【インタビュー】THE BEAT GARDEN、新曲「初めて恋をするように」に描いた日常という幸せ「君といる平凡は奇跡も特別も敵わない」
■「Start Over」からもらった財産
■今回もそれを引き継いでいます
──「初めて恋をするように」のレコーディングはいかがでしたか?
REI:前作「Start Over」インタビューのときは、原曲を歌われているGahoさんがあまりビブラートをかけていなかったり、思ったよりも真っすぐ歌われていた、というお話をさせていただいたじゃないですか。それを経ての今作「初めて恋をするように」だったので、自分の中でニュアンスの部分をより気にかけながら歌いました。つまり、どういう歌い方をするかということを、いつものエンジニアの熊坂さんとトラックメイクをしてくれた田中隼人さんとディスカッションしながら進めていったんです。1番Bメロは、“あの子みたいになれたらな なんて言う君に聞いてほしい”という歌詞なんですけど、その1行ずつで男女が入れ替わるんです。そこは上手く表現したかったので、話し合いつつ作業を進めていきました。
MASATO:僕は、サビの“揺れてる横顔”というところがポイントでしたね。このニュアンスをレコーディング当日まで悩みました。結果、一回レコーディングしたものを、「ここは少し変えたい」と言って録り直すくらいこだわりましたから。僕は人の横顔がすごく好きなんですよ。いつも一緒にいるメンバーだったり家族だったりを、正面から見ることってあまりないんですね。たぶん恋人同士とかもそうじゃないかなって思う。だから“揺れてる横顔”という言葉に、メンバーの横顔だったり、家事をしているお母さんの横顔が浮かんできて。“横顔”という言葉をサビに持ってきていることに、すごくグッときたんです。この1行が日常を表していると感じたから。
U:そういうふうに言ってもらえるとすごく嬉しいな。この曲で一番最初に書いた歌詞が“揺れてる横顔”だったんです。そこから、横顔ではない彼女の情景を8つくらい書いたんですけど、どうしても思い浮かぶものが“横顔”だった。それに、“揺れてる”という言葉にはいろんな意味が含まれるから、これが一番ハマったんですよね。結局、一周して最初の言葉に戻りました。
──最初に出てきた言葉というのは最も力を持っているような気がします。Uさんは、コーディングはいかがでしたか?
U:僕らが「Start Over」から財産としてもらったものは、今までとは少し違う歌い方だったんです。僕はエレクトロサウンドの中で歌うときに、声を張ったりしゃくりを多く入れたりして、そのサウンドに負けないようにするクセがついていたんですね。それをGahoさんの歌が取り除いてくれたというかシンプルにしてくれたので、今回もそれを引き継いでいます。「Start Over」でTHE BEAT GARDENを好きになってくれた人はもちろん、昔から応援してくれている人も「Start Over」の歌い方を気に入ってくれていると思うので、裏切らないようにしました。
▲REI
──温かみがありつつ軟弱な歌ではないこともTHE BEAT GARDENの大きな魅力になっています。そして、12月16日にはShibuya WWW Xでワンマンライブ<THE BEAT GARDEN Live 2022「be honest」>が開催されます。それにちなんで皆さんのライブ観をお聞きしたいのでが、まず、それぞれの人生初ライブはどんなものだったのか覚えていますか?
U:島村楽器主催の<HOTLINE>』というバンドコンテストがあって、中学校2年生のときに出場したのが僕の初ライブでした。BUMP OF CHICKENさんの「ガラスのブルース」と175Rさんの「空に唄えば」の2曲でエントリーしたら、1次審査を通ったんです。そのとき客席には審査員の方が何人かいるだけで、初ライブとしては厳しい状況だったんです(笑)。でも、そのバンドは4人全員にハートがあって、みんなで楽器を背負いながらスケボーで会場まで行ったりして、楽しかったですね。
── 一次審査は出演者と審査員だけしかいないバンドコンテストってよくありますよね。最終審査でやっとお客さんの前で演奏できるような。
U:そうなんです。グランプリを獲るとZeppとかでライブができて、レコード会社さんから1曲リリースできるというコンテストだったので、「俺らは今日で運命が変わる!」とか「伝説、始まるぜ!」とか熱く語りながら(笑)。審査本番も意外と力を出せたというか、演奏はグチャグチャだったと思うけど、審査員の方に「君たちが最年少だったけど、一番良かったよ」と言ってもらえました。ただ、僕のボーカルはちょっとディスられたというか。
MASATO&REI:えっ?
U:「君はBUMP OF CHICKENの曲を歌うと藤原基央さんの声になるし、175Rを歌うとSHOGOさんの声になってしまうから、自分の声で歌わないとダメだよ」と言われて。めっちゃムカついたのを覚えています(笑)。今となっては本当に声マネだったなと思いますけどね。
──では、お客さんのいる初ライブは?
U:そこから遡ってしまうんですけど、小学校の低学年のときに所沢のお祭りで。神社の境内で久保田利伸さんの「流星のサドル」を歌いました。カラオケです(笑)。実際のところはたぶん18人くらいの客席だったんですけど、僕には客席に3,000人くらい居るように見えて、もうノリノリで腰とか回しながら歌ったんです(笑)。拍手が鳴り止まないように感じたし、出演者にはお菓子も貰えて、もう最高の気分だった。それが僕の1stステージで、そのときに僕の運命の歯車が回り始めたんでしょうね。
REI:僕は中学1年生くらいだったと思いますね。当時は、大阪城公園駅から大阪城ホールまでの道が“城天”と呼ばれていて、いろんな人達が路上ライブをしていたんです。そこで、5人くらいの人の前で路上ライブをしたのが最初だったと思います。4人編成のダンス&ボーカルグループでASIAENGINEERさんみたいなトラックスタイルでラップをしたり。毎週のように路上ライブをやるようになって、観に来てくれる人も少しずつ増えていきました。
U&MASATO:優秀な中学生だね。
REI:お客さんは10人とかだったと思うけどね(笑)。土日になると城天は賑わってて、パフォーマーもお客さんもたくさんいましたよ。そういう方々のライブが終わったら、その横に居る僕達がライブをやったり。皆さんちゃんとした機材を使ってましたけど、僕らは最初、カセットデッキからカセットテープの音を流しながらライブしてたんですよ(笑)。で、城天のライブが終わったら京橋のほうの路地裏で練習したり。当時はそんなことばかりしていました。
▲MASATO
──MASATOさんは?
MASATO:僕の地元はめちゃくちゃ田舎なんですよ。だから、大手カラオケチェーン店もなくて、バンドをやっている人もいなくて。音楽で遊ぶという文化が一切なかった中で、初めて自分に降ってきたタイミングが中学校の文化祭。田舎なので文化祭が地元全体の大きな祭りなんです。当時の僕はEXILEさんが大好きだったので、友達を集めて有志発表でEXILEさんの曲を歌おうと。ツインボーカルと2人のダンサーという4人編成でライブをしたのが僕の初ステージでした。文化会館と呼ばれていたホールが会場で、街の人とかもたくさん来てくれるから1,000人くらい集まったんです。
U&REI:それは凄い!
MASATO:軽いノリで始めた有志発表が、まさか1,000人の前で歌うことになるとは!?って。想像もしてなかったから、嘘だろ?みたいな感じですよね。だけど、なにが楽しかったって、自分発信で熱中できたのは、これが初めてだったことで。僕は小学校の頃から野球をやっていたんですけど、それはお兄ちゃんの影響だったし、誰かの影響で始めることが他にも多かったんですね。イヤでやめたいと思っても、「続けなさい」と親から言れたらやめなかったし。なんとなくやっていることが多かったんです。でも、有志発表は自分からやりたいと思ったんです。自分は歌が上手いのかも、ダンスが上手いのかもわからなかったんですけど、EXILEさんのライブ映像を観て、振り起こしをして、わからないところは自分たち流の振り付けをして。好きなことをやっているその時間が楽しすぎて、最高だと思った。実際のステージは緊張もしたけど、なぜかわからない自信があったんです。結果、1,000人から大きな拍手をいただきました。
U:僕の3,000人はまぼろしだったけど、MASATOはリアルな1,000人だったんだね(笑)。
MASATO:うん(笑)。そのときに、初めて歌手になりたいと思ったんです。それから毎年有志発表で出演して、終わるとすぐにその1年後に向けて動き始めたり。有志発表とは別に、4人で町のホールを借りて、チケットを手売りして、歌ったり踊ったりしていました。楽しい!が原動力でしたね。
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