【インタビュー】KISAKI、音楽活動30周年。「“V系をやって良かったな”と思えるような生き方をしていきたい」

■“いつでも見れる人”にはなりたくない

──いまのヴィジュアル系界はどう思われますか。

KISAKI：コロナ禍で、本質を見極められたんじゃないですかね。アイデアとか発想豊かなバンドはやはり残っていますし。潰れていくバンドはそれまでのバンドだったんだなと思います。どんな状況であろうがうまくやっているバンドが続いている、というイメージですね。

──別のジャンルでも、みんなチャレンジして生き残ろうとしていましたよね。30周年といえど、KISAKIさんのこれまでの活動にも無かった事態ですよね。

KISAKI：そうですね。僕もどうなるか分からなかったですし。でも、コロナ禍になった時に、そんな何年も自粛が続くだろうとは思ってなかったんです。なのに、ほぼ3年間何もできなくて。それでも自分の中での灯は消えてなかった。それはMIRAGEの結成25周年と活動30周年というのがあったから。だから僕は頑張れましたね。

──1月のライブでは「ここで出し切る。その先の事は考えていない」とおっしゃっていましたが、この3部作を届け終えた先のご予定は？

KISAKI：アルバムがある程度仕上がってきて、やっと少しビジョンも見えてきたんですが。まだライブを1回しかしてないんですよね。だからライブも考えつつ……考えつつで決定はしていないです。原点回帰なんで、ちょっと面白い音源の発表の仕方もしてもいいのかなと思ってます。色々お話もいただいているんで、いろいろ整理している段階です。

──30周年イヤーはまだ未知数、と。

KISAKI：分からないけど、意味のあって大切なところにしか立つつもりはないです。30周年であっても、僕は“いつでも見れる人”にはなりたくないので。


──もっと先のことは見据えていたりしますか？

KISAKI：分からないです。30周年をやり切ったら、その後にやりたいことが見つかるのかなって思っています。

──やはり今年が集大成なんですね。気持ちとしてはもっとたくさんKISAKIさんの姿を見ていきたいですが。

KISAKI：やっぱり自分も年齢重ねてくるんで、色んな事が起こるじゃないですか。良いことも悪いことも。自分が立ちたいと思うライブがあればそこはもちろん恩を返すという意味で立ったりしますが、一回一回を大切にする、そういう活動をしていきたいですね。自分が主導ではなくて、今まで30年間サポートしてくれた人の為に何か出来ることがある時にステージに立ちたいなと思います。プロデュースでも良いですね。人との出会いってどのタイミングでどのように来るか分からないんで。仕事していてそういう縁が楽しいんですよ。

──活動を超えて、KISAKIさん一人の人生がすごく楽しみですね。

KISAKI：まぁ、半年くらいはちょっとゆっくりしたいですけどね（笑）。今回は発表までに本当に時間を掛けてやったので、正直ここまでたどり着けてほっとしている部分はあります。活動自体はなんかここにきて一気に爆発している感じですね。

──反動も凄そうですが……。

KISAKI：逆に何も無くなるかもしれないです（笑）。でも無くなってもいいくらいの気持ちでやってますけどね。「ここまでやったからもうOK」って思うのか、「もっと！」って思うのかは、30周年が終わってみないと分からないですけど。

──まずは、皆さんに3カ月連続リリースのアルバムを聴いてほしいですね。

KISAKI：そうですね。古い考え方かもしれないですが、僕のことを応援してくれている人にちゃんと盤として届いてほしいので、配信・サブスクは今のところ考えていません。歌詞とタイトルも噛み締めて、この30年を一緒に噛み締めてほしいです。正直楽なことばかりじゃないですよ、苦しいこともありました。破天荒って言ったら僕がヴィジュアル系の中でトップクラスなんじゃないですかね（笑）？　でも、続けてこれたということが自信につながっています。

──破天荒さ、右に出る者はいないと思います（笑）。

KISAKI：ここまで来たら失うものも無いですし。僕はやっぱり「ヴィジュアル系という音楽を30年やって良かったな」と思えるような生き方をしていきたいなと思います。

──感慨深いです。

KISAKI：30周年もいましかないんで、後悔ないようにやりたいですね。本当に堕ちて這い上がっての30年でしたけど、こうやってアルバムでもライブでも、みんなが協力してくれているのが結果と思うようにしてます。


──そういえば、KISAKIさんが憧れてやまない。YOSHIKIさんにも最近お会いしていましたよね。

KISAKI：YOSHIKIさんに憧れてバンドを始めた少年が、一緒に肩を並べて写真を撮る日が来るなんて思わなかったです。30周年を迎える前に、YOSHIKIさんに直接会いたいと思って、LADIESROOMのGEORGEさんに懇願しました。しばかれるのを覚悟して！　そして写真を撮って頂いて、少しお話しさせてもらって。コンサートも素晴らしくて、僕の原点はやっぱりここだって思えました。音楽で人の心を震わせることが出来るんだって、改めて学ばせていただきましたし一気にモチベーションは上がりまくりました。

──KISAKIさんの最終的な目標も、「人の心を震わせること」なのでしょうか。

KISAKI： “KISAKIっぽい”音楽で人の心を震わせて、それが評価されたら嬉しいですね。

──30年たってそこに近づいてきたなって実感はありますか？

KISAKI：まだ未熟なところはありますけど、それなりに出来るようにはなったかなと思います。でも、僕が憧れている人がもっと上を行っているんで。自分の限界まではやりたいですね。

──それこそ「破滅に向かって──」

KISAKI　僕その言葉が大好きなんですよ。YOSHIKIさんっていつ終わってもおかしくないようなタイトル付けるじゃないですか。それがすごくカッコよくて。そういう人たちが今も現役で頑張ってて、俺は中途半端でやめられない。別に長く活動すればいいってもんではないと思いますけど、やりたいことをやりつくして終わってる人と、やり遂げてない人の差って大きいと思うんですよね。音楽をやりたくてももうできないって言っている人も居ますし、なんとなく終着点が見つからなくて妥協してやっている人間も居ますし。俺は思いっきりやりたい、と思いますね。

──めちゃくちゃだと思われても。

KISAKI：僕はもう一般的に滅茶苦茶だと思われていますけどね（笑）。それで全然良いです。今回の3部作も、僕が死んだら遺作として棺桶に入れてほしいですね（笑）。

取材◎茉奈佳
編集◎BARKS
撮影◎いわなびとん
ヘアメイク◎A・DO
ヘアメンテナンス◎hiko（UNDIVIIDE）
スタイリング◎峰岸 祐介
衣装協力◎HARAJUKU VILLAGE（https://www.village-shop.jp/）