【インタビュー】THE BEAT GARDEN、新曲「初めて恋をするように」に描いた日常という幸せ「君といる平凡は奇跡も特別も敵わない」

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THE BEAT GARDENが11月16日、新曲「初めて恋をするように」を配信リリースした。ドラマ『六本⽊クラス』挿⼊歌にして前作「Start Over」が、配信チャート22冠獲得、ミュージックビデオは現在まで700万回再生を突破、音楽番組『ミュージックステーション』や『ベストヒット歌謡祭2022』への出演など、お茶の間はじめ世間の関心が高まる中での新曲リリースとなる。しかし、注目すべきは話題性の高さではない。結成10周年に裏打ちされた3人個々のスキルとグループとしての結束力の高さはもとより、おごることなく、新たなトライにまで積極的に取り組む向上心と謙虚さこそ注目に値する。結果、3人は「Start Over」で得た経験を昇華し、新曲「初めて恋をするように」にてネクストレベルへ辿り着いたようだ。

◆THE BEAT GARDEN 画像 / 動画

「初めて恋をするように」はUが作詞を、THE BEAT GARDENが作曲を務めたナンバーであり、鈴⽊伸之と内⽥理央主演のテレビ東京ドラマ『⾃転⾞屋さんの⾼橋くん』のオープニングテーマに起用されている。U曰く、「一見、何もない日常の中にも 特別さえ越えていく素敵な“平凡”があることを遼平(鈴⽊伸之)とパン子(内⽥理央)が気づかせてくれました。 恋をした時に口ずさみたくなる様な 優しくてあったかいラブソングに育ってくれたら嬉しいです」という楽曲が、コロナ禍や紛争が止まない現状の中で、希望や光を心に灯してくれる。

BARKSでは、現在のTHE BEAT GARDENを取り巻く環境、新曲「初めて恋をするように」制作秘話、そして12月16日にShibuya WWW Xで開催される<THE BEAT GARDEN Live 2022「be honest」>について話を訊いた。

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■平凡な状態こそ幸せと言ったら
■もう幸せ以外なにもないわけで

──2022年8月にシングル「Start Over」をリリース後、テレビ朝日系『ミュージックステーション』をはじめ、音楽番組や特番に出演される機会が増えるなど活動の幅が広がっています。そんな日々の中でどんなことを感じていますか?

U:『ミュージックステーション』も『ベストヒット歌謡祭』もずっと観ていた憧れの番組で。そこに自分達が出演できないことが悔しくて仕方がなかったこれまでがあったので、自分達がそのステージに立てたことは本当に嬉しかったですね。夢に見ていた番組への出演でしたけど、緊張に押し潰されるようなことも意外となくて。初出演ということもあって勝手が分からない僕らに、番組スタッフさんがすごく気を遣ってくださいましたし、盛り上げてくださって、本当にあり難かったです。結果、楽しくパフォーマンスができて、今の余韻としては“最高!”の一言です。

REI:活動の場が広がっても、僕ら自身はなにも変わっていないという事実はありつつ、やっぱり音楽をやっている人間からしたら『ミュージックステーション』や『ベストヒット歌謡祭』といった番組に出演できることは本当に嬉しいですよね。特に『ベストヒット歌謡祭』は会場が大阪フェスティバルホールだったんですけど、大阪は僕の地元なので楽しみにしていました。


▲U

──ライブとは異なるステージですが、そこで感じたことも?

REI:はい。ライブみたいに1時間半とか2時間のステージを組み立てるわけではないので、「Start Over」1曲だけに気持ちを込めてパフォーマンスすることが必要で。そこで、ただ歌っているだけという印象で終わりたくなかったんです。もっと先のものを感じてほしいという気持ちで臨んで、そのモチベーションを保ったまま歌うことができたと思います。伸び伸びと自分達らしくできたことがなによりでした。

MASATO:僕らは路上ライブからスタートして、真っ暗な川沿いで歌いながらなんばHatchを見上げたり、人通りが少ない通りで歌いながら大阪城ホールを見上げたりしていたんです。そういうことをしてきた街で、輝かしいステージに立たせていただいた。誰もが知っている司会者の方に名前を呼んでいただいた。それはすごく嬉しかったです。

──THE BEAT GARDENの歩みも思い出されたと。

MASATO:路上ライブを始めた頃は見てくださる方が少しずつ増えていったんですね。その後、事務所に所属して携わってくださる方々も増えていって。知名度も上がっていくという歩みの中で、すごく人を感じるようになったんです。それこそテレビに出演すると、とんでもない数のスタッフさん達が動いていて、ひとつの音楽番組が出来上がっていることもわかりましたし。そういう環境に居られることに感謝しつつ、自分達と繋がってくれる人をがっかりさせないように、ますます歌うことや曲作りに責任を持って取り組んでいかないといけないなと、最近改めて思っています。


▲REI

──いい音楽を作る、いいライブをするといったことが、繋がっている方々への恩返しになりますよね。では、最新シングル「初めて恋をするように」について訊かせてください。この曲はドラマ 『自転車屋さんの高橋くん』のオープニングテーマですが、曲を作るにあたってドラマ制作サイドから曲調や歌詞などの要望はありましたか?

U:「ドラマの舞台である、のどかな田舎町に似合う楽曲がほしい。フォークの香りがするようなメロディーラインがいい」というようなリクエストがあったと思います。その話をうかがってから原作マンガを読ませていただいたら、たしかにそうだな!と腑に落ちる部分がありまして。すぐに湧いてきたイメージをメロディーに落とし込むことができました。

──現在のオシャレな曲というと、ネオソウルやR&Bが香るものなどが主流になっています。THE BEAT GARDENにもそういう曲もありますが、「初めて恋をするように」は日本的な柔らかみと洗練感が特徴的ですね。

U:僕らは今もメンバー全員、ハイエースで移動することが多いんですね。そういうときに往年の邦楽名曲を3人で聴いたりしているんです。おっしゃるとおりEDMや、打ち込みサウンドをベースとした曲も僕らは作っているんですけど、だからこそJ-POPテイストを色濃くしたほうがちょうどいい気がしたんですね。「初めて恋をするように」はそれが上手くはまってくれた曲だと思います。


──アレンジにもメロディにも懐かしさも新しさも感じました。“君といる平凡は 奇跡も特別も敵わない”という歌詞は、この曲の大きなテーマのひとつですね。

U:ドラマ『自転車屋さんの高橋くん』には、高橋くんとパン子ちゃんという2人の主人公がいるんですよね。お互いのことを思い合っている曲にしたかったので、最初は男女それぞれの目線で歌詞を描こうかなと思っていたんです。僕らは3人のボーカリストがいるし、それを活かすこともできるから。ところが、オープニングテーマなので、ドラマではフル尺で曲が流れるわけではない。そうすると、歌詞の内容を2人の会話にしてしまうと、テレビサイズに凝縮したときに物語の辻褄が合わなくなってしまうんです。

──なるほど。ショートスケールになったときのことも同時に考えないといけなかったわけですね。

U:はい。そこで再度原作を読み直してみたら、パン子ちゃんは会社だと上司になにも言えない女の子だけど、高橋くんの前だと素直になれて何でも言えちゃうんです。対して高橋くんは、口に出さずに行動で示すヤンキー男子だから、言葉で愛を表すことをあまりしないんですね。その高橋くんの心とパン子ちゃんとの関係を歌詞で代弁できたらいいなと。“前髪が短すぎたり、拗ねたりしたりするところが、お前のかわいいところじゃん”みたいな曲になったらいいなと思って描きました。

REI:僕も原作を読ませていただいて、そのうえでUさんが書いた曲と歌詞を見て聴いたときに、すごく温かい気持ちになりました。“君といる平凡は 奇跡も特別も敵わない”と誰かのことを思えるってすごく幸せなことですし、自分もそう在りたいと思いましたね。楽曲と歌詞のマッチングが本当にいいと思います。

MASATO:僕はUさんから歌詞がきたときに、くぅー!ってなりました。せこいなーって(笑)。もちろん最大の褒め言葉です。特別なことって人生の1割で、平凡なことが9割だと思うんです。この曲はその9割の部分に幸せを見出していて。それが見えなくなっていくことも多いけど、改めて気づかせてくれる。平凡な状態を幸せと言ってしまったら、もう幸せ以外なにもないわけで。喧嘩も幸せだし、落ち込んだりすることも幸せなんだよなと思えるような曲だと思います。

──特にこのコロナ禍や紛争が起こってしまった時代に必要なメッセージですよね。温かみがあって、なおかつ響く歌ですから。

MASATO:そう思います。

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