【インタビュー】20th Century、「“五小ドームツアー”やりたいね!」
20th Centuryが、10月17日に新曲「水曜日」を配信リリースした。
◆ミュージックビデオ
本作はミツメから提供された楽曲で、繰り返されるギターのリフとリズムに絡み合うようなメロディが心地よい、グッドミュージック。歌詞は、1週間の真ん中である「水曜日」のちょっとした気怠さと、 それを乗り越えて週の後半に向かって改めて進んでいこうというメッセージがさりげない言葉で紡がれている。「ちょっと疲れたな」と思った時にもすんなり聴くことができる、温かな楽曲だ。
この「水曜日」リリースに寄せて、トニセンの3人に合同取材で話を聞くことができた。それぞれがこの曲に抱いた感想や、最近のモードを教えてもらえたほか、“五小ドーム”への夢なども語られた。
◆ ◆ ◆
──新曲「水曜日」の印象を教えてください。
井ノ原快彦:自分たちに合っている気がしています。それぞれ気になっているアーティストさんを出し合っている中で、出来るだけ若い人たちと一緒にやりたいというのも3人の中にありましたし、ミツメさんいいよねっていう話をして。
坂本昌行:僕らには馴染みのある曲調なんだけど、若い方のフィルターを通すとこういう感じになるんだ、と新鮮でしたね。頑張らない楽しさというか、聞聴いてて落ち着ける、そんな楽曲なんじゃないかなと思います。
井ノ原:長野くんの歌い出しでくるのがいいんだよ、ね?
長野博:そうですね……って自分で言っていいのかな(笑)。
井ノ原:言っていいと思うよ! 柔らかいところから入る曲だから、長野くんに合う。
──レコーディングはどうでしたか?
長野:この曲自体はいただいてからすぐにレコーディングではなくて、少し前から聴いていたので歌いやすかったです。
──トニセンとして色々な楽曲を集めているとお聞きしました。その中の一曲ですか?
井ノ原:そうです。ただ、発売して曲が皆さんのものになっていくとまた新しい曲に聞こえてくるのが不思議で。それが毎回新鮮な気持ちにさせてくれるので、早く発表したいなという気持ちはありましたね。配信リリースっていうことに関しても、前はリリースが決まって、タイアップが決まって、この曲にしましょうって進んでいくことが多かったんだけど、今は「これ歌いたい」ってことができるからとても贅沢だと思っています。定期的に配信できるっていうのはすごく贅沢であり、僕らにとってもいい効果になっているんじゃないかな。もちろん、まだまだモノ(CD)で欲しいって人もいるから、そっちの欲望も満たせるような計画は立てつつ、なんですけど。贅沢さを感じているところです。
坂本:贅沢だし、知らない楽曲に触れられるチャンスでもある。なるほどこういうのもあるんだ、僕らが歌ったらまた面白くなるんじゃないか、という感覚で曲を選ばせていただいています。
長野:何かが決まって曲どうしましょうかではなく、「この曲がいいよね」という気持ちとタイミングなどいろんなものにうまく合わせながらのリリース。その中で素材がいっぱいあるのは幸せなことですし、早く動ける。そういう意味では、今までとは違うペースで音楽活動ができていることが贅沢だなと思います。
──みなさんで楽曲について意見を出し合ったりもしますか?
井ノ原:割と僕が最近の音楽とか好きだったりするんで、「今こういうのやるの興味ある?」とか聞いたりすることはありますけど、2人の感覚を信じているので、「今じゃないんじゃないかな」とか「ちょっとわかんないな」っていう意見は信じるようにしています。
──どんな基準で楽曲を選んでいるのでしょうか。
井ノ原:自分たちのラジオで好きな曲をかけていますが、今は音数少ないのがいいなとか思ったり。だから、あんまり音増やさないでください、何が鳴ってるかわかるくらいの曲が聴きたいって発注しています。自分たちが聴き心地がいい、歌いやすいものを選んでいるという感じですね。
──最近ヒットチャートを賑わせてる楽曲は音数が多いですよね。
井ノ原:かっこいいなと思うし素晴らしいなと思うけど、何が鳴ってるかわかんなくて(笑)。70年代の音楽を聞くといいねってなるのは3人とも共通してます。
坂本:昔の音楽って、合いの手のように入っている音ですら歌っちゃう。音がわかりやすいというか、なじみやすい。みんな肌感覚でそれがわかっている感じがします。
長野:今の音楽も、昔の音楽にインスパイアされて作られるわけじゃないですか。ということは、やっぱりそのベースとなる昔の曲っていいんですよ。今聴いてもいいし、そういうものがあったから今の音楽があると思うし、昔の音楽っていいなと思います。
──ジャケット写真も80年代のアイドル風という、ちょっとチャレンジングなものになっています。
井ノ原:チャレンジングでもあるんですけど、僕らが見てた70年代の先輩アイドルをモチーフにしてるから、僕らとしては“ずっと見てた感じ”のスタイルなんですよ。今見ても可愛かったんだなーって思うし。そういう昔の写真をみんなで見て、これを再現できたらいいね、みたいな感じで撮影しましたが、(現場では)とにかくずっと笑ってました。アートディレクターの森本千絵さんはじめ、周りのスタッフさんたちもみんなゲラゲラ笑いながら、かなり盛り上がりましたよ。
──カツラをつけているのも新鮮で。
長野:カツラつけて撮影したのって初めてだよね。
井ノ原:コント以外ではなかったね。スタッフさんみんなが意見出し合って衣装とかも遊んでくれました。リーダーは、水を使ったので非常に寒かったって言ってました。濡れてクーラー浴びるのはコクだよね。
坂本:寒かったですね……。終わった後ずーっと外にいました(笑)。
──改めて感じたアイドル観といったものもあるのでは?
井ノ原:時代とともに変わっていくけれど、僕らがかっこいいな、素敵だなって思っていた人たちの綺麗さって不変。今回のジャケットは、そういう人たちに憧れていた僕たちが再現してやってみたらどうかってところが始まりで。これから時代が変わっていっても、面白いだろうなと。そういうことも今後楽しみにしていただけたらいいなと思います。あと、カツラの技術も進化しているので、今後どういうことになってもいけちゃうなと思いました(笑)。
坂本:改めて自分たちでやってみると、昔の新御三家の方とかやっぱすごいんだなと感じました。かっこいいし可愛いし。改めて考えると素晴らしい時代の写真だったんだなと。それがうまく再現できていたら嬉しいです。
井ノ原:リスペクトがない感じのモノマネはしたくないから、お笑いにならないようにすごい気をつけました。僕らの世代って実際に見てた世代だから、本当のかっこいいを再現したかっただけなんで。ゲラゲラ笑いながら撮影はしてましたけど、その笑いってふざけた笑いじゃなくて、やばいことになってきたぞこれは!みたいな。とにかく長野くんのポージングの多さにみんなが腹抱えって笑って。長野くん水を得た魚のようでしたもんね。
長野:照れてちゃダメなんで。そりゃ人気でるよなって、やってみて改めて思いました。
──ミュージックビデオではダンスも。
井ノ原:CRE8BOYさんに振付してもらったんですけど、せっかく久々に踊るんだったらインパクトがあったほうがいいなっていうのもあって、ああいう風になりました。ジャケットとはまた違う世界観なんですけど、70年代のアメリカ風な部分もあるし、年代的には合ってる。踊りはちょっと厳しかったよね? 面白いことをやってるから、ちゃんとやりましょうと言ってもらって、確かにそうだなと。シンプルで簡単に見えるんですけど、実はキレだったり微妙な角度、目線の使い方とか意外と根詰めてやりました。
長野:そう、新鮮だったし、フリとしてはキャッチーなんですけど、やってるこっちは結構真剣というか。緊張しながらやっていました。
坂本:角度とか目線とか正確にやってくださいって言われたのが、少年隊のバック以来だった。
──歌詞についてもお聞きしたいです。印象に残っているフレーズなどはありますか?
井ノ原:僕は「どんな月曜日だったの?」って問いかけてる感じがいいなと思ってます。月曜日ってすごく憂鬱だって人が多いけど、それを乗り越えて、やっと水曜日まで来たけどまだ半分じゃねえかって思うから、翌日の木曜日からも楽しめるような曲が欲しい、“水曜日”ってテーマがいいと思ってオファーをしたんですよ。逆にそれしか言ってないです。そしたらまさに「水曜日」って曲が来て。水曜日が頂点だとあとが下がっていっちゃうから、なだらかに、上がりすぎないでいけたらいいねっていう音楽になっているし、歌詞も寄り添っている感じでいいなと思いました。
坂本:一番最後の「二度と同じ日はない今日」ですね。なかなか言えない言葉。当たり前なんだけど、よくよく考えたらそりゃそうだよなって。今日という大事な日、時間っていうのは嫌なことでも楽しいことでも貴重なんだなって思わされますよね。
井ノ原:そうだね。そう考えると重みがありますね。
坂本:それをさらっと最後に持ってくるのが素敵だな、また明日も頑張れそうだなって思います。
長野:僕も「水曜日」ってタイトルが気に入っていて。個人的なことですけど、実家が自営業で、水曜日が定休日なんですよ。なので水曜日ってなんか特別だったんですよね。どっか出かけるかもしれないな、水曜日だから早く帰ろうかな、とか思ってて。生まれた時からそうだったから、水曜日っていうワードがしっくりくる。
──個人的には「大人になることがやけに不安だったのに いつの間にか楽しいくらい なってみなくちゃわからない」という歌詞も好きで。「大人になってみなくちゃわからない」と実感するようになったことってありますか?
長野:大人になると視野が広がりますよね。昔だったら「これやってください」って言われても「うーん……」ってなってたことにも、今は柔軟になって「やってみようかな」と思える。心の振れ具合が変わったと思います。そのほうが、何事にも頑張らないで自分のペースを守れるというか。
坂本:周りを見られるようになった。周りが見られるようになると、今まで当たり前と思ったものが当たり前じゃないと気づくんですよね。こうやって取材をしていただいているのにも、このスケジュールを立てる方がいて、仕切る方がいて、衣装さんがいて、そして記者さんに来ていただいて……よく考えるとすごいことだなと。だからこそ、取材とか撮影とか、みなさんに笑顔でいてもらえたら嬉しいなと思っています。
井ノ原:そうだね、それがうまくいくと嬉しいし楽しいよね。大人になることでできなくなることも増えるんだけど、実はできなくなることよりも、できることが増える。できなくなることは、そんなに頑張ってやることではないなって思えてくるし、むしろこんなことできるようになった!は日々あって、それが僕は楽しいです。
──今後の音楽のスタンスは?
井ノ原:贅沢な話ですけど、自由に楽しく音楽やをらせていただいていて、最初に「今歌いたいのは何ってことでやれるペースっていうのを作れたらいいんだけど」って話をして、それでチームが一生懸命動いてくれてるって感じなんです。いま別に歌いたくないんだよねって時は歌わないけど、歌いたいってなった時に歌えなかったらその気持ちがもったいないから。できるだけ継続してやれることってなんだろう、って考えて配信という方法を使わせてもらっています。
坂本:いい意味で、それぞれがゼロベースでスタートできているというのが大きいんじゃないかなと思っていて。「あれやりたいこれやりたい」ではなく、「あ、これいいよね、これ楽しいね」っていうことからスタートしているから自然とその道に行って、導かれて曲ができて、リリースするみたいな感じ。誰とも肘当たらないし、同じところしか見てないんだなって、言葉でかわさなくてもわかるような環境ですね。スタンスって言ったら、もしかしたらゼロベースということになるかもしれません。
長野:自然にできたペースですよね。提案もしてもらいつつ、もともと曲があることでスピーディーに動くことができる。このペースでリリースできることは僕たちにとっても初めてだし、そういう意味では昔とは違う発信ができています。でも全然無理して頑張ってるわけではないですし、自然に楽しみながら音楽活動できてますね。
──今後、ライブの予定は?
井ノ原:もちろんやりたいと思ってます。楽曲があってライブをやらないのは一番もったいないから。確かトニセンって「ライブやろう」ってなったのが原点で。初めてのライブは96年で、映像を使ってライブをやった最初の頃だった。ジャニーズで映像を使ったライブをやったことがなくて、初めて映像チームが僕らについたんです。でも予算がなかったから、自分たちで8ミリビデオを使って映像を撮ったり、照明も自分たちでやったり。懐かしいよね。スタジオも取れなかったから、リハーサル室で撮影したり、麻布十番でロケやったり。自分の浴衣持ってきて歩いて撮影したりもしたね。それくらいライブは思い入れの深いものだし、トニセンってなんだろうっていったらライブになるので、いずれライブを開催するって発表ができたらいいなって思ってます。
坂本:やる、やらない、っていう選択肢が基本的にない。やるタイミングが来たらやるでしょうし、やって欲しいってファンの皆さんの声が届けばやりましょうってなるでしょうし、そういうスタンスですね。ただ、ライブをするにしても、僕ららしさっていうのは絶対忘れちゃいけないと思っています。手作り感ってわけじゃないですけど、ほんとに自分たちがやりたくて、楽しんで、それを形にすることが僕ららしさ。とはいえ、一回ドームを目指してもいいかなって。
井ノ原:いやいや、そんなの考えたことないでしょ(笑)。ドームのお話が来ても困るって(笑)。
坂本:ドームを色々調べたら、静岡にドームが3つか4つくらいあるんだよね。天城ドームとか。
井ノ原:あ、いわゆるおっきなドームじゃなくて(笑)。丸けりゃいいんだもんね!
坂本:そうそう、そういうドームツアーがあってもいいんじゃないかなって。いかがでしょう。
井ノ原:五大ドームならぬ五小ドーム……やりたいね! そういうところ攻めたいね。
長野:僕もライブはやっぱ好きなんでドームツアーやりたいです。五小ドームツアーってうちの事務所誰もやってないんじゃないかな、誰もやってないことってやっぱ楽しいし。そんな発想で三人ならではの形になったらいいですよね。
文◎服部容子(BARKS)
◆20th Century オフィシャルTwitter
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