【ライブレポート】EOW、さらなる飛躍を強く感じさせる予感が充満したツアーファイナル
5月からバンド初の対バンツアー<FRIEND-SHIP TOUR 2022 ~be Weekender~>を開催したEOW。全国7カ所を廻った今回のツアーは、Neighbors Complain(兵庫)、LOCAL CONNECT(広島)、BRADIO(千葉)、Liho(宮城)、韻シスト(大阪)、ペンギンラッシュ(愛知)、アイビーカラー(福岡)を招聘。各地で熱演を繰り広げてきた5人は、結束をより強く固めてきた。そのツアーファイナルとなった6月26日(日)渋谷WWW公演は、<FRIEND-SHIP TOUR 2022“GRAND FINAL”~みんなで一緒に歌いな祭~>と題し、真行寺貴秋 from BRADIO、UEBO、NOBU、Rihwa、Leolaの5名のボーカリストを招いたコラボセクションと、EOW単独セクションの2部構成のステージを披露するというもの。チケットもソールドアウトし、まさに最終公演にふさわしい華やかなプログラムで、充実のツアーを締め括った。
ライヴはコラボセクションからスタート。このセクションは、全出演ゲストの伴奏をEOWの楽器隊が担当し、ボーカリストが休みなく入れ替わりで登場していくというもの。EOWのボーカルであるLacoは、歌やコーラスでの参加はもちろん、ライヴの進行も務めた。
「トップバッターはこの人しかいません!」とLacoに呼び込まれたのは、NOBU。コラボセクションの幕開けを飾る1曲目は「いま、太陽に向かって咲く花」だ。冒頭で〈太陽に向かって咲くEOWは/誰よりも輝いている〉と、歌詞を変えた粋な計らいで盛り上げると、パワフルなビートに乗せて、まっすぐな歌を客席に投げかけていく。曲の後半からはLacoもコーラスで参加。2人でパワフルな歌声を響かせていた。この日のゲストは、EOWメンバーが「自分達が大好きな人達」に声をかけたそうなのだが、NOBUとLacoは「飲み仲間」とのこと。賑やかにトークを繰り広げた後、披露されたのは、EOWのmamushiとNOBUが共作した「春となる」。向かい合ってNOBUとLacoが楽しげに歌うと、キーボードのソロパートでは、感情込めて鍵盤を奏でているmamushiに「今日も渋い顔してるね!」とNOBU。彼の歌声であり楽曲が放つ、強くて、優しくて、温かな空気がフロアに溢れかえると、Lacoは「1人目からヤバくない!?」と大興奮。彼女と同じく、あの場にいた全員が、今日のライヴは間違いなく良いものになることを感じていただろう。
「ヤバい夜が始まってしまいましたね」と切り出したのは、2番手に登場したLeola。彼女はまず、「EOWのみんなが好きだと言ってくれた」という「ないものねだり」を披露。マイクスタンドを握りしめ、やりきれなさやもどかしさを爆発させるように、切なさに満ちたメロディを響かせていく。曲を終えた後、「今まで観たLeolaの中で一番よかった!」とLacoが太鼓判を押すと、「EOWのためと思ったら気持ちが込めれた」とLeolaが返す。2人は出会ってから8年来の付き合いで、「ガチの友達」なこともあり、ステージでの共演にかなり感慨深そうにしている。そして、「Leolaと一緒に歌わせてもらうんやったら、私達が大好きな曲を」と「Let it fly」へ。穏やかな始まりから徐々にビートが力強くなっていき、瑞々しいバンドサウンドが弾けると、伸び伸びと歌う2人の声が絡まり合う。さすがガチ友なだけあって、息もぴったり。美しいハーモニーを客席に届けると、「エモ死にするかと思った……!」とLacoは喜んでいた。
「北の大地が産んだスーパー天然サンシャインガール」と呼び込まれたのはRihwa。「国境とか関係なくて、いろんなものを超えていけることを証明したくて音楽をやってるんですよ!」と快活な声で客席に挨拶をすると、「北海道出身の私だからできた曲」と演奏されたのは「MARIMO」。北海道・阿寒湖に生息しているマリモについての歌なのだが、なぜかサウンドはラテンフレーバー全開というかなり独創的なこの曲は、Rihwaがライヴで弾き語っているのを観て、「この曲をやりたい!」とEOWサイドからオファーしたそう。情熱的なリズムを乗りこなすパワフルな歌声と、客席に高速手拍子を促す天真爛漫なキャラクターで、オーディエンスの心を鷲掴みにしていた。そんな彼女に対して、Lacoは「Rihwaちゃんほど瞳が綺麗な人を知らない」とコメント。Rihwaは「Lacoちゃんと絶対に歌いたいと思っていた」と、2人で「春風」を歌うことに。先ほどまでのアッパーな空気とは打って変わって、柔らかなスロウナンバーで客席を包み込んでいた。
続いて登場したUEBOは、特別な夜を盛り上げるために、ビートとコード進行は変えずに、いろんな曲を次々に演奏していくマッシュアップを披露すると宣言。艶のあるサウンドが場内を包み込む中、Tomoakiと心地良さそうにギターを重ね合わせたUEBOがLacoと歌い始めたのは、小沢健二 featuring スチャダラパーの「今夜はブギーバック」。突然の名曲登場にテンションがあがるフロアへ向けて、UEBOが歌とラップを繰り出すと、続けてLacoがAlicia Keysの「If I Ain't Got You」を、一際パワフルに歌い上げる。すると今度はUEBOがギターソロを披露。背面弾きも飛び出す強烈なプレイを見せつけたところで、LacoがEOWの「yumenara」を歌い上げた後、テンポを落とし、再び「今夜はブギーバック」で締めるという圧巻のパフォーマンスで客席を喜ばせた。そして、「今日がますます特別な日になるように」と贈られたのは「Memories」。心地よいグルーヴと甘いメロディで客席を酔わせていた。
コラボセクションのトリを飾ったのは、真行寺貴秋 from BRADIO。ゆっくりとステージに登場するや否や、強烈なハイトーンを響かせる真行寺。EOWのツアーグッズのバンダナをジャケットの胸ポケットから覗かせながら、「今日はWEEKENDERの気持ちでやってきたので」と話すと、「EOWメンバーはシンプルにFPPなので」とLaco(WEEKENDERはEOWファン、FPPはBRADIOファンの総称)。「音楽があったからこそ繋がれた私達にぴったりの曲」とLacoが話し、「みなさんをパーティーの向こう側にエスコートしましょう」と真行寺が告げて始まったのは、「瞬き羽ばたき、故に輝き」。パワフルなハーモニーやスキャットも飛び出す強烈な歌声でフロアを魅了すると、「ここでちょうど真ん中、ひとつ景気づけに、全員でファンキーやりませんか!?」という、真行寺の一言からなだれ込んだのは「Back To The Funk」。しかもLaco、Leola、Rihwaがバックコーラスを務めるスペシャル編成だ。身体を突き抜けていく真行寺のソウルフルなシャウト、楽器隊が生み出す濃厚なファンクネス、そして3人の美麗コーラスと、とにかく豪華! ステージにいるメンバー達と、オーディエンスが共にステップを踏み、大熱狂のままコラボセクションは終了。あまりの盛り上がりっぷりに、「みんな、これで終わりじゃないからね!?」と、Lacoはメンバーと共に一度舞台袖へ。熱狂に次ぐ熱狂のパフォーマンスにただただ興奮させられたが、様々なタイプの楽曲を卓越した技量で弾きこなしていくEOWの楽器隊の凄さを改めて感じさせられるステージでもあった。
幕間に今回のツアーのライヴ風景とオフショットをまとめた映像(EOWメンバーのコメンタリー付き)が放映された後、いよいよEOW単独セクションがスタートした。
1曲目は、6月22日に配信された最新曲であり、今回のツアーのために作られたという新曲「bloom」から。強烈な低音が空気を強く振るわせる中、どこまでも遠くまで響き渡っていきそうなほどに壮大で、躍動感たっぷりのサウンドを放つ。「ひとつになってくれますか!?」とLacoがクラップを求めると、フロアも大音量でそれを返し、そのまま続けて「(this is the) DAY」へ。イントロ部分で「私、実は気ぃ遣いやから、さっきまでめちゃくちゃ気を遣いながらやってたんですよ。ここからは自由に、好きにやらせてもらっていいですか!?」と、Lacoが客席のテンションを引き上げると、WEEKENDERもクラップで曲に参加。はちきれんばかりの多幸感がフロアに広がっていく。鍵盤を奏でながら何度も飛び跳ねるmamushiも、膝をついて両手を大きく広げるTomoakiも、全身で音を奏でる幸せと興奮を味わっている。
間髪入れずに突入した「ON」もとにかくパワフル。そもそもEOWの楽器隊が放つグルーヴはとんでもなく強烈で凄まじかったのだが、それがより強靭なものになり、演奏の切れ味も格段にアップ。客席の隅から隅までひとり残らず引っ張っていくLacoの歌やパフォーマンスも求心力がとてつもなく上がっていて、今回のツアーがいかに充実していたかを強く感じることができた。また、今年に入ってから発表された楽曲群も立て続けに披露。「EOWの羽生えソング」という前置きから届けられた「NEO」の開放感がフロアに満ち満ちていくと、「ベール1枚脱いでもらっていいですか!?」と「Unveil」へ。ラテンフレーバーのあるダンサブルなサウンドで、フロアを強く揺らしていく。一転「ぜんぶぜんぶ」では、胸に湧き上がる後悔や悔しさを爆発させながら、自分らしく、あるがままに生きていきたいと、エモーショナルな歌を届けた。
そんな熱演から「ここからはスロウなテンポで、好きに揺れて、音に乗っていってください」とコールしたのは「RED」。艶のあるLacoの歌や、色気あふれるYutaroのベースソロなど、もどかしい気持ちを抱える女性の気持ちを歌ったメロウなナンバーでフロアをどっぷり酔わせると、続く「totonoi」のしなやかなサウンドで再びフロアを揺らし始め、「yonde」が放つポジティヴで温かな光に誘われるように、たくさんの手が挙がる。そこから立て続けに繰り出されたのは「YOLO」。楽器隊のソロ回しを皮切りに、強烈なグルーヴでフロアを席巻していくと、そのまま本編ラストナンバーへ。曲の冒頭で、客席を見渡しながら「泣きそうになってきた……」と、Lacoは一人ひとりに語りかけていく。
コロナ禍の影響で、この2年間は満足にライヴもできず、地方に行くことも難しい状況だったが、勇気を出して初の全国ツアーを組んだこと。不安や心配ばかりだったが、各地で待ってくれていたWEEKENDERや参加バンドが温かく迎え入れてくれて、想像していた以上のたくさんの愛を返してくれたこと。自分達を支えてくれているたくさんの人達に深く感謝を告げ、涙声で話を続ける。
Laco「EOWはこれからもっともっと大きくなっていくし、みんなと目も合わへんぐらい大きいところに行っちゃうかもしれへんけど、それでも“遠くなった”なんて言わんといてな? ここにいてくれているみんながいるから大きいところを目指せるし、そこに行ってもみんなのこと絶対に忘れへん。みんなのことを思いながらライヴをします。なので、これからもそんな私たちと一緒に、いろんな楽しいことをしてもらえたら嬉しいなと思います」
そんなMCの後に披露されたのは「Passage」だった。この曲は、バンドがなかなかうまくいかない状況に陥っていたとき、メンバー全員で輪になり、その時に抱えていた悩みや葛藤を打ち明けたときのことが歌詞になっている。楽器隊が一音一音を噛みしめながら奏でると、Lacoは失意の底で打ちひしがれている自分を奮い立たせ、諦めずに前へと足を踏み出そうとする言葉達を、込み上げてくる感情に声を少し震わせながら届けていた。そして「まだまだ未熟者ですけど、だからこそみんなとずっと一緒にいてほしくて、みんなと一緒じゃないといけないところがあるから、みんなにとってパワーになれるように頑張るから。これからもEOWをよろしくお願いします!」と叫び、本編を締め括った。
アンコールの拍手に応えて再び登場すると、ツアーの思い出話を繰り広げた後、これからもいろんな思い出をみんなとたくさん作っていきたいと語り、「最大級の愛と感謝を込めて」と、「百花」を披露。ときに軽やかに、ときに感情を爆発させるようにOtakeがドラムを叩き上げると、客席にいる一人ひとりに歌いかけていたLacoが、曲の後半で「あかん! この曲、カメラで撮ってOKって言うの忘れてた!」と思い出す微笑ましい場面も。最後にはこの日のゲストが全員登場し、「(this is the) DAY」でライヴを締めることに。全ボーカリストが声を響かせ合い、フロアから大量の手が挙がる、なんともハッピーなエンディングとなった。
EOWは、11月に2nd EPをリリースし、12月にはバンド初の東名阪ワンマンツアー<EOW ONEMAN TOUR 2022 IKU-YO KURU-YO>を開催することを、この日に発表。Lacoが話していたように、この日のライヴはEOWのさらなる飛躍を強く感じさせる予感がとにかく充満していた。5人が作り出す愛に満ちたエモーショナルな空間とその輪は、ここからさらに広がっていく。改めてそう強く思わされる一夜だった。
取材・文:山口哲生
撮影:Toru Shiozaki
リリース情報
◆https://lit.link/eow
17th Digital Single「bloom」
2022.6.22(水) 配信RELEASE
16th Digital Single「ぜんぶぜんぶ」
2022.5.18(水) 配信RELEASE
15th Digital Single「NEO」
2022.4.20(水) 配信RELEASE
14th Digital Single「Unveil」
2022.3.18(金) 配信RELEASE
ライブ・イベント情報
12月15日(木)@梅田Zeela
12月16日(金)@名古屋ell.SIZE
12月20日(火)@渋谷WWW
詳細はこちら
https://eow-official.amebaownd.com/posts/35506522
※絶賛チケット発売中
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