【速レポ】＜京都大作戦2022＞四星球、「ヒヒ〜ン」

笑いと拍手喝采。本番前のサウンドチェックのときからやってくれたのが四星球。チェックがてら、リクエストを募って、いろんなヒット曲をおもしろおかしくカバー。もはや昭和時代の箱バン状態だ。本番前に自ら会場の温め役にもなるというDIY精神を発揮するあたり、段ボールでなんでも作っちゃう四星球らしいところでもあった。

◆四星球 ライブ写真

その一幕から10分後。クリープハイプの「オレンジ」をSEに、目にも鮮やかなオレンジ色の法被と白ブリーフ姿で登場したのは北島康雄(Vo)。しかし、クリープハイプの代わりは荷が重いという理由で、今日は様々なゲストを呼んだという。そこに登場したのは打首獄門同好会のjunkoさん。いや、違った。junkoのコスプレをしたU太(B)だ。





さらに出番前なのにSUPER BEAVERの渋谷龍太が。いや、これも違った。渋谷のコスプレをしたモリス(Dr)だ。間違ったデフォルメをしたコスプレと奇妙な動き。滋賀県から忙しい中、降臨したのは彦根のマスコットキャラ＝ひこにゃん。いや、まさやん(G)だ。そして、ひこにゃんが奈良県から呼んでくれたのは、奈良のマスコットキャラ＝せんとくん。北島も爆笑してしまうほど、せんとくんソックリなそのお方は、なんと、10-FEETのNAOKI。

「でもNAOKIさんの証拠ある？」と疑問を投げかける北島に向けて、せんとくんはイケメン顔で大股開きやジャンピングキックを披露。NAOKIしかできないワザ、間違いなくNAOKIだ。こんな豪華ゲスト陣と共に四星球のステージは始まった。



「＜京都大作戦＞の都合のいい女、四星球です。私、10-FEETに呼ばれたら来ちゃうの。もてあそばれているのかしら？ 遊びなのかしら？ 遊びなら、一緒に遊んで帰ってください」──北島康雄

「運動会やりたい」は、太陽が丘にいる全員を瞬時に巻き込んで、笑顔で大騒ぎ。また“紅白に分かれて対戦”するのが、この曲のお楽しみ。クリープハイプの尾崎世界観から、「今日はいくらでもイジってください」と言われたという北島は、“尾崎チーム”と“世界観チーム”に分けての対戦すると宣言。三種対戦の結果は、全て尾崎チームの勝ち。「勝った尾崎チームには、NAOKIさんの飛んで蹴るやつをプレゼント。位置についてヨーイ」と北島の掛け声で、尾崎チームは空中飛び蹴り連発。負けた世界観チームには股割りをプレゼント。さらには高田純次ダンスが飛び出す場面もあった。ともかく、出てきた直後からステージ上も観る側もワチャワチャ状態。




「4日間、無事開催、おめでとうございます！ でも、なんか代打代打って、なんで野球に例えんの？ 野球に例えるんだったら、僕らは代打じゃなくて、“京都大作戦応援団長”のつもりでやってまいりました。全員、笑ってもらうためにやってまいりました」──北島康雄

「薬草」は、ポジティヴさの溢れた歌と疾走感で激しいノリも作り出す。その勢いを受け継ぐように、昨日はROTTENGRAFFTYがACIDMANの代わりに出演したということから「金色グラフティー」へ突入。リフに合わせて会場にはうねりも生まれる中、北島はさっきの運動会で使った“世界観チーム”のパネルを指さしながら“お前の見てる世界は”という一節を、“お前の見てる「世界観」は”と一発決めて曲はイントロのみで終わり。




曲からネタまで盛りだくさんの四星球。さすがに、炎天下もあって疲れたか。倒れこんでしまった北島。それを見たまさやんは素っ頓狂な声で驚く。「あれっ!? これ生まれたての馬じゃない？」と。「今から生まれたての馬が立ち上がるのを応援しましょう！」と言葉を続け、歌い始めたのは「ヒヒーン」。かわいらしい童謡のような曲に合わせて、観ているみんなは馬の前足のようにコブシを握った“ヒヒ〜ン”のポーズで応援。するとどうだ、一度はヨロヨロしたものの、お馬さん(←北島)が立ち上がったではないか。そして「ヒヒ〜ン！」と元気にいななく。生命誕生の感動を味わったかは知らないが、大きな拍手が鳴り止まない。

そして曲は、「家族サービスでネスタリゾート神戸へ行く予定を取りやめて来ました」という北島が、家族に愛を込めて歌いあげる「君はオバさんにならない」、ライブハウスを愛するみんなに捧げる音頭「ライブハウス音頭」へと続いた。ところが音頭を踊りながら再び倒れこんでしまったのは北島。




わざとらしい驚きの表情でまさやんが言う。「生まれたての馬じゃない？ みなさん、生まれたての馬が立ち上がる瞬間に立ち会えまーす」と。こっちも暑さでやられたのか、さっきも見たようなくだりだが、「ヒヒ〜ン！」とジャンピングキックも飛び出す元気なお馬さん(←北島)が、源氏ノ舞台に見事に立ち上がった。これには感動…するわけない。素面になった北島も自らツッコミを入れた。

「これのどこがクリープハイプの代わりなの？ ＜京都大作戦＞はライブレポがあるじゃないですか。あのレポートの見出しみたいなところ、僕らは名言っぽいのやめてください。“四星球、ヒヒ〜ン”、それでお願いします（笑）」──北島康雄




エンディングに向かう中、四星球はクリープハイプの曲を強く意識した「オレンジの光のその向こうへ」をドラマティックに響かせ、ラストはおなじみ「クラーク博士と僕」へ。ステージ上で撮るオフィシャルカメラマンのズボンを脱がすと白ブリーフだったり、まさやんがバック転を決めたり、北島はフラフープを回したりと、やっぱり最後まで最高潮のワチャワチャぶり。

「いつでも出れなくなったバンドがいたら声かけてください。そんなことはないと思いますけど、もしも10-FEETが出れなくなったら、僕らがトリしますんでよろしくお願いします」──北島康雄

最後は本日のステージで使った様々な小道具やパネルの部位を使って、組み合わせて作ったメッセージは「WE ♡ KYOTO」。そしてエンディングSEは「Fin feat. クリープハイプ」。どこまでも笑いと愛でみんなを包み込む四星球だった。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎瀧本 JON...行秀／青木カズロー