【インタビュー】松岡充が語る、SOPHIA復活「僕が僕の人生を諦めたくない」
■9年ぶりに一緒に
■SOPHIAのライブ創りましょう
──松岡さんがSOPHIAを詩おうと決めてから、メンバーとはやり取りをしていったんですか?
松岡:はい。僕から直接、個々に声をかけました。「もう我慢できない。待つのは嫌だから、俺はSOPHIA松岡充として詩うよ」って、今話したようなことを伝えて。まずMICHAELを一緒にやってたジル(豊田和貴 / G)と話をしたんです。そうしたら「俺もやりたい」って言うから「一緒にMICHAELにケリをつけよう」と。ジルの次に、各々で活動していた都とトモ(赤松芳朋 / Dr)にも声をかけたら、彼らも賛同してくれて。クロ(黒柳能生 / B)は一度音楽から離れてたから、最後に会ったんだけど、「やりたい」と賛同してくれました。
──メンバー5人が揃った完全体でのSOPHIA再始動となるわけですね。
松岡:はい。これならちゃんと気持ちを一つにして、あの頃のSOPHIAとしてできると感じました。SOPHIAへの愛情を確かめ合って、5人で再始動することにしました。「ビジネスライクな形だけの5人が揃ってやっても、それは誰のためにもならないから、俺は嫌なんだ」とまずメンバーに伝えて。ちゃんと気持ちが通ってないと、あの曲を演奏できないし、気持ちがないメンバー達では一緒に日本武道館というステージには立てない。それは、ファンを騙すことになるし、ファンにもフェイクはバレるから。ここにくるまでいろいろあったけど、SOPHIAが活休したステージで僕が言った「それぞれが音楽に向き合う時間をとりたいと思う」というのは、嘘でもなんでもなくて。それが必要だったんですよ。
──9年前のSOPHIA、この5人に必要だったもの。
松岡:はい。要は、その“音楽”というのが“SOPHIA”で。SOPHIAとそれぞれが向き合う必要があったからこそ、一回離れた。期間としては9年間かかった。長かったけど、離れてみて、ようやくそれぞれのなかのSOPHIAの存在──自分がSOPHIAでありたいという想いとか、SOPHIAの名の下に集まってくれた人たちのいまだ色褪せぬ想いを感じて。だから、きっかけは俺が出したけれども、みんな同じ気持ちで集まることができた。それを感じられたからこの5人なんです。
──そうして、5人揃ってSOPHIAが再始動する場所に、日本武道館を選んだ理由は、活動休止前のラストステージをここで行ったから?
松岡:そうです。たとえ以前のようにオーディエンスが集まらなくても僕はいいんですよ。それが、誰に対して恥ずかしいことなんですか?ってことなんです。それを、渋公(現LINE CUBE SHIBUYA)でやれば満員だとか、武道館でやってどうだったとか、そんなのどうでもいいんですよ。僕は9年前、武道館で「絶対戻ってくる」「帰ってくるね」ってみんなに約束したから、同じ武道館で「ただいま!」と言いたい。この場所に戻ってくることを目指して9年もかかったけど、「あのときの約束を果たしたよ」「帰ってきたよ」と言いたい。それだけなんです。
──この9年間、松岡さんと同じようにモヤモヤしながら、それでもSOPHIAを待っていたファンもたくさんいらっしゃると思います。
松岡:そうですね。時間はかかったけど、僕は音楽の力をすごく信じていて。この間にいろいろあったとしても、音楽に心を揺さぶられたときの記憶のほうが勝つと思うんですよ。音楽って、その人たちの想像する力だから。そのときに夢見た想いや、憧れ、願いをそれぞれが音楽に馳せて聴いてる。その音楽を聴くだけで、すぐにそのときの心のスイッチが入ってモーターが回り出すんですよ。そうすると“あれ、私はこういう人だったわ”とか“俺、まだこんなことできる”とか、そういう記憶が蘇ってきて。それが、その人の生きる活力になる。音楽の力とはそういうものなので、9年空いてようが、今でも活力になる自信があります。あとね、「昔、SOPHIAの音楽が好きだったんですよ」という台詞もこの9年間、散々言われて。もう聞き飽きた(笑)。
──ははは。想像がつきます。
松岡:そういう人には、“いやいや。まだ終わってないから、SOPHIAは”ってずっと思ってたんですよ。解散してるんだったら分かるんだけど、活動休止だから。僕の中では終わってないんで、「今度やるから観に来てよ」って、これからは言える。
──そうですね。
松岡:「昔、SOPHIAのあの曲が好きでした」とか「あの曲をライブで一度聴いてみたかった」と言ってる人たちの欲求って、考えたら当然なんですよね。そこに応えるのは、メジャーからCDをリリースして、それを買ってくれた人たちに対する僕らの責任だと思う。僕はその責任をうやむやにしたくないんです。“聴きたい”と思ってる人がいるなら、聴かせたいんですよ。そこも、SOPHIAをやろうと思ったときに考えたことでした。活動休止とか解散とかメンバーチェンジとか、そんなこっち側の事情はどうでもよくて。聴けないという状態が嫌だ。そういう人たちに向けて、誠意を見せるべきなんじゃないかと思いましたね。本当に、コアにずっと支え続けてくれた人たちや、「あの曲、俺すごい好きだったのに、今聴けないのは残念」という人たちも含めて、“聴ける”ように“届ける”のは、アーティストの責任としてやるべきことなんじゃないかと思いました。
──はい。
松岡:僕は作品というものを創って。それを不特定多数の僕とは違う人生を生きてる人にたまたま聴いてもらって。たまたまその人の人生に「マッチしたよ」って、そう言ってもらうだけしかできないので。そのたまたまの連続がチケット1枚につながって、ライブになっていくんですね。そのチャンスを最初から諦めてたらなんのためにやってるんだ?って話になっちゃうから。それしかできないんだったら、それを全力でやろうぜという感じです。
──SOPHIAを全力でやる日本武道館の再始動ライブに向けて、最後に松岡さんからファンのみなさんにメッセージをお願いします。
松岡:今回のいろんな決断からSOPHIA再始動に至ったプロセス、そのすべてを一言で言うと、僕が僕の人生を諦めたくないからです。人生、または生きるということの成功がもしあるとするならば、お金持ちになることでも超有名になることでもなくて。自分がやりたいことをどれだけやれたか、ということだと僕は思っている。その、やりたいことをやらないままにしていた自分に対して、このコロナという期間があったから向き合うことができた。だから、それをはっきりと表明しました。SOPHIAが好きだとかMICHAELが好きだとか、いろんな人がいると思うけど、“またSOPHIAやるんだ。行きたいな”という気持ちがあるのであれば、実行して欲しい。そう思わない人に来てくださいとは言わない。行きたいと思う人に来て欲しい。コロナを経た今、自分にとって必要だと思えるものに、その労力を使って欲しいから。“なに見せてくれるの? 行けば楽しませてくれるんでしょ”というのは、僕らのライブスタイルではないから。“一緒に創るよ、一緒に笑顔になろう”って人だけが集まる場所だから、SOPHIAのライブは。集まってくれた人たちは、9年ぶりに、一緒に、SOPHIAのライブ、創りましょう。あ、この日本武道館公演で、路上で炎上しちゃってニュースになった僕のコルベットも復活しますので(笑)。大事なところは全然死んでなかったんですよね。自らの車体を燃やして「お前、まだいけんだろ? 俺はまだいけるぜ?」って教えてくれたのかもしれないですね。当日は、復活した愛車のコルベットで日本武道館に向かいたいと思います。
取材・文◎東條祥恵
■<SOPHIA LIVE 2022 “SOPHIA”>
※詳細は4/22(⾦)にSOPHIAオフィシャルサイトにて発表
※オフィシャルファンクラブEternalは5⽉中旬に再始動予定
関連リンク
◆SOPHIA オフィシャルTwitter
◆MICHAEL オフィシャルサイト
◆MICHAEL オフィシャルYouTubeチャンネル
◆松岡充 オフィシャルサイト
◆松岡充 オフィシャルTwitter
◆インタビュー【1】へ戻る
この記事の関連情報
【対談】SOPHIA松岡充 × SIAM SHADE栄喜、30周年を迎える両バンドが奇跡の共演「僕は絶対に運命だと思う」
SOPHIA × SIAM SHADEのメンバーがユニットSIAM SOPHIA結成、一夜限りのスペシャルライヴを開催
【インタビュー vol.3】松岡充、SOPHIA復活の内幕を振り返り来たる30周年を語る「ここからまた始めよう」
SOPHIA、<Premium Symphonic Night in 大阪城ホール>ライブ映像作品を12月25日に発売決定
【インタビュー vol.2】SOPHIA、新作『BOYS and』を語る「ここで終わらない。繋がって続いてるということです」
SOPHIA、11年ぶり『BOYS and』の対となる『GIRLS and』を来春リリース決定
【インタビュー vol.1】S0PHIA、30周年への想いとレアな記念公演を語る「復活できた奇跡と同じくらい」
SOPHIA、ミニアルバム『BOYS and』のアートワークは30年前のオマージュ
SOPHIA、29回目のデビュー記念日にYouTube生配信番組を実施