生したのは正解だったなと?

石月:そうですね。

kazuya:前回のインタビューでもお話しましたし、ブログにも書いたんですが、FANATIC♢CRISIS時代は個人的にあまり、いい思い出がなくて。僕自身は野音で転生して、リテイクベスト盤も出させてもらって全国ツアーに出たことで、“やってよかった”という気持ちがだんだん強くなりましたね。否定していた過去を塗り替えたかったんですが、“FANATIC♢CRISISをやっててよかったな”ってようやく思えるようになったし、自分を褒めてあげたい気持ちが出てきました。

──想像以上に得たものがあるんですね?

kazuya:そうですね。特に全国ツアーで感じているんですが、正直、自分が思っていた以上ですね。

──野音で追加公演<TENSEISM ENCORE.>(2022年9月4日@品川インターシティホール)が発表されて、その後、2023年3月29日にリテイクベスト『TENSEISM BEST SINGLES【1997-2000】』の発売、そして4月からの全国ツアーという流れはどういうふうに決まっていったんですか? まずFANATIC♢CRISIS時代の代表曲「火の鳥」が2022年バージョンとしてリメイクされ、MVがアップされたのが2022年2月のことでした。

石月:自分たちの名刺みたいな「火の鳥」を新たに録ることから始まりましたね。その時はまだベストを出すという話は決まっていなかったんですが、周りの方々のご協力もあってワーナーミュージック・ジャパンさんから発売することになったんです。僕は性格的にどんどん新しい曲を出したいと思うタイプなんですが、メンバーと話す中で「思い出の曲を塗り替えるところからじゃない?」っていう話になったんですよね。

──では、選曲をシングル曲に絞った理由というのは?

石月:みんながいちばん耳にしたり目にしたりした曲を時系列で追う選曲が親切なのかなと思ったからです。メンバーが選ぶセルフエディションを制作したら、また違う内容になったと思うんですよね。

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