【インタビュー後編】Psycho le Cému、新コンセプトを発表「メンバー全てが能力者なんです」

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Psycho le Cémuが5月3日、LINE CUBE SHIBUYAにて<23rd.ANNIVERSARY Psycho le Cému New Concept Live RESISTANCE〜覚醒の狼煙〜>を開催する。結成記念日に行われる同公演のテーマは、タイトル通り“レジスタンス”であり“覚醒の狼煙”。ティザー映像には“集結せよ アカツキの旗の下に”というキャッチコピーが掲げられ、新コンセプトを予感させるイメージ写真には“革命を象徴する赤い旗”が風にそよいでいた。

◆Psycho le Cému 動画 / 画像

先ごろ公開したインタビュー前編では、2021年の活動を振り返りつつ、故郷に錦を飾った姫路市文化センター大ホール公演、最新楽曲「アカツキ」についてじっくりと訊いた。そのトークでは、コロナ禍にあってもブレることのない結束力とバンドの状態の良さが語られたが、最後にseekは「俺ら自身はたしかにお互い不安要素はないし、めっちゃ仲いい。だけど活動自体としては、Psycho le Cémuというバンド感はもう少し出したいなと、今思っているんです」という気になる発言があった。

インタビュー後編では、seekの発言を手がかりに、まだヴェールの向こう側に隠されているPsycho le Cémuの新たなコンセプトについて解き明かしてもらった。キーワードは“能力者”だ。ヴィジュアルイメージはこれまでになくクールでシリアスだが、ファンのみんなと一緒に前向きに進んで行きたいというメッセージも込められているという。

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■今までの手法とは違うので
■突き放したような見せ方になるのかも

──「Psycho le Cémuというバンド感を出したい」というのは、具体的に何をしていくイメージでしょうか?

seek:順番に話していくと……コロナ禍に入ってから、バンドで動くということ自体、ものすごくリスクが伴うことになっていて。それはビジネス的にもそうやし、健康面も含めて。2021年の前半だけでも、前編でお話したように僕らにはドラマがいろいろとあったんですけども、コロナ禍に突入した一番はじめは、バンドのことはもちろんみんなの心にはあるけど、“まずはとにかく何とか、それぞれが生きるしかないな”とは思っていて。YURAサマが言ってたように、ひょっとしたらその時期にメンバーの誰かがバンドという括りから外れた瞬間、それぞれに自分の人生を考えたら“辞める”という決断もゼロではなかったのかもしれない。だけど、この5人に関してはそれが無かったのがやっぱりすごいなと改めて思いました。

DAISHI:バンドマンというよりは、まずは人間的に強くならないと。残っていけない部分もありますよね。

seek:そこはみんながいろいろなチャレンジをしたと思うんですよ。この期間に個人個人が修行したところが音楽にも繋がってくる部分がたぶんあって。その時期を経てるからこそ、余計に僕は今、“バンド感を出していく。Psycho le Cémuという存在が世に出ていくタイミングなのかな?”と。今回の取材もその一環で、ニューコンセプトというものに力を入れていきたいなと思っているんです。


▲DAISHI (Vo)

──なるほど。ではこのお話の流れで、Psycho le Cémuがこれから見せていきたいものについてお聞きしていきましょう。

seek:そうですね。とはいえ普段新しいコンセプトの話になると、全部は言わないから急にゴニョゴニョってなるんですけど……(笑)。

DAISHI:全然、言っていいんじゃない? BARKSさんで言わなくてどこで言うの?!っちゅうことやから(笑)。コンセプトどんどんしゃべっていっていいと思うけど。今回は“レジスタンス” “覚醒の狼煙”というコンセプトを掲げていて。いつものようなアーティスト写真でのスタートではなく、アートワークからのスタートなんです。ガレキの中に赤い旗があって、狼煙が上がってるというヴィジュアルから出していきます。

──これまでのカラフルでポップな世界観とは、かなりテイストが違いますね。

DAISHI:“新しいPsycho le Cému”ってAYAくんがよく言っている部分で。今回はちょっと挑戦してみたいなというのもあったから。アニメとかゲーム寄りというよりは、映画寄りというか。いつものようにポップなコンセプトでド派手なことをやっても、もちろん僕らは“カッコいい!”と思ってるんですけど、一般の世間の人らが思う“カッコいい!”というスタイルもやってみたいなという。これまであまりやったことがない、というか。

──結構シリアスなイメージですかね?

DAISHI:うん、そうですね。

seek:カラー的なイメージで言うと“原色バキバキです!”みたいな、どうしてもそれがPsycho le Cémuの一番の代名詞だとは思うし、20周年の締め括りとなる<勇者物語>もまさにその世界観だったんです。でも、前編インタビューでも言ったように6年周期で言うと今、“次の新たなものをつくろうぜ!”というモードなので、バンドとしてのチャレンジとして、そういうテイストになりました。カッコつけるのが得意か?得意じゃないか?で言うと、たぶんあまり得意じゃないんやろうね。

DAISHI:でも、みんなめっちゃカッコつけてるよ。大丈夫だよ!

seek:写真的にはでしょ?

DAISHI:うん、まぁ写真もライヴも、ちゃんとできてるできてる。

seek:ライヴも?

DAISHI:しゃべりはこうなるけどな(笑)。

seek:すぐチョケるというか、ふざけてしまうので(笑)。でもDAISHIさんがそう言い切ってるから、今回は大丈夫なんやろうなと思っていますけど。俺らって、ヴィジュアル系の世界がもっと耽美で、メンバーさんもあまりしゃべらないというカッコよさが主流だった中で、唐突に出てきた変態やったと思うし、そこが良さだったと思うので。



──いい意味での異物感というか、色彩の暴力というか、インパクトが強烈でしたもんね。

seek:はい。加えて、やっぱりメディアにも出て行っていっぱいおしゃべりしたいです!という側のバンドやったから。

DAISHI:デビュー一発目からWOWOWでコントやってたもんね。

seek:うん。それが俺らの本当の持ち味の一つでもあるんですけど、今回は封印して、新たな挑戦をしたいなと思って。

DAISHI:変化球無しの、どストレートな感じのPsycho le Cému。「そろそろ自分ら、ストレートなほうが、観てる/聴いてる側も音楽に入り込めるんちゃうかな?」という話は多少したよね。「曲によっては衣装がちょっと邪魔してる部分もあるのかな?」と。「じゃあ、一回映画みたいな感じのコンセプトもいいんじゃない?」「やってみる?」という話を。

seek:そういう展開のつくり方も今回、今までとは変えていて。今までだと、それこそ“色彩の暴力です、ドーン!”で写真1枚みたいな感じやったと思うんですけど、今回は段階を踏んで世界観を見せていって、まずは想像してもらうところから始めていく。そういう楽しみ方をしてもらいたいな、と。

──なるほど。そのニューコンセプトのお披露目ライヴとなるのが5月3日(火・祝)のLINE CUBE SHIBUYA公演ですね。ニューコンセプトに関してAYAさんはどう捉えていますか?

AYA:前まではカラフルで、いろんな種類があることを表現したかったんやろうなと思うんですけど、今回は濃さというか、深さというか、グラデーションっぽいイメージを持ってるんですよ。そういうものを出していけたらいいなと思ってますね。それに合った曲も今イメージしているんですけど、楽しいですね。“どんなのができるのかな?”って。デモはもうむちゃくちゃいっぱいあるので。

DAISHI:砂糖を抜いたコーヒー、ブラックコーヒーになった感じがちょっとしますね。

YURAサマ:どういうこと?

DAISHI:苦くなった。ちょっと大人の感じになったというか。

Lida:ビターな感じ?

DAISHI:Psycho le Cémuって、アーティスト写真を見たり、動いてるのを見たりしたら、お子さんも楽しめるような感じがするんですけど、今回のはそんな感じはあまりしないかもですね(笑)。

seek:ある種突き放したような見せ方になるのかもしれないです、今までの手法とは違うので。だから、クリエイティヴな部分も、“そもそもの発想を変えると、つくり方もこんなに違うんやな”とは感じていて。それは衣装一つ取ってみてもそうですし、撮影の仕方ももちろん変わってくるし。そこが今、やっていて単純に楽しさはありますね。

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