【速レポ】<中津川ソーラー>DAY3、androp「やっぱ思いましたよ、音がいいなって」
SEを流すこともなく、オーディエンスの拍手に出迎えられたのはandrop。内澤崇仁(Vo,G)、佐藤拓也(G,Key)、前田恭介(B)、伊東彬彦(Dr)の4人とも白いシャツ姿で、爽やかな雰囲気も。そんな彼らが1曲目に持ってきたのが、ドラマの主題歌としても知られた「Voice」だった。メンバーの格好にピッタリな爽やかなコーラスが広がり、そのメロディに包まれながら内澤が歌い始めた。オーディエンスはコーラスを共に歌えない代わりにハンドクラップで曲に加わり、ラブソングをさらに有機的なものに膨れ上がらせる。そこから憂いある「Lonely」では、AORに通じる大人びたサウンドとアレンジで、オーディエンスを酔わせていくandrop。
◆androp 画像
季節感や情景、そこで繰り広げられる物語を描き出す彼らの曲は、一体感で盛り上がるというよりも、大勢いる一人ひとりの気持ちにジワジワと入り込んでいくもの。ここにいる一人ひとりの思い出や出来事に、andropの曲や歌詞がそっと寄り添い、その当時の香りや色合いまでも蘇らせる。オーディエンスそれぞれが自分の世界に浸りながら、andropの楽曲を楽しむ姿が会場に広がっていた。
「もうかれこれ10年くらい、この<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>に憧れを持っていて。デビュー当時からお世話になっているPA会社が、ずっとここをやってまして。<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>は音がいいぞ、と言われてまして。いつかステージに立ちたいと思って、11〜12年経ちました。やっとこのステージに立つことができました。やっぱ思いましたよ、音がいいなって。この素敵な空の下で音楽を共有できるこの日が迎えられて本当に嬉しく思います」
ライブ中盤では一途な恋心をストレートに歌うナンバー「September」も披露し、心を揺さぶるandrop。歌詞のひとつずつを噛みしめながら聴き入るオーディエンスだった。
「生きていると、辛いこととか悲しいこととか、たくさんありますけど。生きているからこそ、逆に嬉しいこと幸せなこと、たくさん訪れます。僕らは今日、このステージに立てて、今まで生きてこれて良かったなと思っています」
そう感謝しながら、心の中にいつまでも温かい光が灯っていることを願う「Hikari」を聴かせる。内澤の優しく繊細な歌声をジックリと堪能できるナンバーでもある。ところが「Tokio Stranger」に入ったときだ。内澤もボイス・パーカッションしながらジャム・セッションが繰り広げられた。
andropは今年で結成から14年目。すでにベテランの域に届いていると言っていい。そのキャリアで培ったセンスと音楽的な豊かさを、そういったセッションの場面や音の空間を活かしたアレンジなどで見せていった。若手にはない、ベテランならではの自己主張と互いの活かし合いがandropのアンサンブルには存在する。
またダンサブル・ナンバー「MirrorDance」からはバンド感の高さもストレートに打ち出しながら、ライブの盛り上がりも上昇カーブを描き出す。「SOS!」は会えない日々の悲しさと再び会えたときの喜びを表現した曲だが、この中津川で出会えた気持ちもアドリブで歌詞に入れる内澤。メンバー紹介も兼ねて、佐藤、前田、伊東はソロ・フレーズで喜びを炸裂。
「みなさん、心の声、出せたりしますか」
そう呼びかけながらandropはラスト・ナンバー「SuperCar」をプレイ。オーディエンスは曲と溶け合いながらハンドクラップし、コール&レスポンスでは両腕を振り上げる。2022年の秋。一人ひとりの思い出や出来事に、andropはそっとではなく確実に刻まれることにもなった。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎柴田恵理
【REVOLUTION STAGE】セットリスト
02. Lonely
03. SummerDay
04. Radio
05. September
06. Hikari
07. Tokio Stranger
08. MirrorDance
09. SOS!
10. SuperCar
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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