【インタビュー】mzsrz、等身大の思いを届ける1stアルバム「あのときの私と同じように悩んでいる人に聴いてもらえたら」
エイベックスとテレビ東京によるタッグで、様々なSNSを用いて才能を発掘する次世代型のインターネット・オーディション『ヨルヤン』を勝ち抜いた、10代のヴォーカリスト5人による、mzsrz(ミズシラズ)。
多くのボカロ曲やアーティストを手がける、DECO*27を制作、プロデュースに迎えてシングル「夜明け」でデビューしたmzsrzは、不安を抱えると同時にどこか達観した今の10代のリアリティや、そのクールさに押し殺された感情のうねりを、みずみずしく透明感のある歌で表現する。“多様声”と名付けられたそのヴォーカルで、誰でもないあなたの日々や声を拾い上げるグループだ。
◆撮り下ろし画像(13枚)
デビューから1年、ドラマのエンディング主題歌など6作のシングルを経て、3月16日にはDECO*27プロデュースによる1stアルバム『現在地未明』がリリースとなる。リード曲「フェーダー」はじめ、無色透明でモラトリアムな時間を惜しみ、焦りや希望をにじませる、そんな等身大の今が詰まった作品だ。CD +Blu-ray版では、 Eiji Matsumoto(Dr/ex-FACT/Ken Band)、FZ(G,Mani/Radical Hardcore Clique)Mas Kimura(G/NOTHING TO DECLARE/JPME etc.)、白神真志朗(B)、平牧 仁(Key/シキドロップ)という、 “エモ”の源流でもある、エモーショナル・ハードコアを出自とするメンバーらによる完全ラウド仕様の豪華ラインナップのバンドを背負った、初のライブ映像も収録されているので、音源とはまたちがったmzsrzも楽しいんでほしい。
BARKS初のインタビューでは、それぞれのデビューからアルバムに至る思いや個人やグループでの変化、これからのmzsrzを語ってもらった。
◆ ◆ ◆
■殻を破れたというか、新たな一面も見せられるようになった
──デビューシングル「夜明け」のリリースから約1年経って、いよいよ1stアルバム『現在地未明』がリリースとなります。デビュー作からの1年、ここまで走ってきて、自分たちで感じる変化はありますか。
ゆゆん:私はもともとネガティヴ思考なんですが、オーディション当時からの価値観だったり内面の部分がガラッと変わったなと感じています。mzsrzの楽曲と出会っていくなかで、歌い手としても、自分も変わらなきゃいけないなとか、すごく背中を押してもらえるというか。
実果:今までは緊張することが多くて、これまでレコーディングというものもしたことがなかったし、誰かから「こう歌ってみて?」と言われるようなこともなかったので。どうすればいいんだろうってなっていたんです。でもたくさんの経験をさせてもらっていくと同時に段々と成長していって、今、歌っていること自体を楽しむ余裕が出てきたなって思います。
──作山さん、大原さんはどうですか。
作山 由衣:私は殻を破れたなと思っていて、その殻を破れた成長が曲にも出ているなと思います。1stシングル「夜明け」と2ndシングル「ノイズキャンセリング」は内向的な、内気な感じの曲なんですけど。3rdシングル「アンバランス」から感情を主張する楽曲が増えてきて。最初は内気な女の子たちだったんですけど、DECO*27さんが作ってくださった曲のおかげで感情を表に出すように表現することができるようになったので。そういうところからも殻を破れたというか、新たな一面も見せられるようになったと感じています。
大原きらり:私は見られているという意識が、少しずつ湧いてきたかなって思っていて。デビュー前は歌を歌う機会といえば友だちと行くカラオケくらいしかなくて。特別な場で、大勢の人の前で自分の歌を聴いてもらう場所がなかったので。歌うときも、カラオケだったらとくにパフォーマンスとかはしないじゃないですか。だけど、歌だけじゃなくて、視覚的にも歌を楽しんでもらうためにどうすればいいかのかなって悩む機会が多くなって。見られているんだという意識は、大きく変わりました。
──では、よせいさんはどうですか。
よせい:私はもともと自分でも活動をしていたんですけど、それまでDECO*27さんの曲に触れる機会が多い方ではなかったんです。mzsrzになって、DECO*27さんがプロデュースしてくださるということで、改めてDECO*27さんの楽曲を聴いたときに、自分の音楽の視野が広がったというか。DECO*27さん独特のメロディラインや歌詞の言い回しを聴いて、こんな音楽の表現の方法があるんだなと新たな発見と、成長につながる学びがありました。あとはメンバーのみんなが、それぞれ音楽に対する想いがちがって。完成した楽曲を聴くと、それぞれの想いや熱量が伝わってくるんです。そういったものを感じ取って、さらに視野が広がったのかなと思っています。
──mzsrz以前、よせいさんはどんな活動をしていたんですか。
よせい:もともとTik Tokを中心とした活動で、歌を投稿していたんですけど、そこから広がって路上ライブをしたりとか、自分で失恋したときのエピソードを曲にしたりしていて。歌う分にはバラードが好きで、自分の感情がいちばんのるというのはあるんですけど、mzsrzの曲も、ひとりひとりに寄り添う曲で。楽曲としてのアプローチはちがえども、こうしてそれぞれの楽曲で、感情をのせて歌うことができるんだなって思います。
──ゆゆんさんはネガティヴ思考だったというお話でしたが、もともと歌手になろうとか、表現したいっていう思いはあったんですか。
ゆゆん:憧れてはいたんです。歌も趣味ではやっていたんですけど、才能なんてないって自分で諦めていたので。全然歌手になる気はなかったんです。でもこのオーディションを見て、アプリに課題曲を投稿してみたんです。その当時、私本当に何もやっていなくて、学校も辞めて引きこもり状態で。このオーディションが終わって、ダメだったらもうすべて終わりにしようって思っていて。
──オーディションに応募するのは結構、勇気がいった感じですか。
ゆゆん:自分のなかでは応募したっていう感覚はなかったんです。もともとDECO*27さんの曲がずっと好きで、その課題曲を応募したとも思わず、ただDECO*27さんの歌を歌って投稿したっていう感じだったので、当初は軽い気持ちだったんです。そしたらメールでオーディションのお話や連絡がきて、何これ?って(笑)。あ、今私オーディション受けてたんだって気づいて、それならこれに賭けるしかないって思ったんです。生きる道を見つけて今ここにいます。
──大きな一歩でしたね。
ゆゆん:人生が、180度変わりました。
──実果さんは歌手になりたいという思いをいつ頃から抱いていたんですか。
実果:私は、幼稚園の頃は歌手になりたいっていうのを絵に描いたり、幼稚園の先生にも言っていたんです。でもしばらくそのことは忘れていて……忘れていてというか、周りに歌手になりたいとかいう子がまったくいなくて、公務員になりたいとか医者になりたいとか、学校の先生になりたいとかが多くて。
──すごく現実的だったんですね(笑)。
実果:私も現実的な夢を持たないといけないんだって思っていたんです。学校の先生にも、歌手になりたいなんて言えるわけないと思っていたし。普通に、社会人になろうって思って、夢のこと自体忘れていたんです。でも、ふたつ上の兄にボカロを教えてもらって。ボカロを聴くうちに、“歌い手”さんの存在を知りました。歌い手さんって、自由に活動をしているじゃないですか。だから “歌手”でなくとも、歌い手さんだったら自分で趣味としてできるんじゃないかって思って。それで、歌ってみた投稿アプリのnanaを入れてたら、ここにつながった感じだったんです。
──そういうひょんなことから小さい頃に描いていた夢につながったときは、やった!という思いですか、それとも実際歌手にとなると複雑な思いもあった感じですか。
実果:小さい頃以来、家でも歌手になりたいと言ったことがなくて。普通に働くんだって、兄と同じ道を辿って高校生まできたから。オーディションの連絡がきたときも、家族には言い出せなくて複雑な気持ちではいましたね。親にも、やめたら?って止められたんですけど。でも、「このまま同じ道を辿って楽しいのかな」「じゃあ、やってみたほうがよくない?」って思い、自分でこれがやりたいって言って、本格的にオーディションに参加したんです。
──作山さんは、自分の歌のルーツであるとか、どういうきっかけがあってこの世界に飛び込んだ感じですか。
作山 由衣:私はずっと歌手になりたくて、『ヨルヤン』のオーディションも母が勧めてくれたんです。『ヨルヤン』以外にも、小さい頃からいろんなオーディションを受けていたし、私は歌を歌うこと、そういう活動をしていきたいと思っていてそれを貫いてきた感じでした。
──自分にとって影響があったり、素敵だなって思ったアーティストの存在はいますか。
作山 由衣:どのアーティストの方も素敵で影響を受けたんですけど、いちばんは祖父です。祖父は歌手ではないんですけど、小さい頃よくカラオケに連れて行ってくれたんです。祖父が楽しそうに歌っている姿を見たり、親戚でカラオケに行くとみんな祖父の歌を笑顔で聴いていて、タンバリンとかいろんな楽器を使って音楽にのっていて。そういうみんなの幸せそうな顔を見ていると、祖父の力ってすごいなあって思ったし。そこから歌の素晴らしさを知ることができたので、祖父からの影響は大きいなって思います。
──家族や親戚でカラオケに行くと、いろんな年代の歌が歌えそう。
作山 由衣:そうですね、歌謡曲とか演歌とかJ-POPとかいろいろ大好きです。
──大原さんはどういうきっかけでオーディションを受けようとなったんですか。
大原きらり:私は小さい頃から活字が好きで小説や漫画をよく読んでいたんですけど、特に福沢諭吉とか偉人の伝記シリーズを読むのが大好きだったんです。そのなかにイチロー選手の伝記があって。イチロー選手って、もう伝記になってるってどういうこと?って驚いたんですよね。伝記になる人って、自分がいちばん熱中できることをやってきたからこそ、誰よりも魅力を発揮して本になった人じゃないですか。実果が言ってたように、私も周りは現実的な夢を持っている子ばかりでしたけど。そのなかで、自分が生きた証というか、特別なことをして人生を全うしたいって思って。すごい頑張らないといけないんですけど、伝記になりたくて(笑)。
メンバー:(一同笑)。
大原きらり:それくらい特別な生き方をしたいと思っていて。自分が熱中できるもの、いちばん楽しかったものって言ったら、演技することや歌を歌うことだったんです。それでいろんなオーディションを受けてきましたが、『ヨルヤン』のオーディションを受けたのが高校2年の終わりくらいで。目標としては、高校生のうちに無理だったら諦めようと思っていたんです。高2で、時期的には最後のチャンスだったから、ここで決めないと諦めないといけないんだって思って最大限の力を出しました。
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